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『遊びと学びの融合』 子どもへのコーチングアプローチ

こんにちは。
子どもへのコーチングアプローチについての話です。

今回はスイスの心理学者ジャン・ピアジェの発達論をもとにした子どもの遊びの段階から、実際の場面でどのようにコーチングを活かしていくかを紹介します。


発達から見る遊びの段階

ピアジェの発達論では、
0〜2歳 感覚運動期
2〜7歳 前操作期
7〜11歳 具体的操作期
11歳以降 形式的操作期
という一般的な目安が記載されています。
ここから見る遊びの段階を考えていきましょう。


0〜2歳の遊び

赤ちゃんを想像するとすぐわかるように、簡単な動きや物を触るということに焦点を当てた遊びメインになると思います。
つかむ・たたく・にぎる など。
感覚を掴んでくると握ったものを投げるなど2つの動作が加わることを想像できます。

2〜7歳の遊び

この頃になると、まねっこ遊び・ごっこ遊びなどをしているイメージがありますね。
想像力が豊かになり、自分から発する言葉のレパートリーも増えてくることで遊びの範囲が広がります。社会性も出てくることから他のお友達と一緒に遊ぶことも可能になってきます。

7〜11歳の遊び

スポーツやカードゲーム・ボードゲームなどルールを理解し、それに基づいて遊ぶことができるようになります。
学校も始まっていることから、点数を競ったりするなどで足し算・引き算など簡単な算数的な要素も遊びに加えるようになります。

11歳以降の遊び

個人やグループで協力し、遊びにも戦略をねったり計画を立てたりします。
複雑な遊びへの進化が見られます。


この年齢は大体の目安です。
成長には個人差がありますが、年齢関係なくこの段階を踏むと言われています。
遊びの段階は年齢関係なく、発達とともに飛び級をしたりせずに、この段階を一つ一つ登っていくということがわかります。

ここでは習い事を始める子が増えてくる
3歳から小学校入学までの子ども
・小学校低学年の子ども
この2つのクラスの子ども達へのアプローチ法をお話ししていきます。



幼児クラスでのコーチングアプローチ

小学校に入学する前、幼稚園・保育園に通う子ども達はとても素直で自分の意見をどんどんとお話ししてくれます。
中には人見知りでなかなかお話しできない子もいますが、長期的なコミュニケーションを取ることで、お教室の空間に慣れ、先生に慣れる事によって次第にお話ししてくれるようになります。

先程の発達の段階から見るとこの年代の子ども達は真似っこやごっこ遊びなどが盛んです。

イメージや物語を利用する

この幼児クラスの子ども達には全てをごっこ遊びに繋げるようなイメージを用いたアプローチ方法が有効です。

静かにしてね→アリさんの声ってどれくらい?
足音を静かにしてね→忍者みたいに静かに歩いてみよう!
お行儀よくして→プリンセスになってみて!

ごっこあそびが大好きな子ども達は、自分で考えて想像して自身の身体で表現をします。大人が思っているよりもかなり想像力が豊かです。
そこを利用し、言葉を変換して伝えます。

ただこれは、その子自身が全く興味を持っていない課題を与えると逆効果になりかねません。

つまらなーい・やりたくなーい

につながってしまう可能性も十分にありますね。

そういう場合はストーリー性を持たせることもおすすめです。

例えば静かにしなければならない場面で、『話声を小さくする』という目標に対してイメージを用いたアプローチを使ってみます。



ここはね、実は見えない妖精さんがいっぱい飛んでるの。
大きい声を出したら妖精さんがびっくりして逃げちゃうかもしれない。
びっくりさせないようにアリさんの声で話そう!



