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褒めても叱っても結果は変わらなかった!?

こんにちは! 

こしあんです。

あなたは、子どもや部下、周りの人を褒めて伸ばすタイプですか?
それとも、叱って厳しく躾けるタイプでしょうか。

様々な子育て本や部下育成方法などのノウハウはいろんなところで見かけますが、実は褒めても叱っても結果は同じなのでは?
という研究もあります。

今回は、そんな私たちがついやってしまう「ちょっとした勘違い」のお話です。


【平均方向への回帰】

平均への回帰とも言われますが、言葉だけではちょっとわかり辛いですよね。

その昔、認知心理学者ダニエル・カーネマンが、イスラエル空軍の訓練教官に訓練効果を高めるための心理学を指導していたときのことです。
カーネマンは、スキル強化訓練における重要な原則は失敗を叱るより、能力向上を褒めるほうが効果的だと説明しました。
この原則は、ハト、ネズミ、ヒト、その他多くの動物実験で確かめられているそうです。
しかし、講演を聞いた軍の教官からは「その説明はおかしいのではないか?」という意見もでてきました。

教官が言うには、「訓練生が曲芸飛行を上手くこなした時は、大いに褒めている。しかし、次に同じ曲芸飛行をさせるとだいたい上手くできない。
一方、まずい操縦をした訓練生を怒鳴りつけると、だいたいは上手くいく」という意見でした。
そのため、叱るのはいいが褒めてはいけないというのです。

また、こんな話もあります。
ある教育熱心な母親の話です。

彼女の息子が学校のテストで極端にひどい点数を取った時、この母親はかなし厳しく子供を叱りました。
すると、次のテストではいくぶん点数が上がったのです。
またある時は、息子がこれまでにないとてもよい点を取ってきたことがありました。
母親は嬉しさのあまり子供を褒めちぎります。
すると次のテストでは点数が下がってしまいました。

そして、母親はこう考えます。
「子供は褒めるとダメになる。子供には厳しく接するのが正しいやり方だ」と思うようになったわけです。

あなたも、こういうパターンのようなものに当てはめて「こっちの方が効果がありそうだ」と考えたことはありませんか?
しかし、このやり方だと大事なことを見落としてしまうことがあります。

それは、不出来だった後は良くなるし、上出来だった後はまずくなるのであって、これは褒め言葉や叱責とは関係がないということです。

ほとんどの人は「私があの時、きちんと指導したからいい結果になったんだ」と思うかもしれませんが、このように訓練の成績やテストの点数が普段のレベルに戻る傾向、この現象を平均方向への回帰と呼んでいます。
でも、こういう思い込みって結構ありますよね。笑

もちろん、高い点数を取り続けることが絶対にあり得ないわけではありません。
そうではなく、極端な成績を取った後などは、その人にとって「普段の平均的な得点の方向へ回帰するほうが確率的に起こりやすいですよ~」っと言っているだけなんです。

【スポーツイラストレイテッドのジンクス】

アメリカの有名なスポーツ専門誌「スポーツ・イラストレイテッド誌」というものがあります。
この専門誌には奇妙なジンクスがあり、それはこの専門誌の表紙に載ったスポーツ選手やチームは、急に活躍できなくなってしまうというものです。

日本にも「この会社のCMに出ると芸能界から消える」なんて噂されるものがあったりしますが、平均回帰のことを考えるとまた違った見方ができます。

この表紙を飾った選手やチームが翌シーズンは成績不振に陥るというジンクスですが、「調子に乗って、自信過剰になっていたから」とか「期待に応えようとしてプレッシャーに圧し潰されてしまったから」といった理由を思い描く人もいるのではないでしょうか。

でも実は、不振に終わったと感じる理由は単純で「スポーツ・イラストレイテッド」の表紙を飾る選手やチームは、そのシーズンに目を見張る活躍をしているはずですよね。
そうでなければ、表紙を飾ることなんてできません。
ということは、”単に翌年は平均的な成績に戻っただけ”と考えることもできます。

毎年、スポーツ誌に載るような目覚ましい活躍をすることは不可能ではないと思いますが、ただでさえ厳しいスポーツの世界です。
去年と同じか、それ以上の活躍を見せないと私たちはそれを不調だと言います。

でも本当は、本来の平均的な能力に近づいただけかもしれません。
いつも最高のパフォーマンスを発揮できるように努力をしているアスリートの人がほとんどだと思いますが、それでも人にはバイオリズムのような浮き沈みがあるのが普通だと思います。


最後に、

この平均方向への回帰の結果であるにも関わらず、それを処置(褒めた、叱ったなど)のためであると信じ込むのはとても危険です。

たとえば、成績の悪い子供たちにある学習プログラムを施したとか、不調だった選手に特訓をしたとか、不運が続く人が「幸運グッズ」を買ったという場合など、本当は全く効果がなかったり、あったとしてもほんの少しの効果に過ぎないのに過大に評価されてしまう可能性があります。

つまり、本来の平均値に近づいただけなのに、不調から復帰できたのは特訓をしたからとか、このお守りを持っていたからという風に考えてしまうというわけです。

もちろん、成績の悪い生徒に補修をすれば、多少は効果があると思います。しかし、本当にその効果が及ぼす影響力を正しく知ろうとするならば、平均方向への回帰という要因で説明できる部分を排除しなければいけません。
そうしないと、本当に効果があるかどうかわかりませんからね。


今回はここまで

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それではまた次回お会いしましょう。

※この記事は主に私のアウトプットを目的に書いているものです。
参考にした資料(主に読んだ本)をもとに考察したもので、私の主観が多分に含まれています。
そのため、参考にした論文とは結論が異なる場合があります。
あくまで、一つの意見として見るようにお願い致します。




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