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番外編 あなたの光が必要だ。

誰にも抱かれて欲しくない。あたしにとってのあなたはそうだ。絶対的に美しいものなどこの世に一つとないとして、それでもあなたはあたしの絶対だ。

恋も愛もどうでもいいし、語れるほど知りもしないくせに謳う詩はもっと嫌いだし、真の意味で愛を知ることなど一生なく終えるくらいならあなたに好きだと言ってから死にたい。あなたを震える指で引き寄せていいのなら世界は黎明に呑まれていくだろうと思う。夜明けの朝に月はいらない。わたしはそう思う。

わたしにないものを持っているあなたも、わたしとすこし似ているあなたも、わたしと違う色に感動するあなたのことも、全部好きだ。無尽蔵に湧いて来てしまうこの感情の拠り所がどこなのか、わたしにはもうわからないけれど、今、わたしはあなたを好いていると感じる。あなたの笑うさまを見ているだけで世界を信じられる気がするから、もうそれだけでいいのです。花の咲くよりもわたしを泣きそうにするあなたが、永遠に笑っていられればそれでいいから、どうか笑ってくれ。

恋をする。息をする。

あなたの丸みを帯びたほっぺたがあたしに寄ることがあればいいのに。

あなたのすこし厚ぼったい瞳の下で強く光る澄んだ双眸が、あたしのものになればいいのに。

呪いのように思ってしまう。横顔も、笑った顔のしわも、膝をくっつけてねむるところも、独特な響きを持った声も、世界の原理だったらよかったのに。あなたが死んでも残る真理が宇宙に刻み込まれていればよかったのに。

わたしはあなたをどうにもできないほど大切に思っていて、それはあなたには絶対伝わらないから、いっそ消えてほしい。それでもどうしても好きだから、あなたに幸せになってほしいとも思っているのです、うそじゃなく。だからどうかあたしがあなたを幸せにできると言ってよ。

パートナーという言葉の響きは柔らか過ぎてあたしの欲望は飾るには刺々しすぎるけれど、そばにいたいという意味でならそれはわたしのいつでも沈鬱な心に深く深く、ほんとうの意味で寄り添うのです。

ああ、どこまでもただの恋煩い。

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