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朝ドラ「まんぷく」に学ぶ、困った人への対処法

NHK朝ドラが8:15からだった時代は、働き盛りで忙しかったこともあり、あまりちゃんと見ることはありませんでした。今は8:00開始になったし、ありがたいことにBSでもNHKプラスでも見たいときに自由に見ることができます。

以前、らんまんが素晴らしかった話を最終回直後に書きました。

最近の朝ドラは再放送もなかなか面白く、今は「まんぷく」をみています。ご存知インスタントラーメンやカップヌードルを開発した、安藤百福・仁子夫妻をモデルにした物語です。ドラマでは萬平・福子という夫婦です。

2018年当時から楽しんでいたのですが、なんだか気持ちよく見ていた記憶があります。ストーリーやキャラクターが面白いことももちろんありますが、登場人物の扱いが基本的に優しいからでしょう。

このドラマにはとりわけ困った、厄介な登場人物が何人か出てきます。

その最たる人が、主人公福ちゃんの母、鈴さんです。この人は「私は武士の娘です」が口癖のとてもプライドの高い人なのですが、実際には忍耐力も責任感もあまりありません。

ときには仮病を使ってまで、周囲の人々を自分の思い通りに動かそうと躍起になります。しかも、自分がそうだからと言って、本物の激痛に苦しんでる人に「仮病じゃないの?」と真顔で聞くという、ここまでくるともうコメディですよね。

3人の娘の母なのですが、いずれの結婚相手にも納得がいかず、何かにつけてチクチク不満をもらします。早くに結核で亡くなった長女だけは常にこの母親の味方になってあげる人でしたが、次女と末っ子の福ちゃんは反抗したり逆にからかったり、しつこい時には母親のわがまま発言を無視したり、ある意味たくましくなっていきます。

ところが不思議なことに、鈴さんから陰でけっこう悪く言われている3人の夫たちは、鈴さんを実際より善良な人と解釈しがちです。誰も相手をしてくれないというわがままから鈴さんが家出したときにも、どこかで泣いているに違いない、と心から心配し、そんなわけないと妻たちから笑われます。

画家である次女の夫は、「お義母さんきれいだから絵のモデルになってほしい」とナイスアシストし、鈴さんはすっかりご機嫌になります。さらにその絵を「観音様のよう」と褒めて、鈴さんが寛容な態度を取らざるを得ない方向にもっていきます。

現代だと毒親と言われかねない行動をとる鈴さんですが、意外と素直だったり可愛い面のある鈴さんを松坂慶子さんがチャーミングに演じています。困った面があっても、いい面が出るようにみんなでうまく持っていくあたりは真似したいものだと思いました。

もうひとり、このドラマに欠かせない困った人というと、世良さんという個人経営の商社の社長さんです。口がうまく偉い人には取り入るという胡散臭い存在で、萬平さんの味方になったかと思っていたら商品の塩を闇市に流すなど悪事も働きます。また、状況が悪くなると姿をくらましたり、こちらも足を怪我したと仮病を使ったりします。

それに対して福ちゃんは、その行動を責めたり怒ったりするのではなく、一枚上手の取引能力で、世良さんが悪事で稼いだ分を上回る金額を手にするのです。そして、その悪事を知っていることをさりげなく知らせるという、かっこいいところをみせます。

この世良さんも鈴さんと同様で、憎めない面があります。福ちゃんの手腕を認めており、落ち込んでいるときには力強く励ましたりもします。また営業能力が高く、商品を売る工夫などではその実力を発揮します。世良さんを演じる桐谷健太さんははまり役と言われていますが、私にはどうも、以前推しキャラで紹介した「わるもの」に似て見えるんですよね。

わるものキャラ

困った人たちに出会ったらどう対処したらいいのか、このドラマは示してくれます。私にとっては、ストレスコーピングについて学べる教材になっているんです。

困った人であってもたいていいい面があるし、人がどんどん悪い方に進んでしまうのを防ぐ手立てはあるはずだと考えさせてくれます。制作者側のその姿勢が優しいというか、気持ちよく番組を見られる理由になっているのではないでしょうか。

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