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2013年の採用面接で聞かれた「5年後にどんなデザイナーになっていたいか」の回答通りの私になれているかと、その進捗。

この記事は、ペパボデザイナー Advent Calender 2018の25日目の記事です。
24日は@bennkyougiraiこと松本芳郎さんによる「感覚を伝えるとは読み手の体験を参照すること」でした。

メリークリスマス!🎄

GMOペパボでデザイナーをしています。ゆかぴです。

ペパボには2013年夏にminneというハンドメイドマーケットサービスのデザイナーとして中途入社しました。
(入社前の経歴がアレなのですけど別の機会に)

5年半前の採用面接で聞かれた質問「5年後、10年後にはどんなデザイナーになっていたいですか?」に、私は「デザインだけじゃなくて、ディレクションも、エンジニアリングも、マネジメントも、カスタマーサポートも、サービスに関わる全ての事にある程度の知識を持って、ユーザーの事だけでなく、チームの人の事も幸せに出来るようなデザイナーになりたいです」と答えました。

なぜこの様な回答をしたかと言うと、様々な視点、様々な技術を以って、サービスのビジョンに則する最適な方法を選択し、世の中を豊かにしたり、人々を幸せに出来る様なサービス作りが出来るデザイナーになりたかったからです。

今思い返すと、「一人でサービス作って運営する気かよ」と思われそうな、大風呂敷を広げた回答でゾッとしますが、当時28歳、デザイナーとして脂が乗り始めた時期でしたし、誰しも脂ノリノリ期には同じような回答をすると思います。(乱暴に一括りにしてしまい、申し訳ありません🙇‍♀️)
入社から5年半が経ち、事業部異動したり、シニアデザイナーになったりした今、あの時の回答通りの自分になれているかを振り返ります。

入社して1〜3年後の私の様子(やってる感のある仕事と立ち止り)

minneに入ってからは、スマホ最適化に勤しんだり、作家さんも購入者さんも幸せに出来るような特集の企画に頭を捻ったり、google analytics とにらめっこして改善施策を回しながら、sassなどのスタイルシート言語や、SMACSSやFLOCSSと言ったCSS設計の手法を学んだりとフロントの技術を身につける機会に恵まれました。
趣味がハンドメイドだった事もあり、この時期はディレクションとデザインを同時に担当する機会にも恵まれて、githubにissueとプルリクを鬼のように出す日々が続きました。今思い返すと、転職したての私に「働いている実感が湧きやすい仕事」を任せていただけていたんだなと、ありがたい気持ちでいっぱいです。

転職前には、「異世界の魔法使いで意思疎通が難しい人」とか「酒を飲むと風俗の話しかしなくなって厄介な人」だと思っていたエンジニアさんが(今となっては偏見まみれで申し訳なく、謝罪の言葉も見つかりません…🙇‍♀️🙇‍♀️)、ペパボに入った途端に「言葉が通じる人間だし、むしろ神様だし尊い」とすぐに気づかされて、「私が幸せにしてもらっている☺️ありがたい🙏🏻」と、採用面接での勢いどうしたと言わんばかりに、エンジニアさんを頼りにしまくるようになりました。

入社して1年半を過ぎた頃にminneのCM放映が始まったり、サービスがグングン伸びて機能もガンガン増えていって、「ユーザーさんを幸せにするってどんな事なんだろうか」と立ち止まる事が多くなり、「デザインって何なんだろうか。何かもっと私に出来る事はないだろうか」と思考が同じところをぐるぐる回るようになりました。(デザイナーあるあるの思考ぐるぐる期)

そんな気持ちを振り切るために「とにかく売上上げるぞ!!!」と特集企画に躍起になったり、チームメンバーが機能開発で忙しい時に手を出しにくくなる改善施策に手を出したり、ハイスピードで何かしら作ってリリースするような、「実績あげてる感」を感じられるような仕事を沢山こなすようになっていました。

2年半くらい経った頃、ペパボのデザイナー達のために新しい職位制度が導入され、シニアデザイナーとプリンシパルデザイナーという職位が生まれました。
めちゃくちゃざっくり説明すると「サービス、ひいては、会社をデザインする人達」の事で、デザイナーとして力を発揮する中で、サービスや会社のプレゼンスを高めてくれるような人達が達する職位です。

この職位制度が出来た時、シニアデザイナーにまっさきにチャレンジして、見事に散りました…!
やってる感のある仕事ばかりを選んでこなすだけだった私には、サービスや会社のプレゼンスを高めるような実績などありませんでした。
今考えると「そりゃそうだよね」という感じなのですが、当時は「結構頑張ってたと思ったのにな…。KPI達成にも貢献してたと思ったんだけどな…。新しい技術にもチャレンジしたのに…。」などと一丁前に落ち込みました。

