見出し画像

ChatGPTヴァイオレットと短編小説を書く_03最終回

前回のおはなし

ChatGPTに書かせた短編小説の答え合わせ

 初めてなので、自分が書きたいものに近づけるべくあらかじめ自ら短編を書いておいた。
思い返してみれば、指示は楽しさ半分めんどくささ半分という感じだった。

書くにあたって、以前先輩から市川崑監督の『私は2歳』という映画が面白い、監督本人は気に入ってないようだが良かったよ、みたいな事を聞いたのを思い出し、良かったのか、じゃあ、と幼児の話にする事に決定。映画は結局まだ見ていない。

 『吾輩は猫である』『山椒魚』など、人間以外の動物などが活躍する小説に惹かれるので、よりそれらに近い(失敬!)幼児の話を、自分の記憶を呼び起こして書いてみようと思った。
そして野生動物のドキュメンタリーみたいな視点で書いてみたかった。
↓(以下、自分で書いた本編)



短編小説『稜線の向こう側から』



 まだものの道理もわからない1歳か2歳のその幼児は、高台にある小さな家から1人で外に出たことはない。言葉はわりあいに喋るが、ときおり訳のわからぬ独り言を言っていることもあった。

日中は母親が洋裁ミシンを踏む横で、窓から外の景色を眺めていることが多かった。絵本を読んでいたかと思うと立ち上がり、ぽやんとした頼りなげな表情で山々や裏庭の様子に目を配っている。
雨が激しく地面を叩いて流れて行く様子や、遠くの林の間から見える牧場の牛を見たこともあった。その時は指を差して叫び、母親に牛の出現を知らせて和ませたがたいがいは黙ったままただ興味深いといった表情で景色を眺めている。
彼なりに何か感ずる処があるのだろうが、何を考えているのかそこから読み取ることは難しかった。

 ある土曜日の夕方幼児は、山の稜線を左から右へ追っていた。陽が陰ってシルエットが強調されたせいか、稜線がさまざまなものの形に見えて来た。さっきまで眺めていた絵本の中の村がそこにあるような気がした。
クレヨンの不均等で柔らかなタッチで描かれた建物や人々の絵が、木々の形と重なったのだ。

「あの山の向こうにうちの親類がいるんだよ」
ちょうど部屋に入って来た父親がなんとはなしに言った。幼児にはまだ理解できない内容だと承知の上で発した言葉だった。
幼児は口を半開きにして目をきょろきょろさせていた。そして、しっかり何かを考えたり記憶したりする力があるとは思えない表情で父親を見上げた。
父親はそのあどけなさに喜び、彼を抱え上げた。そして小さな手を取って窓から一緒に夕陽を眺める形をとった。

「ほら、山に太陽が帰って行くね」
黄橙の陽の光が幼児の頬を照らしたが、眼球の白い部分だけは新鮮な青みを帯びていた。父親は幼児の目をしばらく見つめていた。

 しばらくのちーー、三週間ほど経った頃、オレンジ色のクーペが坂を登って幼児の家にやって来た。
父に抱かれた幼児は、丸目四灯の車のライトが顔のようだと感じて好感を持った。頭の中でそれを正確に言葉に置き換えることはまだできない。

若い男女が降りて来て、男のほうが言った。
「おお、大きくなった!俺のこと、覚えてるかな?」
幼児は目をきょろきょろさせ、この若い男を認識しようと必死に頭を働かせているようだった。
「おい、親類のおじちゃんだよ。あの山の向こうから来たんだよ」
耳元で囁いた父親の言葉に反応して、幼児の目線が若い男の顔にぴたりと定まる。

父親は今日もつい、抱き抱えた幼児の目の新鮮な青みに注意を引かれていたが、瞳の知的な動きのせいで自身の言葉をなんとなく思い出していた。
『あの山の向こうにうちの親類がいるんだよ』
ーー幼児に『親類』という言葉は理解できなかった。
それでも以前父親が言ったこの言葉の大意はぼんやりと感覚で理解し、覚えていたのだと思える表情をしていた。(完)


そして

 指示がまだ下手なのでChatGPT作品が自分の描きたかった小説にすごく近いとは言えないものの、ヴァイオレット、巧いじゃないか。
思ったよりも応えてくれて、本人より端正なところ、参考になる部分も多々あり。こちらの意図を読み取ってくれてる!すごい事だ。

お願いしたら、ダラダラダラーーッと一気に文書ができて行くさまは痛快でもあるが、自分がチマチマ時間をかけて積み上げた作業と比較してしまい虚しくもあり。
しかしかなり楽しませ感心させてくれたので、今度ヴァイオレットにAIの書いた小説に対して指示者が最初チクチク、そしてだんだん醜く嫉妬する物語を発注してみようと思う。

ヴァイオレットとか言ってるが、対話していくうちにヤル気のある同士的な後輩と一緒に作品を作ってるような感覚になって来た。
そりゃそうだ。自分の分身でもあるわけで。学習、情報収集能力も高い。iTuneにお気に入りの曲を入れたヤツをシャッフルさせると、自分の好きな曲がランダムにかかり、『うわー最高!』『この順番で来るか?!天才!』などと叫んで悦に入ってたことを思い出してしまった…


おいらパク・ジニョン?

素敵げなプロデューサー気分だ。やはり人間は、というか特におっさんは、後輩がこちらの叱咤激励に応えてくれる事は喜びのひとつなんだと思う。後輩でなくてもか。
NiziUのオーディションが話題だったころ、かなりのおっさんたちは自分を信頼してくれて努力成長する若者に対し、『まずどういう評価かわからない表情で不安にさせといて、最後に思い切りホメてあげたい!あんな若者がウチにいたら!仕事でああいう経験してえなあ!』と思ってたのではないだろうか?
自らのことは棚に上げて。ダイエットのジョギングも2日で辞めて。公園わきに止めた社用車で昼寝していたところを部長の奥方にノック&挨拶されて。そしてその微笑みにエロティシズムを感じたりして。

話がそれました。
何ていうか、今回全体ミーティングから指示、フィードバック、各パーツやディティールのチェック。みたいな『仕事やってる感』が味わえました。
こちらがずっと思い上がった態度で接したらどうなるんだろう。戻しに対して『それってあなたの感想ですよね?』と連呼ダメ出しを続けたらどう学習対応してくれるのだろうか?やってる人いそうだ。


DREAM OF THE BACIN/盆地の夢

自分の中にあった幼少時からの記憶、最近なにかしら作る時に、その辺りを掘り返すようになったんですね。(短編とつながる画・下記リンク↓)

ChatGPTとは関係ないですが、対話の中からそういうものが出た他人の作品を見てみたいと思います。
そういうの書いた方、ChatGPT使って手応えあった方、よければ教えてください。自分がフォローしている人たちがChatGPTと対話して作った文章を見てみたいなと思いました。
先端の技術を使って郷愁に浸るという、矛盾したような皮肉なような、おかしな結果となりました。
藤子不二雄F先生が昔描いた世界をなぞってるような…


ピザ窯作ってピザを焼く

ーーで、今後も続けてヴァイオレットにいろいろお願いしようと思った。名前はコンドウとかタカハシなんて呼ぶほうが良いかもしれない。
いずれはほとんど任せてワシはその時間でピザを焼くゾイ。■



この記事が参加している募集

AIとやってみた

とにかくやらないので、何でもいいから雑多に積んで行こうじゃないかと決めました。天赦日に。