転職面接対策 準備 :「才能」を挙げてみよう

 「あなたの才能はなんですか?」と質問されたら、何を挙げるだろうか?

 なんかわからないけど、惹かれる。なんかわからないけど、いい。なんかわからないけど、嫌だ。
 特に、転職面接の「志望動機」「転職理由」でこれらのモヤモヤは多く出てくるだろう。
 その「なんかわからないけど」の理由を、「才能」が明確にしてくれることが、往々にしてある。

 その「才能」、質問されたら、あなたは何を挙げる?

 転職活動中、就職活動中、面接を控えている場合は、「長所」と置き換えてもいい。

 「才能」の分野は、「仕事」だけでなく「プライベート」に含まれそうなものでもいい。

 今考えつくものすべてを挙げてみよう。

1.「才能」を挙げてみよう

 さて、何を挙げただろうか?

 営業、広報、マネジメント…など職種・職域(①)もあれば、
 Excelスキル、設計力、トークスキル、リサーチ力、企画力、仕組みづくり…などの職務に関する内容(②)、
 明るい挨拶、穏やかで感じよい対応、公平さ、冷静さ、トラブル時の対応力…などの社内・仕事仲間に対する内容(③)、
 適応力が高い、リーダーシップが取れる、年長者に好かれる…などの対ヒトに対する内容(公私問わず)(④)、
 手先が器用、直感力が高い、時間に正確、気分転換が上手、実験好き…などの自分の性質(公私問わず)(⑤)、
 料理、写真、音楽、植物を育てること、スタイリング…などの特定の分野(主にプライベート)(⑥)、
 などなど
 人それぞれ出てくるだろう。

 次に、挙げた「才能」をひとつずつ見てみよう。
 それぞれの「才能」は、
 誰でも持っているもの?(A)
 一部の人しか持っていないもの?(B)
 自分しか持っていないもの?(C)

 AからCまで、それぞれ数にバラツキが出てくるだろう。

 そして、全部でいくつ挙げられただろうか?

 これも、人それぞれだろう。
 転職・就職の準備を進めている人はそれなりの数を出せただろう。
 けど、準備を進めていても、数を出せなかった人もいるだろう。

2.「才能」って?

 ここからは、1.でした質問を、最後から見ていこう。
 「全部でいくつ才能を挙げられただろうか?」

 これは、現時点ではいくつでもよいが、面接までには10個以上を言えるようにしておくと安心だ。
 数が多そうに見えるけど、準備を進めるうちに出てくるから、大丈夫。
 数多く出せた場合も、「軸」をつくる材料となるから、一緒に考えていってほしい。

 そもそも、数を挙げられなかった要因はなんだろうか?

 要員として多いもののひとつに、“「才能=すごいこと」の認識を持っている”がある。
 これ、取っ払ってほしい。
 結論から言うと、「才能」は、他人より優れている部分ではなく、「自分自身を生きやすくしてくれるリソース」だと思ってほしい。

 なので、1.⑤で挙げた「手先が器用」も、「自分自身を生きやすくしてくれるリソース」なので才能だ。
 それくらいの「ちょっと得意かも」レベルの視点で、まずは数を増やしてみよう。
 自分で思い浮かばなかったら、家族や友人など信頼できる人、よく人のことを見ていると感じる人に聞いてみよう。
 その場合、あくまでもフランクに、でも客観的に挙げてもらおう。あまり深刻に考えてもらうと「才能=すごいこと」のトラップにはまるから。

 さて、なぜ「才能=すごいこと」の認識を取っ払う必要があるのか。
その答えは2点ある。

 前提として、特に転職活動の場合、「才能=すごいこと=他人より優れている部分」の設定となる。

 1点目は、そもそも「他人より優れている部分」と「他人」という視点が入った時点で、「自分」から「軸」がずれるから。
 「他人」視点で「才能」「長所」を出したときには、志望動機も連動してずれる。
 「他人」視点の志望動機、長所は自分の言葉で話せていないので、聞いた相手は違和感を感じる。
 レスポンスが進むにつれ本来の「自分」から離れるので、全体としてずれが生じる。

