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『戦争の記憶~コロンビア大学特別講義 学生との対話』キャロル・グラック

今日は終戦記念日ですが‥‥

「第二次世界大戦はいつ始まりましたか?」という質問に対する答えは、国によってさまざまなのだそうです。(※)

たとえば、

・ロシア → 1941年6月22日 ナチスが協定を破棄してソ連に侵攻したとき
・ノルウェー → 1940年4月、ナチスによるノルウェー侵攻
・フランス → 1940年5月、ナチスによるフランス侵攻
・香港 → 1941年12月、日本による香港侵攻
・インドネシア → 1942年、日本による東インド侵攻
・アルゼンチン → 1945年3月、ナチスとの対戦に加わったとき

(※)もちろん、同じ国の人が全員同じ認識をしているわけではなく、年代etcによっても異なるわけですが‥‥

他にも、1931年、1937年、1939年(←世界史の教科書では、ナチスのポーランド侵攻のこの年が記されていますね?)、1941年などいろんな答えがあります。

みなさんは、第二次世界大戦の始まりをいつだと認識されてますか?
また、私たち日本人にこの質問をしたとき、一番多い答えはなんだと思いますか???
*

さて
日本人は今日8月15日を終戦記念日として認識していますが、立場を変えれば「勝利」の日になるわけで、韓国では8月15日を「光復節」といい、国家の主権を取り戻した日として記念しています。もちろん、「日本から」取り戻した日です。
(現実には、韓国が独立そして民主国家になるまでその後も長い長い道のりがあるわけですが‥‥)

中国は? というと、中国が「抗日戦争勝利記念日」として祝うのは9月3日なのだそうです。9月2日の翌日という意味です。

📝
8月15日‥‥ポツダム宣言受諾&昭和天皇による玉音放送
9月2日‥‥日本が戦艦ミズーリ号で降伏文書に調印 

ちなみに、日本では「敗戦記念日」と言わないのもポイントですね。。。
なぜ「敗戦」より「終戦」という言葉のほうが多く使われるのか、日本人の戦争観の核心のひとつだと思います。

もちろん、私たち日本人にとって、8月15日は大切な日です。今までも、これからも。

けれど、「戦争をしない」「無用な争いをしない」という現在そして未来への誓いを守り続けるためには、それぞれの国や、個人の立ち位置によって
同じ戦争についても、さまざまな捉え方があるということを知り、尊重することが大事ですよね。

この本『戦争の記憶』は、

・それぞれの国の「歴史の記憶」がどのように作られてきたのか?
・「歴史の記憶」は時代と共にどう変化してきたのか?
・そこには、どんな法則があるか?
・未来に責任を持つために、私たちが知るべきこと、すべきこととは?

というテーマを、大学生との対話を通じて探っていく本でした。

教授も学生もコロンビア大に籍をもつ人たちですが(学生たちは多様なルーツを持っています)、日本の出版社の企画で行われた特別講義なので、主に日本の歴史を扱っており、歴史の経緯に詳しくない人でも読みやすいと思います。
慰安婦についても、一章つまり1回分の講義が割かれています。

全4回の講義なので、コンパクト。
自分で読むのにも、読書会にも、すごくおすすめです!

(2022.8.15 wrote)

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