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Days.19 等価 Equivalents 死も再生も

モノクローム写真の続き(前はDays.18)

空の写真が好きだ。

かつては写真集やポストカードをよく集めていた。
空の写真でとくに好きだったのが、アルフレッド・スティーグリッツの「Equivalents 等価」と名付けられた一連の写真。古い時代だからモノクロームだが、繊細な雲と光の陰影に惹かれた。

最近は日々SNSでいろんな方の空の写真を楽しませてもらっている。
ある時、一枚の風景写真に強い印象を持った。
海と大きな空、鮮やかではないが色彩は複雑で、昏い。反して線はくっきりと強い。透明な暗さを湛えた光。
キャプションには死について思う言葉が鋭く短く記されていた。うらはらに、私の中には 再生、という言葉が波が寄せるように繰り返された。

死そして再生

何かが潰えて甦っていく時の

静かだが力を秘めた、そんな姿

色彩よりも強く、陰影で、輪郭線で、覚えている。
これはあの「Equivalents 等価」だ。
既視感を頼りに、久しぶりにスティーグリッツの写真集を手に取った。

死にゆくことも、再生することも、等価である。
雲のように、光のように、
生まれて消えて また生まれるもの
それぞれ異なるものでありひと時もとどまることはなく、それでいて等しいものでもある

一枚の写真に写し取られた瞬間、表されたもの、喚起されたものは、すべて等価
写真集を眺めながらそんなことを考えた。
この瞬間 空をよぎる雲と 写真の中の遠い過去の空の雲も、等価 なのだろう。

雲が行き、陽射しが過ぎ、翳り、

光が一巡りした。

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