 2点目は、「他人より優れている部分」はその時々で変わるから。
 どんなに採用側のチェックポイントが細分化され関係者に共有されていても、採用側も人なので、感性は各々ちがう。(そして同じ人でも、コンディションや状況、日によって感性は変化する。)
 そして、今の状況だ。日常生活が以前のように戻っても、会社の在り方や梶の取り方は変化する。
 そのため、採用側から求められる「優れている部分」の設定内容や視点も、想定がつきにくくなるだろう。

 いずれにしても、「自分」という「軸」で考え、その後企業側に寄せる必要がある。
 様々なパターンに対応できるよう、「自分」という「軸」で見た「自分自身を生きやすくしてくれるリソース」を挙げるだけ挙げておきたい。
 自分でもハードルを下げて考えてみて、人にも聞いてみよう!

3.「自分」を表す「才能」

 次は「挙げた才能 は、誰でも持っているもの?(A)/一部の人しか持っていないもの?(B)/自分しか持っていないもの?(C)」。

 これはAからCすべて持っておきたい。
 なぜか?
 基本的には、ABCすべてが揃って採用に結びつくからだ。

 A(誰でも持ってる)だけだと、他者と差別化ができない。
 企業側が欲しいスキル・人物像にがっちり該当していれば、それでも問題はない。
 だが、そういう場合は稀だろう。
 1.で挙げた才能で言うと、基本的に①(職種・職域)②(職務内容)がこれに該当する。プラス③(社内・仲間)が少し入るくらい。
 この場合、2.のように「他人」視点での「才能」のみを挙げている可能性が高い。
 ということで、「自分」の視点で1.の③から⑥をとにかく挙げてみよう!(メモしよう。)
 企業側に寄せるのは、その後に。

 B(一部の人が持ってる)とA(誰でも持ってる)のみも、他者との差別化はしにくい。
 挙げた内容にもよるが、採用に結びつきやすくするためには、C(自分だけが持ってる)も欲しい。
 1. で挙げた才能で言うと、①②③④が該当する。⑤が入るか入らないかくらい。
 この場合も「他者」視点優勢のため、「自分」視点で③から⑥を挙げてみよう!(忘れずにメモしよう。)
 なぜ③④をもう一度挙げるかと言うと、一度挙げたものと別の「才能」が出てくるから。
 そして、連動して、やっぱり別の①②も出てくるから。
 出揃ったら、企業側に寄せよう。

 C(自分だけが持ってる)、B(一部の人が持ってる)、A(誰でも持ってる)すべてを挙げた人は、採用に近づいている。
 1. で挙げた才能で言うと、基本的には①から⑥がすべて入っている。
 企業側に寄せる前に、もう一度「自分」視点を意識して、①から⑥を見直し、新たな「才能」を発見したら、きちんとメモしておこう。
 それから、メモした分を含めて内容を企業側に寄せよう。

 なぜCが必要かと言うと、Cによって、その人のパーソナリティがはじめて見えるから。
 なぜパーソナリティが必要かと言うと、企業は無機質に仕事をこなすロボットと働きたいわけではないから。
 人物像って、思ったよりも見られている。

 自分事と置き換えてみよう。
 例えば、自分のとても好みの人に交際を申し込まれたとする。
 顔も体形も、肩書、身につけているもののセンスも、自分好みだ。
 ただ、話しても、「どういう人なのか」がつかめない。自分が、これだけはダメ!と思っている部分を持っているのか、まったく見えない。
 今日すぐに返事を出さなくてはならないとしたら?
 他に申し込んでくれている人がいて、その人が外側も内面も自分の好みにより近いことがわかっていれば、その他の人を選ぼうとするだろう。
 それと同じ。

4.「才能」はすべてのベース(基礎で肝)

 最後に、「あなたの才能は?」。

 2.でも少し伝えているが、①から⑥すべて挙げよう。
 なぜか?
 ①②で“希望企業・職種自体に該当している”ことのアピールをし、
 ③④で“企業内で人とともに働いている姿”を伝え、採用側に“働いている場面”をイメージしてもらい、
 ⑤⑥で具体的に何を“提供”できるのか、どういう“可能性”を秘めているのかをアピールするからだ。

 上記は、「長所」の場面だけで使うわけではない。
 面接の全質問に対しての回答に使う。
 正しく言うと、「才能」は、全質問に対しての回答、をつくるための基礎となる。
 「軸」「志望動機」は、①から⑥を揃えながら、自分の「姿勢」や「理想」を確認することで見えてくる。
 次いで「転職理由」ができ、「自己紹介」「自己PR」ができる。

