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読書感想文:それもまた小さな光/角田光代

 

最近、集中して本が読めていないなあともやもやが続いていた。

衝動的にホテルを予約した。
近場で軽くご飯を食べて、あとはホテルに籠もって積読を消化しよう、
と思いついて。

本を4冊抱え、着いたのは馬喰町。
降りるのも歩くのも初めての駅。駅からすぐそばのホテルにチェックイン。

夜勤明けで若干寝不足なことも相まって、逆に上がっていくテンション、
すぐに本を読む気にはなれず、少し調べてあった近くのワインショップへ。
東京らしく、せまーいセラーにずらっとナチュールたちが並んでおり、荷物を抱えてワインを倒さないようにしながらそろそろワインを物色。
店員さんに話しかけられ、最近オレンジワインにはまっていると伝えると、何本か出してもらった。気になる1本を購入。
さあこれを飲みながら本を…
と思ったけど、併設しているレストラン?ダイナー?に吸い寄せられ、ついついカウンターへ座ってしまった。
さほど大きくない店内ながらも、席はほぼ満席でおまけに皆さん2人組(ほぼ男女)。
隣にはすでに出来上がっている2人組、楽しそうではあるが
がはがはと笑う声が店内に何度も響き渡り、むー、となったが引き返す勇気もなく、結局泡・白・赤をグラス1杯ずついただく。
気の毒に思ったのか、初めてにもかかわらず店員さんが「豆っている赤」の説明と試飲をさせてくれたり、メニューにないワインを持ってきてくれたりして、申し訳ないような嬉しいような…
でもでも、ワインや料理は美味しくいただきました。

1軒飲んでしまうとエンジンがかかり、ついついもう少し飲めないかとお店を探してしまうのが酒飲みの性なようで、
ふらふらと周囲を散策する。
ほろ酔いで知らない街を歩いている瞬間が一番楽しい。
誰も私のことなんて知らないし、誰も私のことなんて気にしてないし、自由だー!!と叫びたくなるそんな気持ち。
そして発見、
お店の名前に「ワイン」が入っており(変に小洒落てる名前は、初見だと非常に入りにくい)、明るく清潔でカウンターメインの店内が外から見え、
おまけにカウンターには静かに読書をしている紳士(おじさん)がいるではないか!
一回通り過ぎるも誘惑に勝てず、入店。
カウンターには常連さんと思しき紳士(おじさん)が2人と優しそうな店主さん。
入るなり皆さんが声をかけてくださり、緊張が一瞬でほぐれる。
お互い全く知らない相手で、きっとこれから先交わることなんてないのだろうけど、
そんな人たちと取り留めもない話が、もしくは近くにいる人だからこそ話せないような話ができるのが、酒場の素敵なところだ。
美味しいワインをいただきながらついつい長居してしまった。

良い店にであえたときの充足感といったら。
満ち足りた心でるんるんホテルに戻る。
もちろん、ホテルについてからはそのままベッドにダイブ、
本なんて1ページも読まずに眠りこけた。

結局本をちゃんと読み始めたのは、次の日ホテルをチェックアウトしてからだった。


それが、これ。
(前置き…長すぎ)
角田さんのそれもまたちいさな光
本の裏側には、
デザイン会社に勤める悠木仁絵は35歳独身。今の生活に不満はないが、結婚しないまま一人で歳をとっていくのか悩み始めていた。ー中略ー 人生の岐路にたつ大人たちのラブストーリー。
とあり、一見どこにでもありそうなありふれた話のように思われる。
んだけど、
この話の鍵となっているのはラジオ番組、だ。
1つのラジオ番組が、登場人物を結び付けていく、そんな物語。

話自体がすごく面白いか、と問われたら、素直にうんと言えないかもしれない。
でも、この物語に登場するラジオ番組のメインパーソナリティの竜胆さんがとても好みの設定で、
改めてラジオっていいかも、と思わせられた。
みんないろんなことを考えながら、生活して、恋愛して、仕事をしているけど、
たとえ心の底からやりたかった仕事でなくても、すごくやりがいのある仕事でなくても、
自分のしたことがいつかどこかでだれかを救っていたら、それってめちゃくちゃ嬉しいなあと思った。
恋愛小説だけど、私の感想はこれでした。


いまようやく、千早さんのエッセイが読み終わるよーん。

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