見出し画像

ユース育成は何故論理的・科学的でなければいけないのか? 1

1/1/2023更新

このブログではユースアスリートとはいわゆるサッカーのユースだけでなく、育成年代、U10-U18の幅広いスポーツと年代のアスリート達を指します。

ユースアスリートに対するコーチング


さて、コーチングが道徳的でもある必要があるのは言うまでもありませんが、何故ユースアスリート達の育成に論理的・科学的でなければいけないのか?別に選手たちに論理や科学を教えるのが目的ではありません。

答えは簡単で、その子の才能を無駄にしないためです。今の日本では少子高齢化が進み、スポーツをする子供達が減ってきています。なので、二昔前のようなふるいにかけて”残った強い選手だけで戦う”ということが出来にくくなった。またスポーツ以外にも楽しいことがある今の子供達にとってスポーツというのは選択肢の一つに過ぎない。なのでスポーツを好きになってもらっていくことは非常に難しい。また今のCOVID-19の社会情勢では中々継続的にスポーツをしにくい状況ではある。スポーツという文化を絶やさないようにするためにもふるいにかけるのではなく、これからの若い世代を育み成長させていく(まさに育成!)アプローチは必要になってくるのではないだろうか?そのツール・考え方の一つとして自分が思う論理的・科学的コーチングアプローチを語っていきたます。

ソフトウェアを使ったアスリート管理からのコーチング例

私がスポーツサイエンティストとして勤めるEuphoriaという会社はOne Tap Sportsというソフトウェアを提供している。そして、そのソフトウェアの種類は世界ではAMS、つまりAthlete Management System、と言われていて直訳するアスリート管理システムである。では、何を管理するのか?

それは彼らのプロフィールです。彼らの年齢や身体組成など基本的な情報からバックスクアットの1RM、20mスプリントのスプリットタイムなどフィジカルの測定や日々の練習やウェイトへの反応などなど様々な情報を入れ各選手のプロフィールを作り、それらプロフィールになるデータを根拠に”この選手は今日の練習に・試合に参加できるのか”を判断していきます。

ここで言いたいのは私が勤めている会社の商品の紹介でも何でもなく、どうすれば若い選手達の才能を無駄にしないかを話していきたいと思い、その話の流れでAMSの説明が必要があったわけだ。では、何故データが必要になってくるのか?

なぜデータを用いたコーチング有効なのか?

例えば高校一年でとある野球部に入部したAという選手は背は小さいが、50m走を測ってみると非常に足が速い。そしてよく見ると守備もそこそこいい。ただし筋力が他の部員達と比べると難があり、バッティング技術はそこそこで打率もいい。監督はそれを見て何かに記録しておき、こう考え、そして思うでしょう”もしかしたら今はまだレギュラーとして使えないが試合で、代走役や守備固めには使えるかもしれない”と。そして、監督はこうも言える”足が速いことや守備がいいことは非常にいいことだ。もっと磨きなさい、そしてバッティングも引き続き励みなさい。特に内野安打ができるように守備の配置を読んだ打撃ができるようになるともっといい。”と建設的なフィードバックやアドバイスができる。コーチングでは答えを与えないというが、自分は答えを渡してしまって、方法論は自分で考えさせるのもいいと思っています。もちろん方法自体が間違っていて結果が出てないければ、ある程度試行錯誤をしたところで指摘しなければいけないし、何が悪かったのか?何が良かったのかを一緒に振り返る必要はある。この時にもデータは役に立つ。

また別の選手で中2のキャッチャーがいるとする。彼は大柄でどちらかと言えば太っている方だとしよう。ただ意外と俊敏で足が速いということが測定でわかった。これを記録しておけば攻撃の幅広がるのではないか?足が比較的早いのがわかっていれば、大事な場面で無理に代走をする必要もない。データは戦術を考える際にも役に立つと思います。

データ取得で得た気づきがコーチングに役立つこともる

こう言ったように、論理的で建設的なフィードバック・アドバイスが可能になる。これは今の若い子達には非常に大事なことです。今の子は”何故”が分からなければ絶対にやってくれない。もちろん恐怖で支配すればある程度やってくれはするでしょうが、そんなものはコーチングでも何でもないです。それは飼育です。そこからの成長はない

ここで以前ジャンプのデータ取得で意外なことに気づけたことがあるのでシェアします。とあるジュニア代表キャンプに行った時、みんなのジャンプをチェックしたところ、大人顔負けの足腰のバネと脚力があることがありました。その中でも特に一番バネがあった選手のジャンプ力と世界ジュニアで優勝した選手の差は大きかったです。ここで気づきたいのはこの選手は世界ジュニア優勝選手よりもジャンプ力があるのに、その選手よりも下位であるということです。ということはどういうことか?フィジカルの観点から見るとこの選手は脚力をさらに注力を入れるよりも技術も注力した方が良いことがわかります。逆にジュニア王者は脚力を上げた方が良いかもしれません。この様に意外なところにも気づき、しっかりとした根拠を持って選手たちと接せられれば選手たちからの信頼はさらに増します。

データは指導者の自信となる


また論理的・科学的アプローチを取り入れることで指導者の人がもっと自信を持てます。”今この練習でいいんだろうか?”と”今このアドバイスでいいんだろうか?”そんなことを考えるのは自分もS&Cコーチとして大人のアスリートをコーチングする時には日常茶飯事の考えであるが、ましてや人様のお子さんを預かる育成年代の指導者の方のストレスは非常に大きいだろうと思います。自分の一言でその選手の人生が大きく変わってしまいます。ならば前述通りフィードバックやアドバイス一つとってももっと根拠あるものが必要になってきます。そして、その根拠とはしっかりとしたプロセスを経てとったデータである。根拠もないのに叱ると言った理不尽は今の世の中は通用しなくなってきましたし、何の根拠も見つけられない指導者は選手から信頼をどんどん失っていくことでしょうう。

その指導に根拠はありますか?

”今週の練習ではDとEが出来るようになっていけるように練習する。なぜなら今度の公式試合でAということしみたいが、AをするためのBとCが出来ないていない選手がほとんど。で、よくよく見るとDとEが出来ていないのでBとCが出来ていないのがわかった。だからDとEに今週は注力します。”と言われれば選手も”なるほど”と思うはずである。

また選手達に目標とする数値を見せてから、”じゃぁ自分たちでどうやってこの数値に辿り着けるか”を考えていこう、と言ってみるのもいいです。これは自分が好きなコーチングです。特に大人には使っています。自分は結果を出すためのプロセスを非常に重んじます。故野村監督が論じたように、結果が出たとしてもプロセスがなければそれは出たとこ勝負、つまりその次に起こる可能性は非常に低い。だがしっかりとしたプロセスを経た失敗は、そこから学べるので成長できる。成長できるということは、次に勝つ可能性がグンと上がります。

このブログポストを読んでくれた人が論理的・科学アプローチを自身のコーチングにと入れるきっかけになれば幸いです。せっかくこれからの若い世代をコーチングを出来る機会があるのである。ならばそれをフルに活かすために、そして自分が成長できるためのことをするべきではないだろうか?色々と大変だと思いますが、一緒に頑張りましょう。 

では、また次回。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?