コスモテックの青木です。
ちょっと不思議で、とてもうれしい体験をしたので、今回文章を書いています。

数年前よりコスモテックサンプル直売所（ WEB STORE ）の梱包・発送の際、今は亡き箔押しの匠 佐藤勇の木版画を描いた少し大きめの、目の引く活版印刷ラベルを貼り付けています。

ありがたいことに SNS で到着した製品の写真を公開して下さるお客様も多く見受けられ、中には匠ラベルをスクラップブックに収集して下さっている方、ご愛用のノートにペタっと貼って下さる方など、大切にして下さるお客様がたくさんいらっしゃって、いつもあたたかい気持ちにさせて頂いております。

コスモテックの梱包ラベルまでも大切にして頂き、皆様 本当にありがとうございます。

オハラカズヤさん

この匠ラベルの木版画は、日頃からお世話になっている有限会社篠原紙工の製本ディレクター オハラカズヤさんが彫って下さったものです。オハラさんは個人の活動として、木版画を彫っていらっしゃいます。

オハラカズヤさんの Instagram より

オハラさんが作って下さった箔押しの匠の木版画は大人気です。

「 愛嬌のある匠がイイ！ 」
「 なんだかクスっと笑ってしまう 」
「 うちの母親は製品が届いた際びっくりしていた 」

など様々なリアクションをお客様より頂いており、僕たちもうれしく思っています。

「 わたしも彫って欲しい 」

匠の木版画を彫って頂いて数年経ったある時、コスモテックの現場リーダーの前田瑠璃が 「 わたしもオハラさんに似顔絵の木版画を掘って頂きたい 」 と僕に言ってきました。

コスモテックの現場リーダーの前田瑠璃

「 よし。第２弾彫って頂こうか！ 」
と、ほぼ勢い・軽いノリで、オハラさんに再度制作のお願いをすると快く引き受けて頂けました。こうして、似顔絵木版画第２弾制作が始まったのです。

突然の連絡

それから数ヶ月後、2021年11月8日の午後、突然事態は動き出します。
オハラさんから連絡があり、「 前田さんの木版画、完成したので今日の夕方頃お持ちしてもよろしいでしょうか？ 」 とのご連絡がありました。

 「 ありがとうございます！ もちろんです！ 」
 どのような仕上がりになったのか、前田と共にワクワクしながらオハラさんと完成した木版画の到着を楽しみに待ちました。

オハラカズヤさん作の第２弾似顔絵木版画 『 マエダ 』 はこちらです！
明るい表情の前田がチャーミングで、本人も大喜びでした。 「 やっぱりオハラさんにお願いしてよかった！ 」

表裏一体

そして、一番驚いたポイントは、以前制作して下さった箔押しの匠 佐藤勇の木版画を今まで大切に保管して下さっており、「 良い木はないかなぁ。そうだ匠の木版画の裏面にマエダを彫ろう！ 」 という素晴らしいアイデアが出てきたそうです。

完成した 『 マエダの木版画 』 と共に、表裏一体となった木版画の原版もプレゼントして頂き、前田が大切そうに抱えて持ち帰りました。新旧の箔押しの現場が表裏に表現された木版画の原版は、前田にとって大切な宝物になったようです。僕にとってはオハラさんの心遣いや制作の思いが原版から漂ってくるのを感じて胸がいっぱいになりました。

『 マエダの木版画 』 納品後に頂いた、制作過程の写真
この裏面には箔押しの匠 佐藤勇が彫られている

ただ、この時点で僕の心に何か引っ掛かるものがありました。
「 何だろう？？ 」 その正体が何なのか、考えても考えてもその時は分かりませんでした。

仕事を終えて帰宅し、書斎で 「 ああ、今日の木版画は本当に良かったなぁ。 」 と一息ついていた その時でした。

唐突に、心に引っ掛かっているものの正体が分かったのです！
まるでガツンと頭を叩かれたような感覚を覚えました。


それは今から2年前の今日（2019年11月8日）の僕の気持ち。
次の日は箔押しの匠 佐藤勇とお別れをする日ということもあり、寂しさに打ちひしがれていたのを思い出したのです。

その2年後の今日（2021年11月8日）は 「 今日はなんて良い一日だったんだろう 」 と感じることが出来たのです。

オハラさんがたまたま今日、匠と前田が表裏一体になった木版画の原版を届けてくれたことに運命的なものを感じました。 2年前には悲しみの中にあった僕の心が2年後の同じ日にあたたかい感動で満たされ、 「 こんなにも素晴らしい一日になるなんて！ 」

サプライズプレゼントを頂いたような気持ちです。

「 ちゃんと仕事頑張っているか！？ 」

匠の三回忌を終えた今年、表裏一体版となって、箔押しの匠は 「 ちゃんと仕事頑張っているか！？ 」 と僕や前田に問いかけてきたような気もするのでした。 オハラさん、素敵な版画とご提案を届けて下さり、本当にありがとうございます。

今は亡き箔押しの匠から箔押しの現場を継いで、現在 コスモテックの現場リーダーとして奮闘中の前田瑠璃。

現場リーダーになった日から、大きなプレッシャー抱えて、とても苦労したと思います。おかげでとてもたくましい現場リーダーになってきたと僕は感じています。

明るい表情で未来を見据える 『 マエダの木版画 』 で今後 新しい梱包・発送用のラベルを作りたいと思っています。 皆さんのお手元に届いた際は、ぜひ匠のラベルと共に大切なコレクションの一つに加えて頂ければ幸いです。