ドストエフスキー『罪と罰』⑬
シリーズ↓
ラスコーリニコフが水を飲んで昏倒してから、4日間が経ちました。目を覚ました彼の周りには、ナスターシヤやラズミーヒンがいます。彼が寝てる間にゾシーモフというラズミーヒンの友人の医者に診てもらっていたようです。
ところでこの医者のゾシーモフ、日本語に訳すと”延命君”となるらしいです。笑えますね。
ラズミーヒンはおかみさんに出された食事を食べながらこう言います。
コミュ力に自信ありの男、ラズミーヒン。この明るさが、基本的に暗めな(というのも安易な表現ですが)この小説のバランスをとっていますね。
そのあとラズミーヒンはラスコーリニコフの服装を整えるためにいくつかの古着を買ってきて、また部屋に戻ってきました。ゾシーモフもやってきて、軽くラスコーリニコフを診た後、ラズミーヒンと話します。
ラズミーヒンの人間観がうかがえます。同時に、ドストエフスキーの”進歩派”への懐疑的な視線も感じます。あらゆる点で人間をふるいに掛けたら、自分とゾシーモフを合わせても焼き玉ねぎ一個分くらいの値打ちになってしまうよ――面白い言い方です。
この二人の話は老婆殺害事件に移り、現在捜査線上にミコライというペンキ塗りの男が犯人として挙がっていることが明かされます。この男はザライスク群という分離派教徒の村の出身で――つまりこの点でラスコーリニコフ(割崎英雄)と類似したところがあるのですが—―当然犯人ではないのですが、警察に疑われているのです。
そうした話がされていたところに、一人の男がやってきます。妹の婚約者のルージンがやってきたのです。
短いですが、今回はこれだけにさせてください。というのも、「です・ます調」で書くのがたるくなってしまったのです(身勝手の極意)。
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