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記憶の果て

あのにぎやかな街は遠くなり
かすかな記憶の断片をそろえてみる

わずかに残る匂いと音
あの街は本当にあったのだろうか
ぼくのつくりあげた
架空の街だったのではないか

あの街で出逢った人も交わした会話も
疑わしいとさえ思えてくる
時間の経過とともに街は遠くなり
記憶の中は薄くなる

信じられるものがどんどん消えていく
信じられるのは日差しと風と大地に咲き
季節を告げてくれる花だけだ

離れた大切な人への思いは
まだ消えることはない記憶の箱にある
ウイルスが遠ざけたものは
必要のないものだけだとしたら
ぼくは弱さを隠しきれない

世界の強さはイメージをつくる意思
人は弱さを知るから強くなれる
必要がないものがあるから
本当に必要なものの価値が見える

記憶から消えないうちに
五感で感じることが出来るうちに
ぼくはあなたを抱きしめたい


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