ああ冬がくる
もう少し待ってくれといったのに
気の早い冬がくるらしい

通りすがりの風が
大陸から寒波を運んでくる
叫びたくなるが声に力がない

日に日に薄くなっていく暦
寂しさ半分　楽しさ半分
願いを叶える年は近づいてくる

夕食は鍋の日が多くなる
あったまりたい今夜はおでん
支度をはじめる母

大根にこんにゃく
厚揚げに練り物　そしてたまご
下ごしらえに余念がない

奇をてらったものは何もない
幸せと同じで
ていねいに手間をかける

どうして幸せがあったかいのか
それは手間をかけているからだ
外は寒いけど内はあたたかい

嫌われがちな冬でも
あたたかい夜がくる
薄くなった暦の分だけ幸せになる