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<NOT>花粉症のあなたも是非試してほしい!春の肌荒れ対策

「春の訪れ」、「冬から春への季節の変わり目」、
みなさんは何で感じますか?

暖かくなってきた、梅や桜が咲いた、花粉症で目がかゆい…

いろいろあるかと思いますが、「肌の変化でも感じる」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

✓ 肌がピリピリしたり、かゆくなる
✓ 赤み・ニキビが増える
✓ いつものスキンケアも刺激を感じるようになる

このような、春になると起こる不快な「肌荒れ」
原因は何でしょう?

温度変化、ストレス、花粉…
「花粉症ではない自分は、花粉以外が原因だろう」と思っている方、いらっしゃいませんか?

本記事では、非花粉症の方にこそ知ってもらいたい、春の肌荒れの原因とその対策を解説していきます。是非最後までお読みください!


「非花粉症な私の肌荒れは、花粉以外が原因」は思い込みかも!?

ドキッとされた方いらっしゃいますか?笑
花粉による肌荒れについて、詳しく解説していきます。

原因① 花粉症(花粉アレルギー)

きっとこちらが、みなさんがイメージする「花粉による肌荒れ」かなと思います。
人体にとって危険な異物が身体に接触・侵入したときに、その異物を撃退する体の仕組みを「免疫反応」と言い、免疫反応が異物に対して過剰に反応し、自分の身体をも害してしまうことを「アレルギー反応」と言います。
「花粉症(花粉アレルギー)」は、花粉を異物だと認識して過剰に反応した結果、喉の痛みや目のかゆみ、また「皮膚炎」を引き起こします。

しかし、最近の研究では別のメカニズムで発生する肌荒れが報告されています。

原因② アレルギー反応とは別のメカニズム

✓ スギ花粉が肌のバリア機能の低下を引き起こす
通常の肌は、ダメージを受けると細胞間脂質を補充しバリア機能を修復・回復させる働きをします。しかし、何かしらの理由で細胞内のカルシウム濃度が上昇すると、バリア機能の修復の働きが遅くなることが知られています¹⁾²⁾。

図1 通常の肌の働き

資生堂社の研究では、スギ花粉の主要アレルゲンである「Cry j1」が表皮内にある「トロンビン」というタンパク質を活性化させ、細胞内のカルシウム濃度を上昇させることが確認されました³⁾。これは、スギ花粉がバリア機能の低下を引き起こすことを示唆していて、ヒト組織培養皮膚を用いた実験では、「Cry j1」が水分蒸散量を増加、細胞間脂質の分泌を低下させることが確認されています³⁾。

✓ 花粉が肌のかゆみを引き起こす
ロート製薬社の研究では、大気有害物質の種類による皮膚への影響が報告されています⁴⁾。
自動車排気ガスと都市大気粉塵は、酸化ストレスに伴う炎症やバリア機能の低下を誘導し、黄砂や花粉は、かゆみやアトピーの原因となることが知られている物質「IL-33」の発生を増加させることが確認されています。

上記2つの報告を見ると、花粉症(花粉アレルギー)の有無に関わらず、花粉によって肌荒れが起きる可能性があることが分かります。
「花粉症じゃないから油断していた…」という方、要注意です!

補足情報)花粉とPM2.5

「PM2.5 」は、大気中に漂う小さい粒子(直径25μm以下)の物質のことです。黄砂由来の粒子や、大気汚染物質由来の粒子が含まれていると言われています。
現在も様々な調査が進められていますが、黄砂や大気汚染物質と花粉が相互作用し、花粉のアレルギー性を増悪する可能性があるという報告もあります⁵⁾。

花粉もPM2.5も、どちらも避けたいですね…。

花粉対策しないと、より深刻な肌トラブルに繋がる可能性も…

ポーラ社の研究では、花粉や大気汚染物質が、活性酸素種の生成や炎症を引き起こす物質「TNF-α」「IL-1α」「IL-8」などの分泌を増加させ、肌の炎症、酸化ストレスを誘発させることが報告されています⁶⁾。
酸化ストレスは、肌の老化に強く関わることが知られていて、将来的にシワ・シミなどの肌トラブルに繋がる可能性があります。

非花粉症のあなたも取り入れるべき肌荒れ対策

上記でお話したように、非花粉症の方も花粉対策が必要です。
大きく3つのステップで対策を試してみてください。

1.そもそも花粉を付着させない!

