真の美を探す旅に出よう〜アーティストの世界〜
世界を震撼させた「芸能界の性加害問題」
この事件については膨大な報道があるのでここではその実相ではなく、この事件を受け、筆者がファンとして感じたこと、筆者自身の文脈にどう落とし込んでいくかについて書く。
転職活動中の20代若手から「芸能界もいいなぁ…」と相談された時のこと
どこにでもいそうないわゆる「普通の男の子」がスターになれた日本
ファンとして養いたいもの「本物を見抜く目」
転職活動中の20代若手から「芸能界もいいなぁ…」と相談された時のこと
数年前だったと思う。私が大学でOLをしていた頃に留学生のキャリア支援にも携わったことから若者がキャリアの相談を持ちかけてくれた。相談というお堅い雰囲気ではなく、まぁ、言いたいこと言えて、気晴らしになればいいな、くらいの気軽さで。「芸能界っていう道もいいと思うんですよね…」あ”〜、同じようなことを言ってた人と付き合ってたことがあったかも!?と笑った。誰もが一度は思うことなのかもしれない。でも「芸能界は恐ろしい世界だと思うよ…」と言ってしまった。彼らの夢を破る気はないのに。
私は若者と接する時、彼らが「自分で考え、自分で選び、自分で行動」できるよう、なるべく容喙はしないことにしている。意識的に。彼らが生きるこれからの時代は私にとっても未知の時代。「〜〜だけしていれば間違いない」みたいな正解はないし、助言もできない。年長者という理由だけで偉そうに知ったげなことは言えない、決して。
なのに条件反射的に「芸能界は恐ろしい世界だと思う」と口走ってしまった。そんなこと言わなければよかったといささか後悔もしたけれど、今回の事件を見て、それはまんざら的外れでもなかった。
どこにでもいそうな「普通の男の子」がスターになれた日本
かくいう私もファンだった…実家と母校が厳格だったおかげで「期限を区切って」のファンだった。いわゆる「追っかけ」みたいな経験を子ども時代にしてこなかったことをなんとなく気にしていた。今思えば、同調圧力に過ぎないのに。どこにでもいそうな「普通の男の子」がスターになるという幻想に惑わされたのは私も同じだった。そして「ひょっとしたら僕も!?」そんな幻想を抱く若者をひとりふたりどころではなく何人も見てきた。
なんとなく浅知恵で彼らに「芸能界は恐ろしい世界だと思うよ」と言ってしまったのはおこがましいかもしれない。反射的に言葉が出てしまった。もし、彼らのやる気を削いでしまっていたら、悪かった。ごめんなさい。けれど、芸能界で活躍したいと思う若者が、次に(次があるかどうかわからないけれど)同じ相談をしてきたとしたら…それについて深掘りしたいと思う。
ファンとして養いたいもの「本物を見抜く目」
今回の事件を「ファン」として振り返った時、何を変えなければならないかというと「本物を観る目を養うこと」だ。どこにでもいそうな「普通の男の子」がいわば「広告宣伝の力」とか「単純接触効果」みたいな心理的、小手先のテクニックでスターになっていた…その小手先のテクニックに操られることなく、真の意味で「一流」「本物」「実力」を知り尽くして、自分がそこに手が届くか?自分をじっと見つめてほしい。誰にも負けない何かを持っていて、それが「実力派アーティスト」として開花するものかどうか、ぜひ「当て」をつけて挑戦してほしい。私たちは「自分の強み」の掛け算でしか成功に近づけないのだから。
単に「かっこいい」「イケメン」と外見至上主義(=ルッキズム)でチヤホヤされることによって、芸能事務所に所属し、事務所の支援を受ければスターになれる、と安易に考えてしまいがちだった。まぁ、今まではそうだったけど、やはり、それだけでなんとかなるほど甘い世界ではない。本来は。実力を伴っていないと淘汰されてしまう厳しい世界なはず。
ではチヤホヤする側、ファンについては「本物を観る目を養おう」と思う。それには早期から名実ともに「世界の一流」「本物」「真の美」に触れる経験が大事、と改めて痛感した。
テレビを見てアイドルと歌って踊っている私を「情けない」と叱責した父の気持ちがやっと分かった。父は小さな私の手を引いてよく絵を観に連れて行ってくれた。父は平山郁夫画伯の大ファン。そういう最高傑作に触れる機会を逃さず、大切に育てた娘の心がアイドルに…そりゃ、情けないと小言のひとつも言いたくなる。
「一流主義」「本物志向」をここからまた、養っていこう、と言うと必ず、リバット(=反論)される。「(そんな経験する)お金がない」そう言う意見にさらに私がリバットするとしたら「つまり、やる気がないのね?」
今あるリソースで見つけられる「世界級」「一流」「本物」はお金次第なのか?はっきり言って、筆者は22歳(1991年)に父が永眠した後、お金で苦労した。今もその苦労は続いている。それでも見つけられた「世界級」「一流」「本物」はかなりある。
最後に筆者から「今すぐ見つけられそうな身近な一流」のいくつかご紹介して終わりにしたい。
美術館に行ってみる、それが無理ならせめて美しい景色が見られる場所まで散歩してみる、そんな些細なことでかまわない!真の美しさを探す旅はいつでも何度でも行ける。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?