『罪と罰』読みどころ③ ソーニャの住処
今回からタイトルを変えた。今までは「感想と抜粋」としていたのだが、これだとなんとも味気ないので、思い切って「読みどころ」とした。『罪と罰』を読んだことのない人にもこの記事が届くようにという願いもこめて。ドストエフスキーについて今さら私が「ここが読みどころですよ!」などとやるのは身の程知らずな気もするが、そんなことを言っていると何も書けたもんじゃないので、まぁあまり気にせずに堂々と書いていこうと、そういう気持ちである。
ソーニャは仕立屋のカぺルナウーモフという人のところで家を借りている。この「カぺルナウーモフ」という名前は聖書に出てくる「カファルナウム」という地名から取られている。カファルナウムはイエスの活動の中心地であった。イエスはそこで悪霊を追い払ったり、病人を癒したりしている。そのことを頭において読めば、次の文はもう「そのまんま」と言えるだろう。
ソーニャがその前にマルメラードフ一家と暮らしていた家は、マルメラードフに言わせれば「ソドム」である。ソドムとはもちろん、創世記にでてくる、神の怒りによって滅ぼされた神話の町のことだ。つまり、ソーニャはなんとかかんとか、神に滅ぼされた町「ソドム」からイエスの伝道の地「カファルナウム」に移ってきたということだ。ちなみになぜソーニャが追い出されたかといえば、ソーニャが売春を始めたからである。ひどい話だが、そうやって迫害された売春婦をイエスの地がかくまうのは、「あなた方のうちで罪のない者がまずこの人に石を投げつけなさい(ヨハネ福音書)」からもわかるように、自然な流れと言えるだろう。
ソーニャも極貧のなか売春をしなくてはいけなくなり、かなり悲惨だが、最後のところではイエスの祝福があるような、そういう気持ちにさせてくれる。
短いが、この記事はここで終わりとする。なぜか。私は毎日投稿を継続しているのだが、今日はもうあと15分ほどで終わるのだ(現在23時46分)。もう時間がない。こんな小話一つでこの記事を終えなければいけないこと、無念に思う。ではまた。
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