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読書記録

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読書の感動を言語化する練習です。
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【後編6冊】 歌人必読!? オススメ理科本

理科と短歌を愛する評者が、好きな理科本を歌人目線で紹介します(難しさは評者の体感です)。 次元とは何か (難しさ ★☆☆☆☆) 「この世界は9次元空間だ」?「立体的な世界は幻にすぎない」!?……最先端の科学が予言するSFのような世界の姿。言葉では分かりづらい内容もイラストでイメージできます。 現代短歌において、世界の見方を鮮やかに変えてくれるような歌は人気を集めやすいように思います。本書を読めば世界が違って見え、人をあっと言わせる歌ができるかもしれません。 白百 (難

【前編6冊】 歌人必読!? オススメ理科本

理科と短歌を愛する評者が、好きな理科本を歌人目線で紹介します(難しさは評者の体感です)。 宇宙人と出会う前に読む本 (難しさ ★★★☆☆) 身の回りの科学的な事象や法則が地球特有なのか、地球の外でも通じるのかを考えさせてくれます。地球人の主人公が様々な惑星の人々(?)と交流する物語になっており、気軽に読めます(著者はホーキング博士にも師事した権威ある学者ですが、筆致はコミカルです)。 これであなたも日常風景を宇宙的視点で捉えた歌が詠める、かも…? 爆発する宇宙 (難し

【天象の万葉集】 https://www.manreki.com/publications 星、月、霧など天体や気象現象をテーマに万葉集を読み解く。 眩しい太陽や満天の星は、万葉集には意外に出てこないようだ。一方、雲や風や霧には繊細な表現が多い。 評論は専門的だが、引用歌を読むだけでも楽しめる。

【ハチミツとクローバー】 https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=4-08-865079-4 美大生たちの心模様(主に片思い)を軽やかに繊細に描く人気漫画。 豪快な美女・山田が特に素敵だと思った。明るくてピュアで、報われない恋も清々しく続けている。報われなくても好きでいられることが幸せなのだろう。

【量子力学で生命の謎を解く】 https://www.sbcr.jp/product/4797384369/ 生命の神秘を説明するために量子力学が必要だ!?夢物語のような仮説の数々を、権威ある物理学者と生物学者が本気で論じる。 出版当時(2015年)より人工知能の発達した今こそ読みたい。具体例や比喩が多彩だ。

【メテオ・スキャッター】 https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=8417306 文化祭で流星散乱通信を実演することになった天文部。アマチュア無線の免許をもつ主人公が電子部品と格闘する。「とーっても佗びしい白熱灯の」部室に、憧れずにはいられない。 陸上部の女の子への淡い恋心が爽やかだ。

【人魚の夏】 https://www.akaneshobo.co.jp/search/info.php?isbn=9784251044808 性別不詳の転校生の正体を僕だけが知っている。合唱コンクールを控えた教室、協調性の光と影。小学校の夏休み特有の切なさや爽やかさが活きる。

【されど星は流れる】http://www.tsogen.co.jp/sp/isbn/9784488018405 短編集の表題作。 感染症により人と人が離れてしまった地球で、高校生たちが流星を探す。離れているからこそ複数地点からの観測ができるのだ。 天文学用語が多くて楽しい。

【白百】 https://www.yomiuri.co.jp/special/shiro/ デザイナーである筆者が白いものについて語ったエッセイが100並んでいる。 それぞれの白が私たちの心を動かすのはなぜか、自然科学の用語も交えながら理知的に語る。 モノとヒトが相互に影響を与えて変化していくことを改めて思う。

【星旅少年】 https://pie.co.jp/series/4858311/ かわいらしくも静謐な漫画。少年が旅するのは眠りゆく星々である。 暗闇の中の様々な光(星の瞬き、街の灯り、瞳の輝き 等)がモノクロでも見事に表現されている。 架空の雑貨等にも物語性があり、各コマの隅々まで楽しめる。

【晴れ、時々くらげを呼ぶ】 https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000362704 海月のような透明感がある小説。 少年少女による世界への反抗、といっても恋愛や暴力といった怖い(?)手段は使われない。高校生たちの葛藤や成長を、くらげのように柔らかく活写する。 優しい人になりたくなる。

【ストレス脳】 https://www.shinchosha.co.jp/book/610959/ 感情は脳の生存戦略だ。ただし大昔の人類が生存するための。 …そう考えると、いつも何となく満たされない気分も別に仕方ない気がしてくる。こんなに恵まれているのに、とか自責する必要もないし、冷静に科学で対処すればいい。

【天使は奇跡を希う】 https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167907259 もし教室にクラスメイトとして天使が紛れ込んでいても、その翼が見えなければ気づけないだろう。そうやって紛れ込んだ天使が抱えた願いとは…? 瀬戸内の景色の描写が美しい。読後感の良い、切なくて爽やかで軽やかな小説。

【生物記号論】 https://www.kyoto-up.or.jp/books/9784876986910.html 形なき情報が生命の本質か……? 受容体とリガンドの相互作用といった分子レベルの情報伝達、 視覚・聴覚などの個体レベルの情報処理、 生殖という種レベルの情報伝達、 といった様々な生命現象に触れつつ大胆な論を展開する。