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雨の通り道

雨の通り道に立っていた
ビニール傘に打ち付ける雨は
遠くの景色をぼかして
不安を連れてきた
かすんだ視界のように

それでも待っている
晴れ間の気配が現れるのを
雨雲のあの辺りか
少しばかり薄くなっている
あの雲目の辺りか

雨の間は鳴かないセミも
どこか不安を抱いている
限られたいのちはわずかだから
秋の来る前に
一生をまっとうしたいだろう

雨の通り道は留まってはいない
不安が希望に姿を変えるとき
雲間から太陽は差し込む
この雨の通り道はきっと
ぼくの時間に間に合うはずだ


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