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人生は刺繍だ

「人生は刺繍だ。前半はきれいな表側を見ているが、後半は裏側を見ることになる。きれいではないが繋がりがわかる。」

というのは、映画「ニューヨークの巴里夫」に出てくるセリフ。うろ覚えだけど。
子どもを産んでから、自分の感受性が変わったことを強く感じる。というか、あることが急にわかるようになった。
そしてこの言葉を思い出す。

私の親が、私のためにしてくれたこと。
息子のための絵本を選ぶとき、ぐずる息子を寝かしつけるとき、息子のおしりをきれいにするとき、私もたくさん絵本を買ってもらったこと、毎晩の寝る前のお話と子供部屋の天井の光る星、私もかつておしりをきれいにしてもらっていたんだということを思う。
自分の子供時代を私はノスタルジーと共に思い出すけど、母はあのときもあのときも、本当に大変だっただろうなと思う。私にとって親は最初から親だった、困ったときどうすればいいかぜーんぶ知ってる大人だったけど、そんなことはない。本当は一人のただの人間だったんだ。あのときもあのときも、本当は母は内心困ってたり、疲れてたりしただろうな。でもずっと、そんな苦労は見えてなかった。
月並みな言葉だけれど、親の立場になって親の気持ちがわかるようになった。
大げさにいうと、今まで生きてきた世界が違って見えてくる。
必ずしもきれいじゃないけれど、むしろぐちゃぐちゃだったりこんがらがったりしているけれど、繋がりがわかるようになった。

十代のとき恋愛の歌だと思っていた歌詞が、今聴くと親から子に向けた愛を歌ったものに聞こえたりとか。
生意気にも私は、社会人になって数年経って、もう世の中のことほとんどわかったような気になっていた。
でも違った。裏側があった。これまでは全然見えてなかった世界。
これからもまた、今見えてない世界を見ることになるのかもしれない。
人生って思ってたより奥が深いな。

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