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「共有」「シェア」は、”し続ける”のではなく、”適度に行う”

スペースでも食料でもコミュニティでも、共有することはいいとしても、共有し続けることはいい訳ではない。

例えば、お金が常に支払えてたりすればいい関係として繋がれていることになるとか、レスを常に返してたりしてればいい関係として繋がれていることになるという、人間として生きる上での良好な関係の維持のために行うことがある。とすれば、毎度やるのはかなり疲れるけど、適度にやれば信頼できるという感覚が私にはある。毎度やっている人もいるし、それに喜びや幸せを感じる人もいる。とはいえ、したくてもできない人への心理的な配慮を持ち合わせているかといえばそうではない。事情を勘案しないとかえって失礼という感情を抱く人もいて、私の場合はこちらの感情を抱える親の下で育った経緯があるので、その感覚があったのだと思う。コミュニティの関わり方やシェアリングエコノミーの普及に対しての違和感として。

それを踏まえて言うと、コワーキングスペースもそうだし、様々あるシェアリングサービスは毎日利用していいと考えている。
だけれども、ほぼ毎日や週に1、2日を限度に1つのサービスを受け続けるのではなく、同様のシェアリングサービスを3〜5つ程度で複数契約または定期的に利用をして、気が向いた時に適度に使い回していくのが、相互にいい関係を築きやすいのではないだろうか?

これは「コワーキングカンファレンス2012」でパネラーの誰かが話していたことで、これこそ相互に支え合うコワーキングのカルチャーでもあり、起業やまちづくりのあり方で新しくもあり画期的な考えで、これをしっかり伝えたいとすごく感銘を受けたことを覚えている。
コワーキングスペースもりおかの料金設定は、この時に教えられたことをベースに、利用者さんに複数のコワーキングスペースを1、2週に一度利用してもらうことを前提にして価格を安くしているところがある。ユーザーに複数のスペースを利用してもらう上で、平均1万円程度(多くても2万円程度まで)1ヶ月のコワーキングスペースの利用費にかけてもらうというのがコワーキングスペースに対するお金の良いかけ方・相互に気持ちの良い利用ができるやり方だと教えられたし、その発想から逆算して他のコワーキングスペースの価格が決められてほしかったなという思いがある。チェーン店化、ブランド化して複数拠点を囲って自由に利用できるやり方もあるが、それでもブランドユーザーのコミュニティという形に納まりがちになるので、必ずしも相応しいという評価はできない。

しかしながら、資本主義的な思考でスペースを経営しようとした場合、経営するコワーキングスペースそこだけの月額会員になってもらって毎日利用してもらうことが経営的な安定にもなるし、利用者にもビジネスモデルとしてわかりやすい(サブスクリプションの普及で多少は楽になった面はあるが)。さらに毎日気持ちよく利用してもらえるようにするための方策として、会員同士のクッションになるようにコミュニティマネージャーというスタッフを雇うようになっていったのもあるので、結果的にこれが主流になっていった側面がある。
このように、コワーキングという働き方やコワーキングスペースに対して誤解釈しやすそうだなと感じたところを見事に誤解釈されて、誤解釈を受けたスタッフや利用者が増えてさらに増長されたのもあって、ただのシェアオフィスと意味が一緒になっているように認識されている現状がある(私とてそうだったので)。これによって、会員同士の仕事の融通や助け合いはあっても、会員以外との仕事の融通や助け合い、新規の顧客開拓、新たなビジネスの創造といった10年前当時コワーキングを通じて期待されていた効果はほぼできなくなっていると感じている。利用者やコミュニティマネージャー同士の交流や楽しかったとSNSに投稿していくことがゴールではなく、コワーキングスペースを利用して楽しく仕事をしてもらいながら、利用者の成果につなげたり新たな取引相手やプロジェクトにつなげていくのがゴールだと思っているので。

という具合に、毎日利用してもらおうという発想を持った上で行うビジネスの発想というのは、良好な人間関係や取引関係を続けていく上で実はかなり厚かましい発想ではないかと最近考えている。シェアリングエコノミーやSDGsを掲げてビジネスをする場合には、顕著に気をつけないといけないのも合わせて。これは自省も込めて言うし、毎日でも利用してもらいたい方向にシェアリングエコノミーや地域経済の活性化を語っていこう、活動していこうとするのなら、肝に銘じてほしいなと願っている。


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