加藤暁雄【シニア産業カウンセラー/REBT心理士】

「人は物事によって悩むのではなく、その受け取り方によって悩むのである」という古代ギリシ…

加藤暁雄【シニア産業カウンセラー/REBT心理士】

「人は物事によって悩むのではなく、その受け取り方によって悩むのである」という古代ギリシャの哲学者エピクテートスの言葉を人生哲学とし、心に寄り添うカウンセラーを目指しています。 メールでご相談を承っています。→ https://www.ningen-kankei.jp/

最近の記事

「過度の一般化」思考の歪みがもたらす危険性

一部の事実をもってあたかも全体がそうであるかのように考えることを「過度の一般化」「オーバーゼネラリゼーション」と言います。 一度失敗すると「俺はいつもこうなのだ」 失恋が続くと「どうせ私は生涯結婚なんてできないのだ」 誰かに嫌われると「みんなが私を嫌っている」 と、思い込んだりします。 皆さんも程度の差はあれ、このような気持ちになったことがあるのではないでしょうか。 しかし、この考え方は癖になると少々危険な要素を含んでいるので、意識的に避けるようにしていただきたい

    • うつに陥る人の物の考え方

      人はなぜ「うつ」に陥るのか? 今回は私の体験から一つ事例をご紹介して、そのメカニズムを考えてみたいと思います。 真面目な人が「うつ」に陥りやすいとよく言われます。 この言葉はある面では当たっているように思えるのです。私は長い職場生活の中で多くの仲間たちが「うつ」に陥るのを見てきました。 初めは「抑うつ気分」から始まり、これがしばらく続くと「抑うつ状態」になります。そしてすっかりエネルギーが涸れ果て「うつ病」になります。これが、人がうつに陥る一般的な流れです。 辛い出

      • 憂うつな気分よ、さようなら!

        皆さんは職場で、上司から叱られたり、仕事や人間関係が上手くいかなかったりして、憂うつな気分に陥ったことはありませんか? あるいは、仕事で失敗が続き自分に自信がなくなり、すっかり落ち込んでしまったようなことはありませんか? このようなとき、心に生じる憂うつな気分をどのように解消していますか? この気分をそのまま放っておくと、次第に「抑うつ状態」へ移行し、さらに「うつ病」という深刻な事態に陥ることがあります。 世の中には、同じように嫌な出来事に出会っても、落ち込んで憂うつ

        • エリート社員の皆さんへ

          エリート社員の皆さんに是非お伝えしたいことがあるのです。 私が若い頃身近で起きた悲しい出来事をご紹介しながら、お話ししたいと思います。 最高学府を優秀な成績で卒業し、中央官庁にキャリアとして入省した青年がいました。 それまでこれといった挫折経験がなく、順風満帆の人生を歩んできました。しかし、ある日仕事で大きな失敗をして上司から厳しい叱責を受けたのです。 「お前は何てバカなのだ」と言われ、「そうか、俺はバカだったのか」と思い詰め、自ら命を絶ってしまったのです。 この話

          失恋の心理学-2

          前回、失恋して情緒障害に陥り不適切な行動に出るのは、恋愛に関する考え方に柔軟性がなく理にかなっていないためであると述べました。 こうした柔軟性のない不合理な考え方をイラショナルビリーフと言います。そもそもイラショナルビリーフというものは、その内容に柔軟性がないため、一度破綻すると他にとるべき選択肢がなく、「抑うつ」や「怒り」といった不健康な感情に襲われ、不適切な行動に走る危険性があるのです。 このような悲劇的事態に陥ることを避けるためには物事をどのように考えたらよいのか、

          失恋の心理学

          恋愛が順調に進み二人が生涯を共にすることができるようになれば、これほど幸せなことはないと思います。しかし、時にはいろいろな事情によって途中で関係が破綻することもあります。 今回は、中でも代表的なケースとして「失恋」を取り上げて、その時の心の在り方について考えてみたいと思います。 恋人の気持ちが自分から離れ去って行く時、私たちはその事実をなかなか素直に受け入れることができないものです。相手に対する気持ちが強い人ほど落ち込みも強く、心は深く傷つきます。 中にはすっかり落ち込

          環境への適応性

          私がこれまで聴いた講演会の中で特に印象に残ったものの一つに、当時東レの特別顧問をしておられた飯島英胤氏の講演があります。 私が現役の時、今から10年以上も前のことですが、飯島さんに来社していただいて行われた特別講演会のお話です。 飯島さんが提示されたあるテーマに、私はすっかり共感してしまいました。 「最後まで生き残るものは何か?」 という少々漠然とした問いかけでした。 強いものでも賢いものでもない。答えは 「環境の変化に柔軟に適応できるもの!」 ということでした