 要するに、「長所」「短所」はもちろん「軸」も「志望動機」もすべて、あなた自身を表す「才能」があってこそ見えてくる。
 そして、面接をする企業、職種、何○次面接か、によって、伝えるべき内容が異なる。
 内容が異なるということは、それだけの数の回答を準備する必要がある。(内容のメンテナンスを含む。)

 なので、挙げられるだけ挙げておきたい。
 挙げたら、その後の準備が早く整えられるから。

 特に、④⑤⑥は自分だけで挙げるにはどうしても限界がある。
 家族やパートナー、友人などの信頼できる人や観察眼のある人に聞いてみよう。
 自分では無意識でやっていたこと。他の人も当然できると思っていたこと。実はコンプレックスに感じていたこと。
 これらが意外と、他の人から「才能」として思われていたりする。
 教えてもらった「客観的な目線での才能」は、「客観的な目線を持つ採用側」にもまた、認められやすい。
 この機会に、しっかりと聞き、メモしておこう。

 単体で考えがちな質問回答だが、すべては「軸」で繋がっている。
 その「軸」のベースとなるのが「才能」。
 その「才能」は、自分と周りの人、双方の視点で、客観的に示せるものが多く出る。
 なので、「才能」に向き合うことは、とっても大切なのだ。

5.「才能」を挙げてみよう(再び/メモの取り方)

 と言うことで、少し時間を取って「才能」を挙げてみよう。

 最初に、「才能」の設定を「自分自身を生きやすくしてくれるリソース」「ちょっと得意かもな部分」にしよう。
 「すごいこと・他人より優れている部分」ではない。

 そして、自分で考えてよう。
 何でもいいから、とにかく思いついたものを片っ端からメモしよう。

 そして、周囲に聞こう。
 やっぱり思いついたことを片っ端から言ってもらって、聞いた内容をメモしよう。
 その時に、それを「才能だ」と思った理由(エピソード)も忘れずに聞いておこう。(メモも!)
※この際、相手が言ったそのままの言葉でメモをしよう。(自分の言葉に変換しないこと、大事!)

 自分で考えるうち、周囲に聞いているうちに気づいたことがあったら、それもメモしよう。

 要するに、関連すること(材料)は何でもメモを取る。以上だ。

 「才能」を考えることは、新たな自分を知ることにも通じる。
 なんかわからないけど、惹かれる。なんかわからないけど、いい。なんかわからないけど、嫌だ。
 特に、「志望動機」「転職理由」でこれらのモヤモヤは多く出てくるだろう。
 その「なんかわからないけど」の理由を、新たな自分が明確にしてくれることが往々にしてある。
 その理由が、「軸」になり、「志望動機」になり、「転職理由」になる。
 なので、最初に「才能」をはっきりさせると、効率的・合理的に面接準備ができる。

 意外と、自分のことは自分がわからない。
 自分の記憶を辿るうちに、そういえばこんな面もあるんだ、と気づいたり。
 人の話を通じて、まったく知らなかった自分が出てきたりする。
 そして、ちょっと自分を見直したり、少し自信がついたりする。
 無理だと思っていた職種・業界で生かせるスキル・経験が出てきたり。
 今まで考えてもいなかった職種・業界で自分を生かせるかも、と思うことも出てくるだろう。
 限界をつくらず、思いこみをせずに、自分の可能性を広げ、才能を生かしていこう!

最後に、いちおう参考までに↓
【「才能」を細分化したもの】
①職種・職域関係…例)営業、広報、マネジメントなど
②職務関係…例)Excelスキル、設計力、トークスキル、リサーチ力、企画力、仕組みづくりなど
  ③社内・仲間関係…例)明るい挨拶、穏やかで感じよい対応、公平さ、冷静さ、トラブル時の対応力など
  ④対ヒト関係…例)適応力が高い、リーダーシップが取れる、年長者に好かれるなど
  ⑤性質…例)手先が器用、直感力が高い、時間に正確、気分転換が上手、実験好きなど
 ⑥特定分野…例)料理、写真、音楽、植物を育てること、スタイリングなど

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