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「車輪はどんどん再発明されるべき」Community Drive 第1回再録 高橋征義さん⑥

すごく無駄だけどみんな1から勉強するしかない

法林:高橋さん自身のコミュニティとの関わりという観点で、今後の目標のようなものはありますか?
高橋:イベントについては、目標はまったくないですね。
高橋:割とRubyKaigiに関しても技術書典に関しても、完全にリーダーシップを取ってるわけではないんです。RubyKaigiだったら、今は松田さんがチーフオーガナイザーですし、技術書典は日高さんを中心に回っているので、そういう意味ではうまく支えるのができればいいのかしらと。
法林:逆にどちらのコミュニティも、動ける人が高橋さん以外にもたくさんいて、うまく回っていく。コミュニティがうまく回っていくためにはそういう人が何人もいる必要があると思うのですが、それができているということを感じました。
高橋:少なくとも自分より若い人に頑張って欲しいですね。
法林:最近Rubyは、どうですか。若い人の参加っていうのはあるんですか。
高橋:やっぱり高齢化の懸念が若干あります。
法林:どのコミュニティでも必ず高齢化という問題が出てくるのですが、Rubyでも。高校生とか大学生とかが入ってくるっていうのはそんなにない。
高橋:なくはないですけど、そういう若手の話題が出てくるのは、要するにそういう人が少ないからっていう。
法林:なるほどね。
鹿野:今若い人が入ってきてるコミュニティっていうのはどこら辺なんですかね。
高橋:あんまりコミュニティ、コミュニティした活動をしてないんじゃないかなっていう感じがしますけどね。頑張ってる人は頑張ってるので。
法林:それこそ最初のほうに話したように、中にとか外にとかいう境界の感覚があまりないのかも知れないですね。今特にSNSでつながったりすると団体への所属意識っていうのがあまりなくても活動ができてしまうので。
高橋:でもそういうふうになると技術やノウハウの継承がうまくできなくて。
そういう話でいうと、それまではうまく継承できないのかなといろいろ考えていたのですが、最近の暫定的な結論としては、それは伝えきれないのでは、みんな1から勉強するしかないのかなという結論になっています。すごく無駄なように思うのですが、結局それが必要なのかもしれない。
鹿野:個人がコミュニティに参加するときの方法論でも、まずは半年ぐらいROMって、それからえいやと勇気を出して飛び込んで…というような手順や段階は、誰でも踏まなければならないと。
高橋:最近はあまりROMらないで、いきなりやってみて失敗したり成功したりみたいな感じで。情報はたくさんあるから、普通に情報収集はみんなしているのだけれども、みんな失敗している。こうすれば失敗するよというような情報を、あらかじめ伝えておけばいいと思っていたのですが、やっぱりそれはできなくて。自分で経験しないとダメなのかしらと。
コミュニティにも、コミュニティの成長というか進化みたいなものがあって、それは最初のよくわからないところからはじまって、段々成長していくということをコミュニティ自体が繰り返さないとダメかしら、と。(注)

注「段々成長していくということをコミュニティ自体が繰り返さないとダメかしら」:「人は自分の速度でしか成長できない」という言い方がありますが、コミュニティもそのコミュニティ自身の速度でしか成長できないのかも、というコメントを後程高橋さんからいただきました。


鹿野:車輪はどんどん再発明されるべきということでしょうか。
高橋:そこはショートカットできないなと。
法林:できないものなんですね。
高橋:できなさそうな気がしますね。
法林:なるほど、できなさそうな気がしてると。なるほどね。
例えば、この番組みたいなものとか、あるいは書籍みたいな形で体系化したものがあって、失敗しなくて済むようになるといいのかも知れないですが、実際にはそんなうまくいかないと…。
高橋:断片的な知識があればあったで役に立つ時はあると思うので、そういうことを発信しておくことも役に立つのではないかと思いますけれど。
それをたまたま遠くの誰かが受け取って、発信した人たちが全然知らないところで立ち上げて、成功したり失敗したり…みたいな遠い感じで伝わるとよいのかしら、ぐらいの感じですね。
法林:でも、高橋さんのお話は、割と現実的な感じがしますね。そういうところに落ち着くのが実際のところなのかも。僕とかが言ったようなのは理想論なんだけど、実際にそれができるかどうかはやっぱり、極めて怪しい。高橋さんが言ってることが現実的なラインなのかなっていう気はしました。

業者やスポンサーとのやり取りが重い

鹿野:RubyKaigiの周辺はビジュアルがおしゃれなんですよね。それがステキだなと思って近づいてくる若い人も多いんじゃないかと思うのですが、どういう流れであそこに投資しているのかということ教えてください。
高橋:私の感覚だと、Rubyは特にWebをやってる人たちが多くて、Webは普通にデザインはデザインの人たちが頑張っている。で、そういう人たちにお願いするという流れでうすね。
鹿野:チームの中に仕事でそれをやってらっしゃる方がいるのでしょうか?
高橋:RubyKaigiに関しては完全にお仕事としてお願いしてますね。
鹿野:じゃないとこれくらいのクオリティのものってあがってこないですよね。すごいですよね。
高橋:そうですね。仕事でもあがってくるかどうかっていうのは怪しいので。
鹿野:どの年のRubyKaigiのサイト見ても、ほんとすごいなと思います。
高橋:その辺も難しくて、情報を発信するための外見って、サイトを作るぐらいだったら別にいいんですが、あるいは内装をどうするかみたいな話になってくると業者とのやり取りや、スポンサーさんとのやり取りみたいなものが発生して、なんだかんだその辺の負荷がデザイナーさんにきたり、デザイナーさんと一緒にやってるスタッフの誰かに集中したりみたいな感じのことがあって、その辺のハンドリングがまだうまくできてないんです。
鹿野:相当パワーが必要な部分ですものね。
高橋:パワーも必要ですし、仕事としてお願いするにしても、見積もりしづらい部分でもあります。例えばロゴを出すとかの範囲とかの話です。
法林:普通だとイベント業者とかがやりそうな仕事ですね。この辺はコミュニティベースのイベントでは、たぶんどこも苦労していたり、あまりやりたがらない部分かもしれません。僕なんかはやりたがるんですけど、これはちょっと特殊な例だと思うんで。
鹿野:そうですね。
高橋:RubyKaigiの2017だと、それこそイベント会社さんにお願いして。
鹿野:もうそれくらいの規模なんですね。
高橋:一部の作業について切り分けてっていうのをやってみようとしたんですが、結果としてはうまくいったところとうまくいかなかったところがあって、このままうまい形で来年もやりましょうっていう感じにはなってない。もう少しやり方を考えないといけません。

第7回に続きます

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