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#13 コンポストで気候変動対策(その2)

2023年ももう少しで終わりですが、今年が「史上もっとも暑い年」になることが「ほぼ確実」だそうです・・・
 
大気中のCO2濃度は上昇を続けてついに400ppm超。(1750年以前は280ppm程度だった。) 
それにともない、世界の気温も上昇し続けています。
 
先日、コンポストがCO2排出削減にも役立つという話を書きましたが、今回は、CO2の吸収(=すでに大気中にあるCO2を減らす)にも貢献できる!というお話です。
 
今後の気候変動対策で重要なことが二つあります。

ひとつめは、当然ながら二酸化炭素排出を減らすこと。
 ふたつめは、今、大気中にある二酸化炭素を減らすことです。

今すでに大気中のCO2濃度は気候変動が起きるレベルに達しているわけなので、排出削減だけでは不十分。
なんとかして大気からCO2を除去していく必要があります。
 
それはつまり、大気中から何等かの形でCO2を吸収して、それをどこかに貯めていくということです。
世界中でこのための技術開発も様々行われていますが、まだ「これなら大々的にできる!」というものは登場していません。
 
ところが、実は、安全+安価な方法は昔からあります。

それが、植物の光合成を使うという方法です。

陸上の植物は光合成によってCO2を吸収して、炭素が多く含まれた体を作り、さらに落ち葉などが地面に落ちたり、枯れて死んだりすると、微生物などがそれを食べて炭素をたっぷり含む土壌が作られていきます。
また植物を動物が食べることで動物の体にも炭素が貯まっていきます。

国立環境研究所によれば、「世界全体で陸上の生態系(森林や草原、農地など)は1年間に炭素量にして31億トンほどのCO2を正味で吸収」と見積もられているそうです。
 
この生き物による莫大なCO2の吸収を減らさないで、増やしていくことが大事です!
「森林を増やそう」「生態系を破壊せず、より豊かにしよう」というアクションは、気候変動対策としてもすごく重要なことなのです。
 
さて、前置きが長くなりましたが、これがどう、コンポストに関係あるの?ってことです。
 
それは、コンポストとは、地球上でずっと続いてきた自然の中の炭素の循環(=光合成が元になって作られた生き物の体を微生物が分解して炭素たっぷりの土壌を作る)を、人の手で理想的な状況を作ってお手伝いしているものだからです。
 
★コンポストを使った場合
植物が光合成で炭素吸収⇒人間が食べて、残り(植物の体)をコンポストへ⇒植物の体を食べて微生物(炭素の塊)が増える⇒微生物が土の中で増えれば増えるほど、土壌中の炭素が増える。(微生物の遺骸も含む)
 
★コンポストを使ってない場合
植物が光合成で炭素吸収⇒人間が食べて、残りは生ごみとして焼却(=炭素は再び大気中に戻ってしまう&運搬・収集のために化石燃料を使うため、CO2排出はプラスになる。)
 
 
さて、この「土壌に炭素を貯める」という方法、世界でも大きく注目されています。
 
2015年のCOP21(パリ)の時には、「4パーミルイニシアチブ(英語サイトのリンク)」ということが提唱されました。
毎年、世界の土壌炭素を0.4パーセント(4パーミル)増加させられたら、大気CO2濃度の上昇を止められる」という計算となり、世界が協力して土壌炭素を増やしていこうという取り組みなんです。
 
コンポストは、個人単位で、「土壌に炭素を貯める」取り組みに参加できるアクションです!
自分が生ごみをコンポストにいれて微生物を増やすことが、大気中のCO2を吸収することにつながってるなんて、すごいと思いませんか?

さて、4パーミルイニシアチブのおまけ情報です。
日本でいち早く始めた地方自治体が山梨県で、様々な取り組みをされています。(山梨県のサイトです。わかりやすいアニメもあっておススメです。)

この動きに参加されている農家を取材した番組「カーボンファーミング~環境再生型農業最前線」を以前、制作してNHKワールドJAPANで放送しました。こちらで見ることができるので、ぜひ、ご覧ください。
英語ですみません・・・
日本語は有料(220円)ですがこちらで見られます。

 

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