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「デボスとエンボスの合わせ技」

こんにちは、現場の前田です。

今回は、株式会社山田写真製版所さまからご依頼いただき、現在展覧会も開催されてる 『 ラウル・デュフィ 絵画とテキスタイル 』( 青幻舎 )の図録表紙の加工をお手伝いさせていただきました。

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デザインされたのは、デザイナーの原条令子さま( 原条令子デザイン室 )です。

出版社 : 株式会社青幻舎
デザイン : 原条令子デザイン室
印刷・製本 : 株式会社山田写真製版所


表紙の用紙は、白色がまぶしいアラベールスノーホワイトを使用。
箔は使用せず、デボス( 型押し )とエンボス( 浮き出し )のコンビネーションによって表現されています。

おもて表紙はこのデボス+エンボスのみの加工のため、白一色でもくっきりと絵柄と文字の凹凸が分かるよう、押す圧力は強めに加工しています。

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用紙 : アラベール(スノーホワイト)
加工 : 表1~背にかけて 全面デボス加工+全面エンボス加工


ただし、強めに押しすぎるとエンボスで膨らんだ部分にひび割れが生じたり、絵柄や文字の際の部分に紙のシワができてしまうので、試行錯誤しながらできるだけ立体感を表現できるような調整を行いました。

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おもて表紙は、①工程目デボス・②工程目エンボスの順番で加工をおこなっています。
理由は単純で、エンボス加工を先にしてしまうと、エンボスでせっかく膨らんだ部分がデボス加工の圧力によって潰れてしまうためです。

①工程目デボス・②工程目エンボスの順番で加工しても、①工程目エンボス・②工程目デボス順の場合ほどでないにしろ、デボス加工でへこませた部分が後のエンボス加工の影響を若干受けて潰れてしまいます。

加工時にはその影響も考慮し、デボス加工は強めの圧をかけて押しています。

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そして特に難しいのが、デボスとエンボスの絵柄の位置合わせです。
絵柄が印刷されたフィルムを使用して位置合わせをおこないますが、最終的な位置の微調整は 『 感覚による手作業 』 でおこなっています。

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慎重に、慎重に、綺麗に合うよう注意しながら丁寧に絵柄を合わせています。

真っ白な紙に表現された立体感のある絵柄と文字を、ぜひその目で見てください。触れてください。この本を手にとられた方それぞれが思い描くラウル・デュフィの色鮮やかな色彩を想像の中で載せて楽しめる一冊となっております!


そして是非、展覧会( 会期:2019年10月5日~12月15日 )にも足を運ばれてみてはいかがでしょうか。


【 箔押し加工 】

有限会社コスモテック 現場リーダー 前田瑠璃
〒174-0041 東京都板橋区舟渡2-3-9
TEL:03-5916-8360 / FAX:03-5916-8362

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