それからは、とにかく忙しさにかまけて、サービスや会社のプレゼンスを高める事など考えられずに、何をすればいいかわからず、目前の仕事をせっせとこなし、やるべき事をシラミつぶしに行う日々を送り、3年経った頃には虚無感に襲われる様になりました。今思えば、考える事がツラくて、忙しくしていた方が楽だと感じていたのかもしれません。(思考停止期)

ここまでの進捗、ほぼゼロです。

3〜4年後の私の様子(冷や水のおかげで変わったこと)

思考停止していたら、事業部異動のお話をいただき、頭に冷や水かぶったように目が覚めました。
ただ、まだちゃんと覚醒していなくて、翌年以降から異動ですと9月くらいに告げられていたのに「今すぐ異動させてください」と暴挙とも思えるセリフを当時の上司に吐き(本当にすみませんでした…🙇‍♀️🙇‍♀️🙇‍♀️)10月にホスティング事業部に異動させてもらいました。

異動後はちょうどロリポップ!のリニューアルが佳境に入る時期で、鬼のようにタスクがあり、思考ぐるぐる期と思考停止期に培ったタスク処理速度と、フロントの技術などなどが役立ち、リニューアルに尽力していたロリポップチームの期待に最低限応えられるくらいの精度で、タスクを完遂する事が出来ました。

ただ、異動直後は、サービスの文化の違いもあるし、周りからの目も気になって仕方なくて、「アイツ突然異動してきて調子乗ってんな」と思われていないかビクビクしていました。(今思い返すと、ロリポップチームは長崎バイオパークみたいな和やかなチームで、前述したようなヤンキー思考の人間がいるはずないのですが、異動したてで自意識過剰だったのだと思います…🙇‍♀️🙇‍♀️🙇‍♀️🙇‍♀️)

当時、リニューアルタスクをこなす中、一緒に仕事をしてくれるメンバーの環境をなるべく壊したくなくて、できれば、これからリニューアルするサービスや、愛着のあるサービスのリニューアルに踏み切った勇気あるチームメンバーを幸せにできないものか、日々考えるようになりました。
私に出来ることなど微々たるもので「元気でいる」「ニコニコする」「真剣に話を聞く」「わからない事はその道のプロ(担当)に聞く」「出来ることは全部全力全速力でやる」「ユーザーとサービスとチームメンバー全てが幸せになれる方法を考える」「困っている人がいたら解決できそうな人と繋ぐ」「新しい事、伝統的な事をバランスよく学ぶ」くらいでした。

入社から4年半が過ぎ、新しいチームメンバーとも打ち解けて、新しいプロジェクトのデザインを担当させてもらったり、デザインチームメンバーの苦手克服と得意強化のための勉強会(Design Drive)の企画開催を画策しているうちに、「サービスや会社のプレゼンスを上げる活動」に足を踏み入れていて、シニアデザイナーの職位に着く事が出来ました。

ここまでの進捗、
やってる感が若干ありますが、実質4%くらいです。

5年後の私の様子(遅めの気づき)

5年が経過しようとした頃、新規プロジェクト「ロリポップ!マネージドクラウド」(以下マネクラ)のプロダクトデザインをどうすべきか悩む日々が続き、社内エンジニアさんにアンケートを取ったり、ユーザーさんを集めたMeetupパーティでお話を伺ったり、分析ツールで画面操作の様子を観察したりしてみるものの、私に出来ることはUIやインタラクションの改善に留まり、「ユーザーが本当に欲しいもの」を見つけられず、もどかしさを感じていました。

お悩みポイントは明確で、ペルソナなどサービス作りの王道手法は試しているものの、「ユーザーが使う意義があるサービスづくりができているか」という部分と(このnote 見ている親切なエンジニア様や、スタートアップでwebアプリケーションを制作している方がいらっしゃれば、マネクラをお試しいただき、ご意見賜りたいです🙏🏻)、サービスに期待してくれているエンジニアリングを生業とするユーザーさんへの理解が深まっていない自覚があるのに、打つ手が見つからないことの二つでした。

モヤモヤしてるうちに、マネクラが G's Academy fukuokaというエンジニアリングでスタートアップを目指す人たちのための学校と提携し、インフラ環境と教室を提供する事になりました。
この提携を発表するプレスリリースのバナーをデザインしている時に、「ここの生徒さん達や卒業生にインタビューしたら良さそうだな〜」と軽く考えていたのですが、ふと、「そういえば私、サービスをデザインして、組み上げて、リリースして、運営して、ご飯が食べられるくらいまで成長させられるか試してみたかったのだった。様々な知識を身につけて、たくさんの人を幸せにするデザイナーになりたかったのだった。」という思いが蘇り、「5年前の入社面接で答えた自分に全然なれていない」という事に気がつきました。(遅)

お察しの方もいると思いますが、即G's academy fukuoka 一期生の入試試験に申し込みました。目的は明確で、「なりたいデザイナー像に近づくため」です。
「いやいや、賢人は歴史から学ぶんだからそれっぽい本読んだり、知り合いに話聞いた方がコスパいいでしょうよ。経験から学ぶのは凡人だよ。」とお思いの方もたくさんいると思いますが、どうしても自分で経験したかったのです。

