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そろそろ「育てる装い」を

洋服をアテに、お酒を飲んでみたくなった。以前、noteで素敵な記事を読んだからだ。

エイジング途中の、まだ硬い馬革のライダースジャケットを眺めながらウイスキーを飲む……、という内容だったと思う。

好みの洋服とお酒とともに過ごすひととき、幸せだろうなあ。大人ならではの楽しみという感じがする。

しかし、残念なことにわたしは下戸げこ。チューハイ三口でいい気分になれる人間である(いい気分を通り越すこともある)。

じゃあ、こうしてみよう。

午後はカフェイン摂らないことにしているので……。

ノンカフェインコーヒーとライダース。あまり絵にならない気もするけれど、ひとまずこれでよし。

小柄なわたしでも着られる5号サイズの本革ライダースジャケットを探して、やっと手に入れたもの。春と秋に活躍してくれている。

だけど、これのおかげで夜のコーヒーがおいしく感じられるかというと「なんか違う」のだ。わたしも洋服は好きだし、多少の思い入れもある。でも、違う。

もしかしたら、わたしのライダースジャケットがラムレザー(子羊革)で、最初から柔らかいせいだったりして、と思い当たった。これははじめて着たときから硬さを感じなかった。馬革と違い、体になじませる工程は必要ない。

愛着は、手間暇かけることで生まれる場合も多い。洋服もたぶんそう。大切に扱い、時間をかけて、自分だけの一着へと育てていく。その過程そのものが愛おしいこともある。

わたしがラムレザーのライダースジャケットで酔えないのは、アルコールを摂取していないからではなく、手をかける必要のない素材を選んだからかもしれない。

愛着のあるものや、ポリシーにしたがって厳選したもの。そういう逸品たちはきっといいアテになる。お酒もコーヒーもおいしくしてくれる、魔法のかかった品々なのだ。

人生の信条だって、自分が苦労の末に得たものなら輝きはひとしお。マニュアル本からお手軽に手に入れたものとは違うはずだ。それを信じて生きていこうときっと思える。

洋服の場合も、自分が育てあげたものほど愛おしいというパターンがありそうな気がする。

だいたいの人は洋服を着なければ生きていけない。装うことは生きること。わたしもそろそろ「育てるおしゃれ」に挑戦してみようか。

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