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夏に日焼けしやすい理由は「紫外線の量」だけではないって知ってた??

こんにちは!
COCO.libraryのゆうくです!

暦の上ではすっかり秋ですが、まだまだ日中は日差しが強いですね。
「紫外線対策」も夏だけではなく年中しっかり行って頂きたいです。
しかし、紫外線対策は夏だけ必死になる方も多く、実は僕も今年の夏は日傘デビューをして紫外線ケアを徹底しましたが、いつまで日傘をさし続けるのか悩んでいます(笑)。

さて、皆さんはなぜ「夏は特に日焼けしやすいのか。」について考えたことはありますか?
もちろん、「紫外線量」が関係することは確かですが、実はそれ以外にも原因があるのです。
今回は、紫外線量以外にもあった「夏に日焼けしやすくなる理由」を、データに基づいて解説をしていきます!


"暑い"夏は特に日焼けしやすい?!

一般的に「日焼け」は紫外線を浴びることで、肌が炎症を起こし(サンバーン)、紫外線への防御反応としてメラニンが産生され、赤黒く色素沈着を起こした状態のことを言います。

近年の研究では、この日焼けのしやすさに紫外線だけでなく「皮膚温度」も関与していることが分かりました¹⁾。

引用元:ポーラ化成工業ニュースリリース, 温度差ストレスによる皮膚への影響(1)

皮膚の温度は環境温度によって大きく変化し、気温が上がれば皮膚温度も高くなることが分かっています。
皮膚温度の高い「夏の時期の肌」と皮膚温度が低い「冬の時期の肌」で、同じ量の紫外線を当てたときの肌の色味の比較が行われました²⁾。

その結果、同じ紫外線量でも、「夏の肌」は「冬の肌」に比べて肌の赤みが生じやすいことが分かりました。

引用元:ポーラ・オルビスニュースリリース, 「暑さ」が日焼けとシミに拍車をかける 
図1より引用 ²⁾

つまり、夏は肌の赤みを生じやすい=日焼けしやすくなり、これは単に「紫外線の量が多いから」だけではないことが分かるかと思います。

メラニンと皮膚温度の関係

皮膚の色を構成する色素の1種である「メラニン」を産生する細胞(メラノサイト)は、温度条件によってメラニン産生量に変化があるのかを確認した実験があります。
この結果、高温条件下でメラニンの産生量が増加することが分かりました。

引用元:「暑さ」が日焼けとシミに拍車をかける,ポーラ・オルビス²⁾

つまり、これらの結果から「夏は皮膚温度が高くなることで、さらに日焼けリスクが高くなる」ということが考えられます。

【実験】効率よく「皮膚温度を下げる」方法とは?

上記の結果から考えると、日焼け止めを塗ることも大事ですが、「皮膚温度を下げること」が、より日焼けリスクを抑えることができると推測されます。

この「皮膚温度」は夏の暑い日の中で高くなります。
この夏も暑さ対策で、様々な「冷感グッズ」が発売されており、皆様も使われたのではないかと思います。
そんな冷感グッズの中で「顔の皮膚温度を効率的に下げる」のはどれか?
今回は体感温度ではなく「皮膚温度」に注目し、効率的に下げられる方法を実験してみました!

実験方法

下記の冷感グッズの使用前後で頬の皮膚表面温度を測定しました。
使用前/1分後/3分後/5分後の皮膚表面温度を比較しました。

試験の様子

・使用した冷感グッズ
 1.ハンディ扇風機
 →扇風機で顔に風を当て続けた状態で測定
 2.冷感ミスト
 →ミストを顔にかけた後に測定
 3.冷感シート
 →シートで顔を拭いた後に測定

・測定機器
赤外線サーモグラフィー
→肌表面から出ている赤外線のエネルギーを皮膚表面温度として検出し、温度分布を画像化する装置

サーモグラフィー測定時の画像

実験結果と考察

それぞれの冷感グッズ使用前後の温度変化は以下のようになりました。

今回の試験において、5分後に最も皮膚温度を下げたグッズは「扇風機」でした。
即効性の面で考えると、1分後に皮膚温度を最も下げたのは「冷感シート」でした。

僕自身の体感温度ではシートとミストの冷感が強かったのですが、「皮膚表面温度」は大きく下がっていないことが意外でした。
これは、シートとミストに含まれる成分が皮膚上にある温度を感じる受容体(TRPチャネル)を刺激することによる効果であり、「体感では冷たい」が「実際はそこまで冷えてない」という事象が起きたものだと考えられます³⁾。

皮膚温度をより下げる方法としては「扇風機」が効果的ですが、すぐに下げられる方法としては「冷感シート」が効果的だと考えられます。
しかし、日差しが強く暑い外で使用する場面を考えると「より早く、より皮膚温度を下げる方法」が理想的ですよね。

そこで、即効性がある「冷感シート」とより皮膚温度を下げる効果の高い「扇風機」を併用することの効果を確かめてみました。
その結果、以下のようになりました。

扇風機とシートを併用することで、1分で約1.5℃、5分後には約2℃まで下げることができました。
このことから、より早く、皮膚温度を下げるには「扇風機とシート」を併用することが効果的であることが分かりました。

今回使用したシートには「アルコール類(表示名称:エタノール)」が含まれてますが、これらは揮発の際に「気化熱(揮発する際に温度を奪う反応)」を生じます。
この時の冷感効果を、扇風機の風が大きくしたことによりこのような結果になったのではないかと考えられます⁴⁾。

ただし、製品による処方の違いや使用時の環境温度(この実験では27℃の環境下で行いました)などで効果の変動はあると思います。

まとめ:紫外線ダメージをより抑えるための工夫

1.紫外線も皮膚温度も「夏」が一番高くなる
2.日焼けは、紫外線だけでなく「皮膚温が高い」ことも影響する
3.皮膚温度を下げるための効率的な方法の一つとして、
 「扇風機とシート」の併用を推奨

日常的な日焼け対策としては「日焼け止めの使用」と「日傘などで物理的に紫外線を遮断する」ことが重要だと考えます。
しかし、日焼け止めの塗りムラや、汗で落ちてしまってる場合など、紫外線を常に100%防ぎきることは難しいです。
毎年、日焼け対策はバッチリなのに日焼けしてしまうな…と思っている方は今回の「皮膚温度を下げること」も取り入れてみてはいかがでしょうか?

■参考文献
1)温度差ストレスによる皮膚への影響(1), ポーラ
2)「暑さ」が日焼けとシミに拍車をかける,ポーラ・オルビス
3)温度感受性TRPチャネル, 富永 真琴,日本生化学会 Vol. 94 - No. 2
4)2-プロパノール脱水素プロセスにおける発熱反応と吸熱反応の組み合わせ, 欅田 栄一ら, 化学工学論文集/4 巻 (1978) 6 号

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