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【経年変化を楽しむ】革製品のお手入れ・保管方法

財布や鞄、キーケースなどの「革製品」。身近なアイテムですが、使い方による「経年変化」を楽しむのも本革製品の醍醐味です。正しいお手入れや保管方法を知って、自分だけの「経年変化」を楽しみませんか?

皮革製品とは?

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皮革製品とは、動物の皮をなめして作る「天然皮革」と、天然皮革に似せて人工的に作られる「人造皮革」の2種類に分けられます。一般的に人造皮革を広く「合成皮革(合皮)」と呼びますが、厳密には「合成皮革」と「人工皮革」があります。合成皮革は生地のベースにポリウレタンなどをコーティングし、見た目だけを革に模したもの。一方、人工皮革は不織布にポリウレタン加工を施し、より革に近い構造に仕立てたものです。こちらは軽くて摩擦に強く、弾力性・通気性・柔軟性に富むのが特徴です。

どちらも革と比べると製造・加工が容易であり、品質が均一で面積の広いものをつくることができるので、安価に大量生産できるのが利点です。また革よりも化学的に安定しているため水にも強く、スポーツや野外で使用するものにもより向いています。しかし、長年使用しても色艶が変わらないため、味わいのある経年変化を見せることはほとんどありません。

ここでは主に「天然皮革」を用いた製品のお手入れについて説明していきます。

天然皮革の種類

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アパレル製品によく使われる、代表的な天然皮革の種類をご紹介します。

・牛革(カウレザー)
さまざまな衣料品に使用されるレザーの代表格が牛革です。牛革は種類が豊富で、性別や成長具合によりそれぞれ特徴や価値が異なります。生後6ヶ月以内の仔牛の革で作られる「カーフスキン」、生後1年以内の牛の革で作られる「キップスキン」、生後2年以上経過した出産経験のある雌牛の革で作られる「カウハイド」、同じく生後2年以上の去勢された雄牛の革で作られる「ステアハイド」などがあります。特に「ステアハイド」は食肉用の牛から副産物として得られることが多いため、牛革の中で最もメジャーです。

・馬革(ホースハイド)
薄くて柔らかいのが特徴で、ジャケットや財布に多く利用されます。中でも有名なのが、馬のお尻の革で作られる「コードバン」で、その希少性と質の高さからレザーの中でも非常に高価な高級品です。

・豚革(ピッグスキン)
豚革は、牛革に次いで多くの製品に使用されており、耐摩耗性と通気性にとても優れています。日本国内では唯一の自給自足できるレザーとして、海外にも輸出されています。毛穴が目立ってしまうため、スウェード加工を施した「ピッグスウェード」や、なめらかな肌触りと光沢が特徴的な「アメ豚」などの種類があります。

・ひつじ革(シープスキン)
防寒能力が非常に高い反面、薄くて柔らかいため強度が弱いです。いわゆるファッションアイテムに使われる「ムートン」はひつじ革のフランス語表記で、もこもことした毛皮が付いた物を指します。

上記以外にも、財布や鞄などの服飾雑貨に多く使われる天然皮革として、ヘビ革(パイソン)、ワニ革(クロコダイル)、ダチョウ(オーストリッチ)、リザード革などが挙げられます。

革アイテムのお手入れ方法

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皮革製品は使い方によってその人自身の「味」が出るのが特徴。お気に入りの革アイテムと長くお付き合いするために必要なお手入れについてご紹介します。

◆オイルケア
毎日愛用品を手で触るだけでも、人の手による保湿で革のケアにつながるのですが、ずっと使うためにはきちんとしたオイルメンテナンスが大切です。

お手入れのタイミングは?
革は乾燥すると人の肌と同じようにひび割れを起こします。そのため、お手入れのタイミングは「手で触れた時に革のかさつきを感じたら」がベストです。

用意するもの
・革用のブラシ
・革専用のメンテナンスオイルまたはクリーム
・布(オイル・クリーム用)
・乾拭き用の布

※布はファスナーへの引っ掛かりを避けるため、綿などの天然素材で柔らかいものがおすすめです。

まずは隅々までお手入れができるよう、中身を全て取り出しておきましょう。

Step1. ブラシでほこりを落とす
革用のブラシを使って、表面についたほこりを取ります。このあとのオイルケアによってほこりの汚れが沈着してしまわないようにするためです。

Step2. 布にオイル(クリーム)をとる
きれいな布にメンテナンスオイル(クリーム)を取ります。使う量はメンテナンスするアイテムの大きさによって異なりますので調整してください。財布やキーケースなどの小物は米粒ほどの量、鞄の場合は1円玉ほどの量をとり、塗りながらサイズによって調整していきます。