必要があれば、
みんなが大きな声を出したら妖精さんはどう思う?
みんなが妖精さんだったらどんな気持ち?
こんな質問も取り入れます。


すると子ども達は、
嫌な気持ちになる!耳が痛くなる!
のようなストーリーに沿った回答をお話ししてくれます。

そうすることで『話声を小さくする』という目標達成につながるのです。

まずは興味を持ってもらうこと。

興味を持ってもらうためにはこちらが側も物語に入り込む必要もありますよね。
口調だったり、声のトーン、声の大きさをグッと変えることで
子ども達はこちらに集中し、興味を持って話を聞いてくれます。

こちら(指導者)側が達成したい目標に子どもたちが興味を持つ遊びの要素を取り入れることで結果的に生徒の学びにつながります。



小学低学年クラスでのコーチングアプローチ

小学校低学年になってくると、幼児クラスよりも学ぶことが増え、1クラスの時間も長くなり、レベルがグッと上がってきますよね。

このクラスを教えるときによく悩むことは、
週1回通う子ども達は1週間前のことを1週間後のレッスンで覚えていることが難しいということ。

1歩進んで1歩下がる状態になりかねないということです。
これでは永遠に成長できず、新しいことに取り組むことも難しい。

そこで、この年代の遊びの要素を見てみます。

7歳〜11歳頃の子ども達はゲームを始めたり遊びのルールを理解することができます。さらに点数を追加するなどの簡単な数学的な要素も。


クイズで理解を深める


そこでこの年代の子ども達へのアプローチとして、
一つ一つの学びに対してしっかり理解してもらうために質問を多く設けます。

例えばストレッチの「前屈」を教えたいとき

・前屈ってなんだっけ?
・それはどこを伸ばすストレッチ?
・何がポイント?
・何に役立つかな?
・お家でどんなタイミングでやったらいいと思う?

こんな質問を投げかけます。
ただこの年代のクラスの場合は、

前屈というものはこういうもので、ここを伸ばしているよ。こういう風にやってね。こんなことに役立ってお家ではお風呂上がりにできるといいね。

などという正解を伝えるティーチングを行った後のコーチングになります。

そうすることで子どもは頭を使って前屈という動作を考え、クイズをしているような感覚で復習をでき、結果的に子ども自身の中で前屈をしっかりと理解できるのです。

これはグループレッスンの中でどの子が理解していて、どの子が理解できていないかのリサーチにも有効です。

ただ、理解できていないことを攻めるようにあえて指摘することはしません。
子ども達は言葉に出さなくても、誰かが答えられる問題を自分は答えられなかったという大袈裟にいうと失敗経験をしています。
ここで先生に責められると自信をなくし、やる気を失う子がほとんど。

間違えた子には『おしい!』『うーん、じゃあヒントを教えるね』などの言葉をかけるだけ。
答えることができた子を盛大に褒めてあげるだけでいいのです。

そうすると子ども達は先生に褒めてもらえる成功体験をしている他の子どもを見て、次は自分も!と「前屈」というものを理解しようとしてくれるのです。

そうして前屈クイズを毎週のようにしていくことで
1ヶ月後にはクラスのほとんどと言っていいほどの子ども達が答えられるようになるでしょう。


さらにもっと興味を持ってもらうためにポイント制度の導入もしました。

頑張った分だけシールをはり、頑張りを目で見れるようにすることでもっと頑張ろうという意欲が湧きます。

お家で1週間頑張ると次のレッスンではかなり成長しています。
この習い事に来ている時間以外の時間も、頭の中に少しでも残しておくことができるか。
これが効率よく成長していくサポートになるのではないかと思います。


最後に

いかがでしたでしょうか。
子どもの学びと遊びはいつも隣り合わせ。
学びと遊びを融合する一番の理由は、
子ども自身が興味を持って、自分からやりたい!もっと頑張りたい!とやる気を持って取り組んでもらうためです。
これはコーチングの1番の目的でもあります。

これを取り入れるためには指導者側もいかに子どもを観察し、コミュニケーションを取り、子どもがどんなことに興味を持っていてどんなことと繋げたら楽しく意欲的に学んでくれるか、研究が必要です。

本来教えることにプラスアルファとなるのでかなりの労力が必要になってくるかと思います。でもこの基盤を作り、子ども達が自分から率先して学ぶ習慣がついたとき、効率の良い学習と成長を感じることができると思います。

今回のお話も一例に過ぎません。
私もまだまだ日々研究を重ね、やる気を引き出す指導者を目指します。



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