現場がスクラップ案を考えられる環境作りと財政課のコンサルスキル
こんにちは!
第2回愛好会では、予算編成がうまくいっている自治体の共通ポイントは「原課の自律性・主体性があること」で、これを生み出すためには「原課が主体的にスクラップ事業をあげてくること」が重要であるのでは、といった議論が展開されました。
これを踏まえ、事務局では第3回愛好会に向けて財オタのみなさんに「現場から行革案(スクラップ案)があがってくる仕組み(環境/制度)」についてより具体的にお伺いしました。
「現場からスクラップ案(行革案)があがってくる」仕組み(環境/制度)とは?
まず最初に
「自治体の財政状況によってスクラップの目的やポイントは変わってくる」という前提を整理しました。
財政が安定している場合
【目的】やりたいことをやるためのスクラップ(ビルド先行のスクラップ)【ポイント】ビルドしたいと思わせる仕組み/無秩序なビルドを許容しない仕組み
財政がひっ迫している場合
【目的】財源を生み出すためのスクラップ(スクラップのみ)
【ポイント】ひっ迫具合を理解し、自分ゴト化する/「協力しない」という選択肢を許容しない仕組み
この前提のうえ、現場からスクラップ案(行革案)があがってくるポイントとして、財オタの皆さんから下記の2点が挙げられました。
①現場マネジメント層が事前に行革検討に参加・合意する
具体的例
・予算要求が上がってきてから議論するのではなく、日頃から原課とコミュニケーションをとる(方針起案で財政課の合議をとる、原課の首長説明に財政課も同席する、など)
・事業を始める際に、撤退基準も設けておく(「これが達成できなかった場合はやめる」といった目標設定など)
②スクラップ案を上げやすいようなインセンティブ・ディスインセンティブの設計
具体的例
インセンティブ
・削減分の一部を現場でつかえる
・現場の事業削減が称賛される機会がある
・事前調整において財政課のサポートが得られる
ディスインセンティブ
・現場から決定権などがはく奪される(財政による再査定)
・行革を行わないことが批判の対象となる
財政課(現場マネジメント層含む)に求められる「コンサルスキル」
現場からスクラップ案があがってくる仕組みを整えることと併せて、財オタの皆さんからは財政課が現場をフォローできるようなコンサルスキルを持つことが重要であるというお話も挙がりました。
組織の体制上、現場はあくまでも自分たちの担当業務の範囲でスクラップ案を考えることになります。
このため、財政がひっ迫していて抜本的な改革が必要な場合や、トップダウンでやらざるを得ない政策がある場合などは財政課が原課-原課、原課-首長などの調整役となる必要があります。
そして、財政課が調整役を担うために必要なスキルとして
・首長意向の理解
・事務事業の理解
・マクロ視点とミクロ視点の両輪
の3点が挙げられました。
(首長意向の理解)
具体例
・首長とコミュニケーションを積極的にとる
・政治的な判断への配慮をする(継続任期、選挙タイミングなど)
(事務事業の理解)
具体例
・実施経緯とステークホルダーの把握をする
(マクロ視点とミクロ視点の両輪)
具体例
マクロ視点
・全市的(全部局的)視点で事業の成果/優先順位を検討する
・全市的(全部局的)コミュニケーションを意識的に行う
ミクロ視点
・個別事業の経緯、ステークホルダーをなど周辺情報を理解する
・個別事業の予算決定について論理的な整理を補助する
最後までお読みいただきありがとうございました!
第3回愛好会では、これまでの議論を踏まえ、第2回研究会で皆さんにお見せする「予算編成フロー」を具体的な形にしていきます。
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