Step3. 全体にオイル(クリーム)を塗り広げる
メンテナンスオイル(クリーム)をさっと全体になじませます。付けすぎるとシミの原因にもなるので、「薄く素早く」塗り広げることがポイントです。円を描くようにして塗るときれいに塗ることができます。

Step4. 乾かしてから乾拭きで仕上げる
1時間ほど乾かしてから、全体を乾いたきれいな布で拭き上げて終了です。

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◆防水ケア
日々のメンテナンスとプラスして行いたいのが防水ケア。革は雨やで濡れると、シミや色落ち、水ぶくれの原因となってしまいます。防水スプレーをすることで水濡れ防止に加えて汚れも防ぐことができます。

お手入れのタイミングは?
1度の雨に1回のスプレーが基本です。お出かけの30分ほど前に吹き付けるとちょうど家を出るころにはちょうど乾いた状態になります。前もって天気予報を確認し、雨の前の日には準備しておくと良いでしょう。また、スプレーは革の経年変化を妨げてしまうこともあるので、多用は避けるのがおすすめです。

用意するもの
・革用の防水スプレー
・乾拭き用の布

Step1. 乾拭きして表面の汚れを落とす
防水スプレーをかける前に、柔らかくきれいな布で乾拭きをして表面全体のほこりや汚れを落とします。汚れが溜まりやすい縫い目部分も丁寧に拭いてあげましょう。

Step2. 屋外に出て防水スプレーをかける
必ず屋外などの風通しの良い場所で防水スプレーを使用してください。本体から30cmほど離してスプレーを拭きかけると、全体にバランスよく行きわたります。初めての防水スプレーを使用する場合は、目立たない部分で試すことをおすすめします。

POINT!
スプレーを使用してから乾くまでは30分ほどかかるので、乾かす時間を考え、時間に余裕をもって準備をしましょう。出かける直前に使用するときちんと乾かず、効果が十分に発揮できない可能性があります。また、防水効果は徐々に薄れてゆくので、梅雨時期などで毎日使うアイテムの場合は、週に1回ほどスプレーをかけなおすと安心です。

Step3. 乾かす
防水スプレーをなじませるため30分ほど乾かします。スプレーをした箇所は最初濡れたように色が変わりますが、乾くと元通りになるので、焦らずゆっくり待ってあげてください。

Step4. 乾いた布で乾拭きする
革の表面が乾いたら、柔らかいきれいな布で軽く拭き上げて完了です。目立たない箇所に、1、2滴水をつけてみて、弾いたら大丈夫です。

正しい保管方法は?

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革製品を使う上でのポイントが「保管方法」。ケアも大事ですが、きちんと保管ができていないとカビや型崩れの原因となることもあります。革製品を長く愛用するための正しい保管方法をご紹介します。

保管のタイミングは?

【日頃の保管】
普段使いのアイテムは、使わない日には中身を出して休ませてあげると、革への負担が減りくたびれてしまうのを多少和らげることができます。鞄の場合は、タオルや新聞紙を入れておくと湿気や虫予防、型崩れの防止になります。

【長期の保管】
使う回数の少ないアイテムは、保管期間が長期にわたる場合、中身を全て取り出して「オイルケア」をしてから保管するのがおすすめです。タオルや新聞紙を入れて型崩れを防ぎ、色移りしたりほこりがつかないよう、製品が包まれていた袋にいれて保管しましょう。

用意するもの
・革用のブラシ
・乾拭き用の布
・中に詰める新聞紙やタオル
・製品が包まれていた布

※布はファスナーへの引っ掛かりを避けるため、綿などの天然素材で柔らかいものがおすすめです。

Step1. ブラシでほこりを落とす
革用のブラシを使って、表面についたほこりを取ります。汚れやほこりが残っているとカビの原因となるため、丁寧にしっかりと行います。時間があれば、柔らかい布で乾拭きもしてあげると理想です。

Step2. 柔らかい布や新聞紙を入れる
型崩れを防ぐため、柔らかい布や新聞紙を入れます。新聞紙は湿気を吸い、インクによる虫よけの効果も期待できます。色移りが心配なときは、布やタオルにくるんでから入れると良いでしょう。

Step3. 袋に入れて保管する
ほこりや色移りなどを避けるため、製品が包まれていた袋(もしくは代わりになる袋や布)に入れて保管します。革製品は型崩れしないよう、吊るしたりはせず「縦置き」に。また、高温多湿や日光の当たる場所は避け、風通しの良い場所で保管しましょう。

POINT!
革が変質してしまうため、防虫剤は同じ袋に入れないようにしましょう。また、ゼリー状の乾燥剤は、革に触れると硬化・収縮する恐れがあるので使用はおすすめしません。

まとめ

いかがでしたか?
丈夫な革製品は、正しいお手入れや保管方法を知るとさらに長く使えて、日々の良きパートナーとなってくれます。
ぜひ実践して、自分だけの「味」を楽しんでみてください。

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