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デザインセミナー「OEMからODMへ」報告

弊社代表が会員となっている日本インダストリアルデザイン協会(JIDA)中部と名古屋市工業研究所「Nagoya むすぶ Tech Lab. 」で開催している月1回開催のデザインセミナーの簡単な報告です。

今回は名古屋学芸大学の黄ロビン教授が講師で「OEMからODMへ」のタイトルでお話いただきました。以下は箇条書きでロビン先生のお話の内容を記載します。ロビン先生は大変話し上手で楽しく聞いていましたが、文章にすると無機質になってしまいますがご了承ください。

・台湾と日本で勉強、仕事をし、家電のインハウスデザイナー、デザインの研究職、デザイン事務所主催、大学で教職となる経歴。大学ではTeacherとしてではなくCorchingとして学生を導く役割を意識している。

・問題を解決することがデザインの役割。問題をいろいろな角度から解釈・把握して、問題の本質を捉えることが必要になる。

・台湾から日本に来たのは、当時は家電のデザインの最先端が日本だったから。しかし90年後半か2000年ぐらいからは、家電に関して世界の認識としては、品質の日本、デザインの韓国となっている。

・経産省のデザイン経営に関する資料では、ブランディングとイノベーションが重視されているようだが、多くの中小企業にはなかなか難しいのではないか。ブランディングは簡単に見えるのかもしれないが、相当なノウハウと莫大なお金が必要になる。

・これまで下請けのみだった企業がいきなりオリジナル製品を作るが、販売のノウハウがなく、資金も少ないので難しい。そこでODM (Original Design Manufacturing)が 良いと思われる。まずは自社でデザイン、設計、製造を行って、販売はこれまでの取引先にお願いするのが良いと思われる。その時はこれまで下請けとして受注していた製品と競合するものではなく、市場を広げるようなものが良い(これまでハイエンドの製品を作っていたなら、ローエンド側の安くて数がでるものとするなど)。

・事例として光学機器のメーカーのプロジェクトを紹介。社員50人程度で、設計者は2人の小さな会社で、最初はオリジナルブランド製品を希望されていたが、うまく行かないことが多いことを説明したり、その会社の強みと市場の位置付けを分析したりして、ODM方式を提案した。

・その光学機器メーカーは、ハイエンド側の下請けに加えてローエンド側をODM製品として完成させた。これまでの下請けメーカーだけでなく、他の会社でも販売してもらうことができた。

・デザインはロビン先生が担当し、タッチパネル周辺は機器の変更に対応できるように小さな別パーツとした。またそのパーツの色や印刷内容を変えることで、1社だけでなく複数の会社で販売してもらえるようにした。

・同じモノでも立場や見方によって違うものと認識できる。下請けとして製造したものは「産品」で生産性やコストを気にしているが、「製品」としてとらえると市場性が重要になり、「用品」と捉えるとユーザーとしての使い勝手や安全性が大事になってくる。



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