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映画「Swallow/スワロウ」…え? それも飲んじゃうの? いったいこれは何のメタファーだろう。

大好きなヘイリー・ベネットが製作主演した「Swallow/スワロウ」を観る。WOWOWの録画だ。
ニューヨーク郊外の新築家屋に住む金持ち夫婦。夫は父親の会社の重役で何不自由なく育ち、日常生活でも見た目を気にすることを優先。美しい妻ハンターは労働者階級の出身で、あきらかに格差のある育ちだ。夫は少なくとも表面上は妻を大切にしているが、妻の妊娠を知るや、プライオリティが変わる。さらに夫の両親はハンターの存在など「子を産む機械」くらいの扱いで、ことあるごとに卑下する(特に舅)。そんな日常の中、ハンターは食物ではないものを飲み込む行動に走る。最初はストレスコーピング(のように見えたが)、次第に喪失しかけているアイデンティティの保持のためにいろいろなものを口に入れる。だが産科の検査時にエコーが「なんだこれ?」と異物を検出し、大変な事態となる。
まぁとにかく不気味で無機的なタッチ(尖がった現代アートのように美しく冷たい)で、閉鎖的差別的な家族から脱出しようとする女性を描いていくのだが、異食症の描写がどうにもえぐく、のどが詰まる思いで見つめていた。
後半の展開(というかサイコだろ)に、彼女のサバイバルを感じる一方、ちょっと映画としては序破急の急がせわしなくもある。
いわゆる心理スリラーなんだが、異様な画面のこだわりが、目の裏に焼き付いてなかなか離れないね。異食癖とは何のメタファーなのか、その辺は難しくないが、夫婦で観ると喧嘩になりそう。

監督はCarlo Mirabella-Davis。短編のキャリアだけだ。
共演はクソ御曹司にオースティン・ストウェル、クソ舅にデビッド・ラッシェ(俺がハマーだ!)、「私も同類なのよ」と別のプレッシャーをかけてくるクソ姑にエリザベス・マーヴェル。

ヘイリーちゃんは、薄幸な美人を演じたら現代の若手ではトップクラス。10年前なら間違いなくワインスタインに狙われそうなタイプだ。そろそろ演技はとしてブレイクを狙い、低予算独立映画として本作を選んだような感じ、だ。メジャーな出演タイトルだと「イコライザー」で殺されちゃう娼婦、「ガール・オン・ザ・トレイン」の不倫妻、「マグニフィセント」では夫の復讐を願う未亡人…と役が振られやすいみたい。
今回は髪を短く、重量も増加させ、ビー玉から●●までごっくんしまくる。

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