「外に出ない」は一番効果的かもしれませんが、そういうわけにもいかないですよね。笑
ちょっとした工夫でも、花粉の付着を抑えることができます。

✓ 服の素材
花王社の実験では、綿やポリエステルよりもウールのほうが花粉(スギ花粉アレルゲン「Cry ji」)が付着しやすいということが確認されています⁷⁾。
花粉が多い時期は、ウールの服を控えるといいかもしれません。

図2 髪と衣類の花粉付着量⁷⁾
引用:花王株式会社 花粉は衣類以上に髪に付く!?本当に効果的な花粉対策を検証!

✓ 髪型
同じく花王社の実験において、様々な工夫の効果について以下の結果が得られたようです⁷⁾。

 花粉(スギ花粉アレルゲン「Cry ji」)の付着量
 ┗ ヘアスタイルの効果 : 髪をおろした状態  まとめた状態
 ┗ 帽子の効果 : 帽子なし > あり
 ┗ 髪を払う効果 : 髪を払わない > 払う

図3 髪に付着する花粉の対処方法別の効果⁷⁾
引用:花王株式会社 花粉は衣類以上に髪に付く!?本当に効果的な花粉対策を検証!

私はこの結果を知ってから、通勤時に髪をまとめるようになりました…。笑

✓ 花粉ブロックスプレー
花粉の付着を防ぐために、イオンや静電気を抑える技術などを用いた商品が販売されています。花粉の付着を軽減する効果が期待できます。
(このあたりの技術・商品も面白いものがたくさんありますので、また別の記事で詳しくご紹介したいと思います。)

2.付着した花粉を取り除く!

どんなに対策をしても、完全に花粉の付着を防ぐことはできません。付着してしまった花粉を取り除くことも大切です。
帰宅後できるだけ早めに取り除きましょう。

・玄関に入る前にはたく
・洗顔/入浴
・衣類の洗濯

3.肌のバリア機能を高める

花粉の影響に負けないよう、肌のバリア機能を高めておくことも大切です。そのためには肌の潤いをしっかり保つ必要があります。生活習慣を整えること、保湿ケアをしっかりと継続することを心がけてください。
保湿ケアについては、下記記事で詳しくお話していますので、ぜひ参考にしていただければと思います。

番外:肌荒れしてしまった時の対処法

肌に炎症が起きると、かゆみが発生し、肌を搔いてしまうことでさらに炎症が悪化する、というような「イッチ・スクラッチサイクル」に陥る可能性があります。この悪循環によってバリア機能もどんどん低下してしまうため、しっかり炎症を抑えるケアをすることが大切です。
(炎症を抑えるケアについては、別の記事で詳しくまとめていきたいと思いますので、お楽しみに!)

図4 イッチ・スクラッチサイクル
(Itch-Scratch-Cycle ※Itch:痒み、Scratch:掻破)

花粉による肌荒れを抑え、春を楽しみましょう!

春の肌荒れの原因は、もちろん花粉だけではなく気温やストレスなどいろいろ考えられます。
ただ、「春に肌荒れするけど、花粉が原因と思っていなかった」という方は、是非一度花粉対策を取り入れてみていただければと思います。

春の不快な肌荒れに悩む、そんな日を減らして春を楽しみましょう!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

執筆:小笠

<参考文献>
1)Dry Skin and Moisturizers: Chemistry and Function, Feingold KR et al., CRC Press, 45-58, (2000) 
2)Influx of calcium and chloride ions into epidermal keratinocytes regulates exocytosis of epidermal lamellar bodies and skin permeability barrier homeostasis, Denda M et al., J Invest Dermatol, 121(2), 362-367, (2003)
3)日本産スギ花粉抗原による角層バリア機能低下メカニズムの解明とトラネキサム酸,グルタチオンの新規機能, 中西忍, フレグランスジャーナル, 48(10), 15-20, (2020)
4)大気有害物質は種類によって皮膚への影響が異なることを発見, 株式会社ロート製薬, 研究開発リリース, (参照:2024/02/26)
5)花粉飛散時における環境汚染物質の影響とアレルゲン物質の放出挙動, 王青躍他, エアロゾル研究, 27(1), 71-77, (2012)
6)A novel water-in-oil emulsion with a lecithin-modified bentonite prevents skin damage from urban dust and cedar pollen, Iwanaga T et al., International Journal of Cosmetic Science, 42, 229–236, (2020)
7)花粉は衣類以上に髪に付く!?本当に効果的な花粉対策を検証!, 花王株式会社, My Kao, (参照:2024/2/26)

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