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ステークホルダーの整理が難しい事業はどうしたら…‟必要な事業”に予算が付かないことへの理解をどう得るか

こんにちは!
今回はこちらの記事でご紹介した分科会の第2弾「原課がビルド&スクラップを積極的に行うための準備~“必要な事業”に予算が付かないことへの理解をどう得るか~」の内容をご紹介いたします。

当日は、サブテーマ「“必要な事業”に予算が付かないことへの理解をどう得るか」に関して会員の皆さんから事前にいただいていた下記の質問

・現場からの資料や説明が不十分で(ドメイン知識の不足している財政課には)必要性や効果の得られる最低限のラインが理解しがたいことがある。
・必要であることの主張ばかりミクロ視点でしていて、将来的な見込みや現実的な評価などができていない。
・他の部局のうごきに無頓着すぎて、一緒にできる事業に気づいていなかったり対象者やサービス内容が重複していたりする。指摘しても、なかなか局をまたいでの調整ができない。
・収入増の検討などを充分にしてない(自分で稼ぐつもりがない)。
・財政課は全庁横ぐしを通して査定を行っているが、同じ視点に立って理解してもらうことができない。
・ステークホルダーの整理が難しく、後回しになっていることがある。

について深堀りをしていきました。
本記事では事前質問のひとつ「ステークホルダーの整理が難しく、後回しになっていることがある。」についてご紹介いたします。

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本記事のPoint

・対象の住民が多い
→住民1人1人に説明することはできないので、まずは議会を上手に巻き込もう。

・しがらみが多くて止められない事業
→「しがらみが多いので止めません」も一つの判断。その代わり、別のやりたい事業に予算を付けられないことについて、現場に理解してもらうことが必要。

・議会を巻き込むこつは?
→施策を作る前の段階から話を持っていく。12/17(土)に開催するオンライン座談会「財政健全化に議員をまきこむ」では、この辺りの疑問に現役議員が答えます。

Speaker 
財オタ/高岡市・長久 洋樹、元足立区教育長・定野 司
事務局/徳原 七海 
※敬称略
 
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ステークホルダーの整理が難しい事業はどうしたら…

徳原
事前質問「ステークホルダーの整理が難しくてややこしいところは後回しにしちゃうんです」ということでいただいています。
これは恐らくスクラップのお話かと思いますが、実際、手を付けやすい事業、手を付けずらい事業、というのはあるのでしょうか?

定野
例えば、お年寄りに関する事業で考えると、お年寄りは選挙の投票率が高いわけです。
そうすると、議会からは
「それをやられちゃったら支持層から反対がきちゃうよ」
と必ず言われます。
それを、どうやって説得するのか。
足立区では高齢者のインフルエンザワクチン接種が無料になりました。
これは、お年寄りの金銭的な負担を軽減させるだけでなく、健康にも貢献すると考えられたからです。
この代わりに、長寿のお祝い金は減額されています。
同じ予算でも、長寿のお祝い金は「お金をもらえて嬉しいな」で終わってしまうけど、インフルエンザワクチン接種の無料化は健康にも繋がる。

だけど、このような理屈を住民の方、一人一人には言えません。
このため、まず議会の理解を得るということが非常に重要でした。
施策作ってから議会に持って行くと
「行政だけで決めているのか」
という話になってしまうので、持っていき方にコツはいりますが、
「これ、困っているんだよね」
「子どもの施策をやりたいんだけどお年寄りの施策でこれだけかかるし、将来これだけの負担がかかるよね」
「でも、お金かけているだけで健康じゃ無いんじゃない?」
といった理屈を理解してくれるのも議会です。
ステークホルダーの代表例を挙げちゃいましたが、そういうことなんじゃないかな、と思います。

徳原
ありがとうございます。長久さんはいかがでしょうか?
これまでのご経験で
「これは難しいステークホルダー整理だった」
といったエピソードですとか
「そこは、こんな風に頑張った」
あるいは
「議員と協力してこんなことをした」
といったエピソードがあれば伺えると嬉しいです。

