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議員のホンネ~オンライン座談会「財政健全化に議員を巻き込む

こんにちは!

予算編成では、多くのステークホルダーとの調整が不可欠だと思いますが、中でも、「議員の巻き込み方」について悩みや課題を抱かれている方は多いのではないでしょうか?

そんな皆さんの悩みや課題の解決の糸口とすべく、12月17日に「オンライン座談会『財政健全化に議員を巻き込む』」を開催しました。
この座談会では、現役の横浜市会議員・鈴木太郎氏をメインスピーカーにお招きし、財オタや参加者の皆さんの質問にお答えいただきました。

今回は、座談会の冒頭で鈴木議員にお話しいただいた基調講演の一部をご紹介します。
基調講演のフルverや財オタからの質疑応答については、会員限定コンテンツで配信しています。

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地方議員のモチベーション〜本音はどうなの?

自治体職員の皆さんも、議員とお話ししていると
「地域を良くしたいので○○を実現したい」
「△△な人を助けたい」
といったようなことをよく聞くと思います。
議員は政策を実現することによって、みんなに感謝され
「また頑張ろう」
という気持ちになると思うのですが、これの原点にあるのは
「議員でいること」
じゃないかと思います。
もちろん、議員でなくてもできることはありますが、「議員」という立場だからこそ実現できることもたくさんあるからです。

では、「議員でいることって何?」と言うと「選挙で当選すること」だと思います。
当選しないと○○ができない=当選したい=議員でいたい
ということが、大きなモチベーションになっているんじゃないかと感じています。

では、当選するにはどうするか?
私は「信頼される」ということが大切だと思っています。
信頼されるまでにはいくつかステップがあって、
まずは、自分のことを知ってもらう。
次に、色々な場に出て行き好感を抱いてもらう。
そして、自分の活動によって有権者の皆さんの生活に良い影響があったことを実感してもらい、「この人に頼めばやってくれる」と認めてもらう。
そして最後に、「この人に頼めば大丈夫」という信頼を得ることができると考えています。

「今」か「先」か

地方議員として財政に関わっている時に感じるのが
「今」か「先」か
ということです。

地方議員は「自分が利するために何かやろう」とは考えていません。
ですが、議員でいるためには当選しなけばならず、当選するためには知られて、好かれて、認められて、信頼される必要があります。
この時、有権者からの頼みを、そのまま実現できれば、その有権者は「私のためにやってくれた」と実感し、認めてくれると思いますが、「私」が望むことの多くは「今やってほしい」という話です。

人口が減少し、市の財源にも限りがある中では、「私」にとっては良いことでも全体のこと、将来=「先」のことを考えたら実現はできない・しない方が良いこともあります。
「できない」ということを伝えるのは簡単なことではありませんが、「先」のこともしっかりと話しをして、「できないこともある」ということを理解してもらえるような努力をすることで「認めてもらう」の次のステップ、「信頼」に繋がると思います。
こう考えると、「今」のことをどんどんやって認めてもらえば当選しやすくなるか、というと、決してそうではないと思います。
もちろん「今」のことも大事ですが「先」のことをしっかり示し、信頼を得ることが大切だと思います。

自治体を運営する責任

私は2014年に「横浜市将来にわたる責任ある財政運営の推進に関する条例」(通称:財政責任条例)を議員提案で作りました。
この時に苦労したのが「これさえ守っていれば大丈夫」と言えるような財政的な指標を見つけることでした。
当時、既にいくつかの自治体で「財政健全化条例」を制定していましたが、どの自治体にも「これさえ守っていれば大丈夫」という財政的な指標はなく、財政の専門家などへのヒアリングもしましたが、なかなか見つかりませんでした。

そんな時、某大学教授から「財政責任法」という法律を紹介いただきました。
「財政責任法」とは、簡単に言うと「自治体運営の責任は政治にある」ということです。
「何かを守れば大丈夫」ということではなく、「このような自治体運営をしているのは首長であり、議会であり、市民である」と政治的責任にすることが肝で、この考え方を基に作ったのが「財政責任条例」です。
「財政健全化条例」ではなく「財政責任条例」という名称なのは、こうゆうわけです。

おわりに

かつて国が行っていた事業仕分けは基本的には「無駄を省く」というものでした。
「雑巾を絞る」という話ですね。
ですが今はもう、雑巾は乾いている状態で、絞っても出てこない。
このような状況の中では、「無駄を省く」から「今ある施策の効果を高める」という発想の転換が必要だと思います。
よくEBPMで言われる「アウトプットからアウトカム、インパクト」といったことを意識していかなければならない。
そして、これをやるためには、しっかりとした政策体系を整える必要があると思います。

このようなお話しを、財政のプロである財政課の皆さんと議員ができると良いと思っています。
そのためには、日頃からコミュニケーションをとって信頼関係を構築していくことが大事で、私自身も実践してきています。

とりとめのないお話しでしたが、まずは「議員ってこんなことを考えているんだ」ということをご理解いただけたら嬉しいなぁ、と思っています。
ありがとうございました。

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