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実は自分が嫌われていなくて、むしろ好かれていると言ったら信じますか?

私には苦手なタイプの人がいる。
ピリピリ、カリカリといつも怒っている人だ。

そんな人が同じ空間にいると落ち着かない。
いつも鈍感な私だけど『イライラ』だけは
敏感にキャッチして、とっても気になる。

だから、カリカリする人がいたら物理的に
距離を取って自主避難をしていた。
平たく言うと避けて生きてきたのである。

しかし、どうしても避けられない時もある。

私が以前通っていた歯科医の先生がまさに
『イライラ』を前面に出す人だったのだ。

その先生は男性で、見た目は50~60代。
私より大柄で強面(こわもて)。
言葉遣いは丁寧だけど語気は強めだし
仏頂面だし、スタッフとの言い合いもある。
心なしか私への“あたり”がキツイ気もする。

(もしかして私、先生に嫌われている?)

そんなマイナスな思いを抱えながらも
そこの歯科医の評判はピカイチだったので
(実際、腕はとっても良かった)
当時の私はしぶしぶ歯科医に通っていた。
歯科医受診の日が憂鬱だった。

しかし、ここで転機が訪れる。

嫌われる勇気という本に出会ったのだ。

この本をざっくり言ってしまうと自己啓発書。
アドラー心理学という視点から人生のヒントを
読み取る本なのだけど、単純に読み物として
面白すぎる名著。
450万部を超える超ベストセラーなので
知っている人は知っているのではなかろうか。

そんな本書で私に刺さったフレーズの一つ。
お前の顔を気にしているのはお前だけ

これは
「自意識過剰は良くないよ」ではなく
「あなたを嫌う人はそんなにいないよ」の意。

乱暴に言ってしまうと
お前、自分が嫌われてると思ってるの!?
いやいや、別にお前に関心払ってないよ!

・・・ということは、つまり
私が歯科医の先生に嫌われていると思うのは
ただの私の被害妄想なんじゃないか?

冷水を正面からぶっかけられたような
シャキッと目が覚めた思いでした。

(ふむ、じゃあ試してみるか)

歯科医で私の名前が呼ばれて先生と対面するなり
「おッはようございまーす!」
あたかも長年苦楽を共にした親友に向けるように
最高の笑顔、最高のトーンで最高の挨拶を決行。

大柄な先生は一瞬目をぱちくりするやいなや
ニコっと笑顔を返してくれた。
(あ、笑顔できるんじゃん)

そして私が歯を削る専用のアノ椅子に座ると
大柄な先生から私の背中を心配する言葉が。
(いままでこんなことなかった!)

背中から背骨、そして野球の話題を次々と
大柄な先生は私にプレゼントしてくれた。
というかトークが止まらない。
おいおい、こんなに喋る人だったのか。
私はアノ椅子で口を大きく開けながら
ニコニコと相槌を打っていた。

そういえば、と気付く。

私はこの大柄な先生の雰囲気に圧倒されて
笑顔を向けてこなかったのかもしれない。
仏頂面をしていたのは私の方だったのだ。

この時間違いなく、私の世界は少し変わった。
私別に嫌われてなんていなかった。
むしろ好かれていたのだから。

最初から『敵』と決めてかかれば争いは必然。
私はとても良い教訓を得たのだった。

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