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ただの日記 #1

14:56 近所の一番のお気に入りでこれを書いている。
隠れ家みたいに路地裏のマンションの一角にあるんだけど、たぶん近所の人はみんな知っていて、いつもお客さんが絶えないのに毎回ちょうどよく座るところが残っている。伊坂さんのエッセイにあった「長居できる、空いている、(あとなんだっけ)」の三拍子揃った喫茶店を執筆の拠点にしていたらことごとく潰れてしまった。という当たり前のちょっと切ない記述を思い出して、ここは好きだけど潰れることもまずなさそうで安心する。

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コンクリートの壁に均等に並んだ小さな穴がたくさんあって、それが昼間のプラネタリウムみたいに光っているのが好き。天井までコンクリートなんだけど、壁の一面だけ下半分が窓になっていて、蔦のグリーンカーテンが揺れるのが涼しい。今日は、ちょっと迷ってアイスコーヒーとぶどうタルトにした。頼んでほどなくして、隣のケーキ屋さんから私のタルト一つだけを皿に載せて、コック帽をかぶったおじさんが届けにくる。特別みたい。


昨日の夜中は、気まぐれでドライブに誘った。

台風だったのに。

あと、運転するのも私じゃないんだけど。


まだそんなに雨がひどくなってはいなかったひとり帰り道、眼鏡についた水滴と、その向こうの景色に焦点を交互に移す遊びをしながら帰ってきた。

いつもの通り眼鏡を無視して目の前を見る間は、もやがかかって邪魔だなあぐらいでしかなかったのに、水滴のついた目前のガラスの方を見ようとすると、曇った小さなガラス壁に自分が閉じ込められたような感じがして面白かった。

帰るとなんでか冷凍庫が開かなくなっていて、力づくで開けると氷の城が築かれていた。水が漏れたのか扉が閉まっていなかったか、はたまたどっちもか。
秋だからと茄子の豚みそ炒めを夕飯に出したら、この豚さっきの冷凍庫に入ってた?とぎょっとされた。大丈夫、さっきスーパーで買いました。


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こんな雨の中用事もないのに外出歩いてる人なんかいないよー、と言いながらカーシェアの駐車場に急いだ。24時。お台場にしようかとか川崎にしようかとか言いながら、行き当たりばったりなのにお金を払って首都高に乗るのは渋いなという私のわがままで、皇居をぐるっと回って帰ってきた。

タルトとアイスコーヒが来た。
むかし家族ぐるみでよく旅行に行っていた仲良しの姉妹が、どっちがお母さんのコーヒーにミルクを垂らすかで毎回争っていたことを思い出した。


なんでもないことも 2019.9.23

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