そもそも、エンジニアリングで起業する強い決意のある人達が集まる所に「デザインが上手くなりたい奴」が紛れ込んでしまう事があっていい事か迷いもあったのですが、こちとら進捗ほぼゼロなので、ガッついていくしかありません。

G'sにはアイデア入試とIQ入試の二種類があり、どちらか一方でもテストにパスすれば入学する事が出来るのですが、受かんなかったらそれはそれで仕方ないと思いつつ、8時間くらいかけて作ったプロダクトのプレゼン資料(作りたいプロダクトのUIデザインと、ターゲット、サービス展開などをまとめたもの)を携えて、5分のプレゼンを行い、アイデア入試で合格通知をもらう事が出来ました。ここから半年間G'sに通うことになります。

ここまでの進捗、やる気が出ただけで、変わらず4%です。

5年後の私の様子(4年間、進捗ほぼゼロな私の現在)

なりたい私になるためと、サービスのデザインに役立つヒントを得られるかもしれない可能性に胸躍らせながら学校に通い始め、インターネットで自己実現しようとする人達の中に身を置くことで、会社と家の往復では出会えなかった人達から、たくさんのインスピレーションをもらいました。

私のように会社に所属するクリエイター(デザイナーやエンジニア)は、「作る事が楽しくて仕方なくて、とにかく何か作りたくて、昨日作ったものより良いものを作りたい。良いものを作れば人々を幸せにできる。」と思っているのですが(違う人もいると思いますが、ここはどうか聴き流して下さい…!🙇‍♀️🙇‍♀️🙇‍♀🙇‍♀️️🙇‍♀️)、スタートアップを目指す人達は「頭の中にある、自分にしか作れない世の中を変えるかもしれないアイデアを今すぐ形にしたい!」と思っていて、ここが大きな違いだし、この違いが、インターネットで自己実現しようとする人達を支えるサービスを作るにあたってハズせない部分だという気づきをもらいました。
クリエイターとイノベイターの違いを体感できただけでも、G'sに通った甲斐があったと思っています。

プログラミングについては、私の能力不足で、ちょびっとだけできるようになったかなと思う程度で、まだまだ社のエンジニアさんのように、作りたいと思ったものを思い通りに作れるようなレベルまで来ていません(半年で現役エンジニアに追いつけるなんて思っていませんが、思った以上に追いつけませんでした…!)
やってきた事と言えば、宿題頑張った事くらいです。G'sで毎週出される宿題は作品の内容が個人の裁量に任されているので、ホームページ作ってくるお題でVRコンテンツ作ったり、じゃんけんゲームのお題で音声認識と顔認識apiを使ってじゃんけんに負けると家畜にされるゲームを作ったり、ローカルストレージのお題で画像認識とテキスト分析のapiを使って名刺の写真をアップロードするとプロフィールページが出来上がる作品を作ったり、firebaseのお題でgoogleアカウントログインができるチャットツールを作ったりしました。

現在、卒業制作で、入学試験で提出した企画をWebアプリケーションとしてリリースすべく、鋭意製作中です。(ツライです🤯)
メンターにビジネスにもエンジニアリングにも強い方についてもらっていて、この期間中にたくさん知識を吸収出来たらいいなと思っています。

「長々と書いてるけど、進捗どうよ?」とお思いだと思います。
ここまでの進捗、8%くらいです。
2013年の面接の質問で答えた「なりたい自分」には程遠いです…
(不甲斐ない…😭)

最後に

5年経っても進捗10%に満たない状況で、牛歩すぎですが、これから少しずつでも、なりたい自分に近づけるように、そして、所属サービスの成長に最大限貢献できるように、プロダクト作りを続けていこうと思います。

牛歩なりに得たものは多く、フロントの技術にも、プロダクト(webサービス)デザインにも、チームビルドにも興味を持つことが出来、デザイナーとしてサービスのビジョナリーになる事の重要性にも気づく機会を得ました。これらの経験全てが、これからなりたい自分になるための糧になるような気がしています。

現在、ペパボでは、私のような欲張りデザイナーも、専門性を高めて極めたいデザイナーも成長できるような環境がととのいつつあり、「サービスや会社のプレゼンスを上げる」だけでなく、「今後デザイナーとしてどうなっていきたいか?」の問いへの様々な答えを受け入れてくれる、デザイナーの組織作りが進んでいます。
もしかしたら、私のなりたいデザイナー像も変わってくるかもしれませんが、まだ8%の進捗と向き合いながら、引き続き頑張っていこうと思います。

皆様は進捗いかがでしょうか?
人生の参考にしたいので、よかったら私に皆様の進捗をお聞かせください🙏🏻✨

記事を最後まで読んでくださった皆様、ありがとうございました。
改めてメリークリスマス🎄
そして、今年も1年間お疲れ様でした…!
良いお年をお迎えください。

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