話すのが苦手過ぎる40代によるフランス語サバイバル
はじめに
この記録は、大学生のころに第二外国語がフランス語だったのを除いては(しかもむしろ苦手だった)ほぼフランス語に強みのなかった渡航時39歳、帰国時41歳女性が、帰国直前に受けたDELFでB1を取得するまでのサバイバルの記録です。
フランス語学習1年目のログ
ひとまず、渡航1年目の段階で語学学校に行っているころまでの記録は以下3記事をご参照ください。
上記3記事を久々に読みましたが、語学の学習に嫌気がさしすぎていて面白いですね。
そして結局のところ、このときに自己分析していた内容に対応するのが私の2年目のフランス語サバイバルでした。
私のフランス語サバイバル手法
①これまで生きてきて好きになれないものをやらない
語学学校を終えたとき、余裕があれば帰国前にもう半期通うことでB2まで行こうかな、という欲がなくはなかったのですが、語学学校のカリキュラムは教科書(didierのÉdito)を使用していていろんな面でバランスがよかったので、私がこれまでの人生で興味を持ったことのない芸能や映画や音楽の話題もまんべんなく入ってきますし、レベルが上になると演劇的なグループワークとロールプレイなども入ると聞きました。
今になって告白しますが、子どもの親としてや企業人として生きていく中で体験型のイベントというのは発生するわけでして、大人だから我慢できるものはしましたが、映画を見るとか、クラシック以外の音楽を聴くとか、スポーツを強制されるとかは可能な限り避けて生きてきました。日本語でも絶対やりたくないのに、フランス語の習得のためだけにやるのは苦痛すぎます。
ということで、語学学校に行くのはやめ、クラスで見知らぬ人と話すのが本当にストレスだったので対面で人と会って話す機会を激減させました。日本語環境ですが、PTA的なものをやっていたので、たまに委員の仲間と会うなどしていましたが、それ以外は朝に子どもたちと配偶者が家を出た後は主に自宅で勉強するようにしました。
②自分が好きで得意なものを使う
これは前項目の裏返しでもありますが、せっかくフランスに住んでいて切実さがあるのだから、環境を活かしてフランス語力を上げたいという意思はあったので、自分のやりたいことをフランス語でやるようにはしていきました。
例えば、お店で店員さんにお願い事をする予定があるならちゃんと予習していって使ってみたい表現を使ってみる、他のお客さんの使っている表現を次回以降使ってみる、など。商品を選んで取ってもらうときはJe voudrais…よりJe vais prendre…の人の方が多いな、などは大変参考になりました。これは、声を出してフランス語を使う度胸の維持のためにやっていたことです。
やるべきだけれど好きではないのでやらなかったのは、いろんな人と会話の機会を持つこととロールプレイ練習をやることで、これは、どうしても人と話すのが嫌な人以外には全くオススメしない茨の道です(Oraleの点数がどう考えても上がりません)。ただ、ストレスで嫌になってしまって学習を辞めるより、抜け道を探す方が有益だというのが私の見解です。
また、日本語でやることをフランス語でもやる、ということで、家族を朝に送り出した後、家事をしながら30分周期で回るニュースチャンネル、しかもリヨンローカルのBFM Lyonを繰り返し見て、地元情報入手とリスニングの向上に使いました。
また、語学力向上だけがフランス語の情報収集をする目標ではなかったので頻繁にではないですが、時折
で問題を解いて、自分のレベルを確認しました。
2ヶ月ほどサボっているので既に能力が落ちつつあります(のでまた地道に始めないと)が、在仏時にはだいたいB1レベルのものが聞き取れると認識できていたので、その聴解力を保つ範囲で日常生活でフランス語を聴くようにしていました。
③過去問はやってみるに越したことはない
これはもう言うまでもないです。ただDELFは2020年以降形式が少し変わってconpréhension分野での記述がなくなり、選択式になった(と言われている、後述します)ので、古い問題集がどこまで通用するのかはちょっと断言できません。検索すると1回ぶんくらい新形式で出てくるかと思いますので、どのような問題形式かをやってみましょう。
ちなみに、わたしは、2023年だし、もう全部新形式だろうと思って受けに行ったら、旧形式だったのでcompréhension oraleがやられました。大枠聴いて理解できても、根拠の正確な書き抜きが苦手だったので点数が出ませんでした…(実力不足ですので仕方ないです)。
④ChatGPTは役立ちます
みなさん生成系AIツールはご利用ですか? 私はさほど使い込んでいませんがいろいろ使ってみました。
で、DELFです。production écriteを本気で上げたければ絶対添削してもらった方がいいですが、私はA2のときに行った語学学校でかなり書かされ、かつそのときの添削の結果、それなりに書けることが分かっていました。また、Sujetは、少なくともA2→B1においてはそこまで変わらず、メールの返事を書く、何かの紹介文を書く、という形式です(B2以上は違うので、ここから先は絶対別の学び方をした方がいいと思っています)。
ですので、私は、過去問のうち何問かを、自力で、あまり時間をかけず、かつ調べ物をせず(実力を知るため)書いてみた上で、ChatGPTに以下のプロンプトをくっつけて投げました。
そうすると、具体例を含んだ文章が出てきます。しかしこれをそのまま覚えるのは得策ではなく、結構難しすぎる言い回しも含まれてきます。テストは手書きなので、生成結果を見ながら、自分がその場で書いても自然に欠けるだろう内容に手で書きながら変換します。そして具体例のところについては当日の問題に合わせて書いて、私は一応8割以上確保しました。
ちなみに、ChatGPTと音声入力の組み合わせで話す方の最低限の準備もできます。ただ私の場合付け焼き刃で20分くらいの会話練習をしただけで終わった(そして各技能で取らねばならない最低点を上回る点数を確保することだけを目指した)ので、ここでは割愛します。
振り返っての感想
上記の方法、どう考えても誰にもお勧めできません。ただ、世にあふれているDELFの受験に関する記述って、「フランス語が好き」「フランスの文化に興味がある」人のものが多くないですか? まあ日本人にとってはそうじゃないと学ばない言語であるというのも分かっておるのですが。
そんな中、私はとにかく、日々の生活に無理なく入れられる程度のフランス語を取り込んで、試験対策としては最小限を行いました。とはいえ、生きていくために情報収集しようと思えばフランス語が読めるようになっていったし、せっかく受験料払ったのにもったいないという精神で試験直前に何とかアジャストして無事合格点を取りました(多分、試験ものについて最後の馬鹿力で切り抜けるのが上手いのかも知れない)。
これでフランス語の実力がついたのかと問われると微妙ですが、少なくともやれることは増えたので、これからはもう少し細くじっくりと、フランス語については続けていければと考えています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?