長久
例えば過去のしがらみがあるものとか、予算を切りずらい案件もあると思います。
このような案件について考える時、私が財政課長時代によく言っていたのは
「同じ100万円の事業を比べた時に、自分がやりたい100万と、市長から言われた100万、過去のしがらみで止められない100万、人件費のような義務的経費の100万、どれか一つしか選べない場合、どれを選ぶか?」
という話です。
このように並べたうえで現場が「過去のしがらみで止められないものに予算を付ける」と判断したのであれば、それはそれで、優先順位が高い事業だと財政課としても受け止めなければならない。
筋が良い・悪いではなく、いろんなしがらみを考えると、ここで止めることで無意味な仕事が増え、その上ハレーションが生じて、更には、
「100万を削るために1,000万かかった」
というような話になることもゼロではないので、このような点も含めて優先順位が高いと判断した、ということを理解するしかないと思います。
一方、現場には
「財政課としては、過去のしがらみで止められない事業の100万を守ったので、本当にやりたかった事業にはつけられません。だけど、それは担当課の判断を尊重したんだから、仕方ないよね」
という話をよくしていました。

徳原
「ビルドする」じゃなく「スクラップをしない」という選択をしたんですよね、
と整理をしていくということですね。
確かにおっしゃる通り、「止める」のは凄くエネルギーが必要だと思うので、色々とトータルで考えた時に
「今は止めない」
と判断するというのも、もしかしたら、ある場面では妥当かもしれないですし、何がなんでもスクラップさせると一辺倒じゃない、というところがポイントですね。

一方で、
「全体の財源を適正に配分していく、守っていく」
という財政課としての使命を果たすコミュニケーションの取り方も必要ですので、現場に
「あなた達がスクラップをしないと判断したんでしょ」
ということを伝える時の言い方ににミソがありそうだなぁ、という気がします。

財政健全化に議員をまきこむには??

徳原
先ほど
「議員の方が腰を据えて説明する対象としてある」
なんてお話を定野さんからいただきました。
また、前回の分科会でも
「議員の上手い巻き込み方とコツ」みたいなものに興味があるよ
とお答えいただいた参加者の方が多かったということもございまして、弊会の方から横浜市議会議員の鈴木太郎氏にオファーを出したところ
12月17日(土)10:00~12:00
にオンラインでご登壇いただけることとなりました。

鈴木議員は財政責任条例の制定においてプロジェクトリーダーを務めた方で、「健全な財政」というところと「事業の推進」というところのバランスを取っていくことが必要だよね、ということをテーマに尽力されている、現役の横浜市議会議員です。
「講演会」ではなく「座談会」というところも鈴木議員のご意向です。
自治体によって議員のカラーがあり、ケースバイケースなので、横浜市の成功を語るだけでなく、皆さんから
「こんなことで悩んでる」
とか
「ちょっと話をしずらいんだけど」
というところがあれば個別に回答していく位のつもりで臨みたい、ということで「座談会」と銘打っております。

今回は
「職場では参加しづらいな…」
「平日は忙しくて時間が無い」
という方もいらっしゃるかと思いまして、土曜日の開催といたしました。
参加費は無料、オンライン(zoom)での開催となっております。
もちろん、部内、課内で、複数人でご参加いただくことも可能ですので、ぜひぜひ、ご参加ください。

「その場で発言するのはちょっと…」
という方はお申し込み後にご連絡いたします事前の質問募集に応募いただけましたら、事務局で取りまとめいたしますので、匿名でのご相談が可能です。

当日は鈴木議員だけではなく、パネリストとして弊会の財オタ4人にもお話しいただきます。
「どのように議員を巻き込むのが良いんだろうか」
「巻き込む際に注意点はあるのかな」
「失敗談、成功談」
そういったものも座談会形式で、ワイワイとお話しをしながら進めていきたいと思っておりますので、是非、奮ってご参加ください。
そして、ご参加いただく際には質問をどしどしお送り頂ければと思います。
よろしくお願いいたします。

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座談会の詳細はこちらから

https://new-zaiseikenkyukai.com/561fbbb112444df68ea4ddf8d974a718

 


ありがとうございます!