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退路を断った心理系大学院受験

「木曜以外の昼間は仕事できるんじゃ!?」
日中の仕事をしながらでも大学院に行ける!と期待が膨らんだ私は、院生にも話しが聴けるという東洋英和女学院の相談会に参加した。(それまでの経緯は☟)

 院生に実状を聞いたものの…

 東洋英和女学院は大学は横浜だが、大学院は東京の六本木と麻布十番の中間にある。歴史を感じる博物館のようなこぢんまりした校舎(上記見出し画像は正面玄関)で、とてもよい雰囲気だ。ちなみに男性トイレは各階にはない。

 相談会では、30分程度の大学院や教員の紹介、心理相談室の概要などが説明された。「実践者育成の場なので、研究目的の人は適さない」という言葉が印象に残った。
 さて、終了後にいよいよ個別相談の時間となり、ロビーで2人の女性の院生が相談コーナーで待っていた。私はそのうちの一人(40代?)に相談することにした。真っ先に「仕事をしている関係で年に数回休みを取る必要があるが、実際のところ休むことは可能か」と尋ねた。すると…

 「授業は夜間でも平日の日中は実習がかなり入ります。学内の心理相談室での実習の他、定期的に2つくらいの実習先に週に2回程度、数ヶ月から半年くらい、継続して行くことになります。外部で実習に協力していただいている施設に通うので、自己都合で休むことは難しいでしょう。」

(割と冷ややかに言われた…(~_~;)

えー!じゃぁ仕事無理じゃん!!

 昼間型はともかく、夜間型ならなんとかなるだろう、と思い込んでいた私は愕然とした。この院生がたまたまそうなのか、それが一般的なのかは結局入学してみないとわからない。どの実習先になるかは院生で振り分けるため、自分の都合ばかりがまかり通るわけではない…
 
 その後の数日間は悶々としていた。それでも入ってしまえばなんとかなるのか、いや勝手にシフトに穴を空けるのは失礼だろう、そうなると大学院に行くこと自体無理なのか?心理師は諦めたほうがいいのか、いや、そもそも大学院に行く必要があるのか、臨床心理士にならないといけないのか… 

相談会での教授への相談が転機に

  かなり滅入っていた私は、昼間型の大学院の対面相談会に出ることにした。その学校はもともとは第一志望だったが、昼間型だったため出願は諦めていた。相談会に参加した理由は、A教授に会えたらいいな、くらいの感じだった。出願に必要な研究計画書を書く上で参考にする多くの先行研究の中でも、A教授の論文に大変感銘を受けたからだ。

 するとなんと、その相談会で大学院の紹介をしたのがA教授自身だった。他の大学院で経験した、淡々と、時には上からものを言う教授と比べ、A教授の姿勢は素晴らしかった。笑顔と謙虚な姿勢で、かつ実直に大学院の情報をわかりやすく伝えてくれた。

 話しを聞くうちに、「このA教授のもとで学びたい!」という気持ちが沸々と湧いてきた。とは言え、この大学院は昼間型だからなあ…。そう思った時にA教授からとどめの言葉があった。
 「社会人の受験生で、入学後に仕事と両立することとか考えている方もいるかもしれませんが、うちの大学院は結構忙しいです。恐らくアルバイトすらできないと思ってください。
 だよなー。うーん… でも、ここに入りたい…。

 相談会では、説明会のあとに学校内の施設見学や教授陣への個別相談ができる。私は説明会が終わるや否や、A教授のもとに走り、
「先生、後ほど直接ご相談させてください」とお願いした。

 そして、結果的にこのA教授との直接の面談が、私が大きな決意をする決め手になった。
 昼間の仕事を辞めよう。この大学院を目指そう。ここに入ろう。この教授から学ぼう。
覚悟が決まり身震いした瞬間だった。

 背水の陣の状態に自らを追い込む

 こういう経緯で私は昼の仕事(講師業務)を辞め、大学院での勉強に2年間集中する決心をした。正直これはどの社会人にも勧められることではない。私の場合、どうしてもこの学校に行きたいという気持ちが強くなったので、そうせざるを得なかった。

 とは言え、この段階では大学院に入学が決まったわけではない。昼の仕事を辞めることを決めないと、昼間型大学院に受かっても行くことはできない。だから合格する保証はないが、仕事を辞めることを先に決めて、仕事の関係者に相談した。幸い、みな私の申し出を快く承諾し、応援していただいた。ただ、それと引き換えに私の年収は半減することが決まってしまった。
 私の仕事の場合、翌年の研修スケジュールは夏までには決まってしまうので、秋に合格するまで待ってもらえないのだ。自ら退路を断って、受験勉強に集中することにした。
 こうして私の志望校が決まったのは、試験日の3ヶ月前だった。

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