          今の職場で働く意味を見出す

          今ではどこの企業も厳しい経営環境の中で、生き残りをかけて過当競争を強いられています。 こうした状況の中で、多くの人たちが人間関係や職場環境から生じるストレスに耐えながら仕事に取り組んでいます。 そして、そのストレスが自分にとって過重に感じられると環境を改善しようと努力し、それがかなわないと別の環境に移ろうと考えます。 そのこと自体は間違っている訳ではありません。しかし、今日はその前に考えていただきたいことをお伝えしたいと思うのです。 それは、「今の職場で働く意味」です

          転職を考えている人へ

          今の会社よりも自分の能力を向上させてくれる会社に移って、そこでキャリアアップしたい! あるいは、上司や先輩からいじめを受け職場不適応になったので、別の会社に移りたい! さらには、今の仕事に見切りをつけて思い切って新しい仕事に取り組んでみたい! こうした思いから、現在では多くの人が転職にチャレンジしているようです。 しかし、どのような理由があれ、転職には大きなリスクが伴うことをあらかじめ理解したうえで行動する必要があります。 キャリアアップしたいという思いから転職を考

          我慢の心理学

          私が若い頃住んで住んでいたマンションにおける出来事です。 私が入居した当時から1階に3軒の飲食店が軒を連ねて営業をしていました。 そのうちの一軒はジャズバーで、夏になると夜の食事時にはよくパーティーが行われていました。私の住まいは2階ですが、そのお店のちょうど真上に当たります。 パーティーではバンドによる生演奏が行われるため、大音響は2階まで上がって来ます。当時ジャズの分からない私には雑音でしかありません。 窓を閉めてクーラーをかけていても生演奏の音はどうしても私の部

          嫌な気分を切り替える秘訣!

          古代ギリシャのストア派哲学者エピクテートスは、 「人はものごとによって悩むのではなく、その受け取り方によって悩むのである」 と述べています。 私はこの言葉に出会って以来、心を悩ます問題に直面すると、自動思考のようにこの言葉が心に浮かんできます。 その意味するところは、簡単に言ってしまえば「悩む人は悩むように物事を考え、悩まない人は悩まないように物事を考える」ということになります。 人が不安になったり、憂うつになったり、イライラしたりするのは身の回りで起きる嫌な出来事

          怒りを上手にコントロールする方法-2

          前回に引き続き、今回も「怒りを上手にコントロールする方法」についてお話ししたいと思います。 人から不愉快なことを言われたり嫌な出来事に遭遇したりすると、頭にカッと血が上る人がいます。 そこまで興奮しないまでも、そのような場面に直面すると、多くの人が多かれ少なかれ何らかの怒りの感情を持つのではないでしょうか? 朝家を出て通勤電車に乗って会社に行き、会社では多くの人と接しながら仕事をします。仕事が終わると、また通勤電車に乗って家に帰り、家では家族と夕食をともにします。 こ

          怒りを上手にコントロールする方法-2

          怒りを上手にコントロールする方法

          日々、私たちの心に生ずる数多くの感情の中に、「怒り」という扱いにくい感情があります。 世の中には、性格的に穏やかであまり怒らない人がいる一方、気が短くて些細なことでもすぐに切れてしまう人がいます。 この「怒り」という感情をどう理解し、これにどう対処していくか? このような不健康な感情はできるだけ抑えるべきだという考え方もあれば、いかなる感情も心の中に抑圧することなくすべて表出した方が心の健康には良いという考え方もあります。 皆さんはどちらのタイプでしょうか? まずは

          スピーチが苦手な人へ

          日本人は欧米人と比べてスピーチの苦手な人が多いと言われています。 欧米では子供の頃から自分の意見を皆の前ではっきり主張するように教育されているようですが、日本ではこの点が少し欠けているため、社会人になって多くの人の前でスピーチをすることに抵抗を感じる人が多いようです。 そういう私も、実は人前で話をするのが苦手なタイプでした。初めて管理職として地方機関に転勤した頃、多くの人の前で挨拶をする機会がにわかに増えたのです。 緊張して自分の思っていたことを十分話せないまま終わって

          トラウマを克服したい人へ

          「トラウマ」という言葉は、そもそも「傷」を意味するギリシャ語でした。 1917年フロイトが、物理的な外傷が後遺症になるのと同様、過去の強い心理的な傷がその後も精神的障害をもたらすようになることを「精神分析入門」において発表しました。 その後、この言葉は精神的外傷を意味する言葉として使われるようになったと言われています。 過去の酷い出来事によって受けた心の傷つまりトラウマは、それ以降の心や行動を支配しており、将来にわたって強く影響し続けるだろう、というのが今でも一般的な考

          変えられるものと、変えられないもの

          私たちの人生には、自分の努力次第で変えられるものと、いくら努力しても変えられないものがあります。 変えられないものに直面したとき、私たちはこの事実をどのように理解しどのように受け取ればよいのでしょうか? 一つ言えることは、 過去の出来事は変えられませんが、その受け取り方は変えられるということです。 他人の言動は変えられませんが、その受け取り方は変えられるということです。 「人生」について考えてみましょう。 私たちの人生は、生に始まって死で終わります。 人によって