【これからの人材戦略】
雇用すべきか業務委託契約で行くか、会計人や経営者が選ぶべき方法とは?
こんにちは。小山晃弘です。
本日は、これからの人材戦略についてお話ししたいと思います。
□会計業界の話
私が監査法人から独立し、起業したのが2014年なので、そこから経営者サイドに回ったことになりますが、昨今特に言われているのが、「人材難」です。
特に、この会計事務所においては、公認会計士・税理士などの専門家不足に加え、記帳を担当するスタッフレベルで人材不足に喘ぐ会計事務所が少なくありません。
会計事務所においては、営業が取れるのかという売上の不安と同じぐらい、近年においては売上をこなすだけの人材が獲得できるかどうかというもの大きな経営課題の1つとなっています。
売上が獲得できなくて廃業する会計事務所や会社も多いですが、人材が獲得できないことにより、業務を回せず廃業したり、後継がなく事務所を売りに出したりする事務所も多くなってきています。
この人材難の背景には、
・会計事務所の仕事の魅力の低下
・資格勉強人口の減少
・労働集約型の仕事が多く人手が必要
・大手事務所に人が集中しやすく中小には集まりにくい
など、複合的な原因が挙げられます。
これに拍車をかけ、人材獲得費用の高騰もあり、多くの会計事務所は人材獲得に苦労していると思います。
もちろん弊社も例外ではありません。
幸い、弊社は、営業力は高いので多くのご依頼は受けるのですが、それを任せる優秀なスタッフや会計人の採用が決して順調とは言えない現状があります。
本日はそんな中でも私の会社が、なんとか採用や外注による人材戦略を駆使して、毎年前期比150%超成長は維持できてこられている理由や、今後の人材戦略についてお話しできればと思います。
□人材獲得費用の高騰
上述の通り、売り手市場(求職者側が少なく求職者有利の状況のこと)が続いているため、一人あたりの人材獲得費用も高騰しています。
例えば、いわゆる記帳スタッフ(簿記2級レベル、もしくは税理士科目合格)の方で言うと、人材紹介会社(成功報酬型の人材紹介。雇用が決まれば紹介料を支払う)に依頼した場合、80万円〜、多いと100万円を超える支払いが起こります。
また、人材紹介ではなくとも人材ドラフトやIndeedなどの掲載型の採用でも月に数万〜数十万円の掲載費用がかかる上、マッチングできるかどうかの保証もありません。
さらに公認会計士や税理士になると人材紹介ですと紹介料100万円超えは確実かと思います。
このように会計士や税理士、スタッフなどの職員を獲得するために、職員本人にではなく、そういった人材紹介会社等に多額のキャッシュアウトが生じているのです。
言わずもがなですが、当然、職員本人へのお給料も以前よりは色をつけたり、研修制度を充実させたり、待遇面も工夫をする必要があります。
このように会計業界を取り巻く人材市場は経営者サイドからすると大きな課題となっています。
(私もトーマツに就業していた時は会社員志向でしたので、まさかこんなところで悩まされるとは夢にも思っていませんでした。雇っていただいていたトーマツには感謝しかありませんね・・・)
□今後の会計業界、日本全体の話
とは言っても私と、この記事を読んでくださっている会計人の方も、このような人材市場へ不平不満を言って足を止めるわけにはいきません。
時代の流れを読んで、うまく対応して生き延びていくだけでなく成長していかないといけません。
今後の会計業界といいますか、日本全体の話にもなると思うのですが、今後も人材不足は解消されないでしょう。もっと言うと、魅力のない業界や仕事にはますます人が集まらなくなると考えています。
一方で、AIや機械化もそんなすぐには完璧な精度で使えるようにはなりません。
さらに、これまでは学業卒業→企業に就職という流れが当たり前のように続いていましたが、今後はますます就職はせずに、個人レベルで仕事をする、フリーランスや個人事業主、リモートワーク及びテレワークの増加が見込まれます。
つまり、企業に“就職”しフルコミットしたいという人口自体が減少すると考えています。
私が思うにこの流れ自体が悪いとは全く思っていません。
経営者としては少し不都合な部分もあるのですが、各自が自立して責任を持って豊かな人生を送るという意味では、人間レベルで考えた場合にはむしろ歓迎したい流れだと個人的には思っています。
その上で、経営者サイドとして考えるべきことは何か?それは以下の2つだと思っています。
1、それでも働きたいと思ってもらえる会社や組織、資格を目指す
2、個人事業主やフリーランスをうまく活かせるような仕組み作り
であり、
1、 それでも働きたいと思ってもらえる会社や組織、資格を目指す
→雇用戦略
2、 個人事業主やフリーランスをうまく活かせるような仕組み作り
→外注戦略
の話になると考えていて、つまり、前者が雇用戦略、後者が外注戦略という言葉に置き換えられます。
社内ではフルコミットした人材を雇用しつつ、外注などの流動性の高い人材をいかにうまくマネジメントして最高のパフォーマンスを発揮して組織として戦っていくのかというのが大事なポイントになると考えています。
□独立組の会計人がやっておいた方が良いこと
上述の通り、今後の経営者サイドとしての人材戦略においては、雇用戦略と外注戦略のどちらも必須になってくるかと思います。
雇用戦略については、これまでは開業すれば求職者が応募してくれた時代から、こちらからうまくアピールできた事務所に多くの人が集まると考えられます。やりがいのある仕事を創造したり、魅力ある待遇を用意し、それらを求職者に知らせる努力が重要です。つまり、事務所のブランディングとPR活動が必要です。
外注戦略については、テレワークや週3勤務、時短勤務など様々な条件の人員をマネジメントできる体制を整えることが重要です。外注人員の採用自体については、クラウドワークスや主婦ジョブなどの採用プラットフォームも充実しつつある為、こちらの人員の獲得環境自体は悪くありません。
どちらかというと獲得した後の事務所の雰囲気とのマッチング(カルチャーフィット)や、業務の連携(スキルフィット)などが肝になります。
この点については、弊社では業務引継書を作成したり、このような外注人員をまとめる担当社員などを用意して対応するようにしています。
□事務所自体のブランディングとPR活動
ですので、今後は事務所に人が”集まってくる”状況を作らないといけません。
これができないと、一生人材紹介会社にお世話になることになりますし、更なる獲得コストの高騰があった場合には、よほどの大手でないと費用が見合わない状況になってくると思います。
そこで弊社も3年前から継続してやり続けているのが事務所自体のブランディングとPR活動です。私はこれらを総称してメディア戦略と呼んでいます。(小山出たがりだなと思っていた方々、違うんです。戦略なのです。)
これに月に50万円〜多い月で100万円以上の予算をかけ続けて自社メディアを育てたり、露出したりしています。
メディア自体は”資産”なので、育てばお金をかけずとも働き続けてくれます。
一般的にメディア戦略というと、広告を出したり、テレビに露出したりして、お客様を獲得する時などの”販売活動”と捉えられがちですが、私が思うには、これからの時代のメディア戦略の本当の使い方は採用だと考えています。
自社の良さやサービスの紹介はもちろん、経営者や職員自身が露出することで経営理念や業界貢献、クライアントへどういう想いで仕事をしているかをもっと示すことができれば、自ずとそこで“一緒に働きたい”と思ってくれる仲間が増えてくれると思っています。
現に弊社では、メディア関連からの採用で、この1年で既に2名の方に入社してもらっています。
人材紹介会社を通していたら200万程度かかったはずです。しかも紹介会社を通した場合には、一般的には求職者は弊社のことを知らずにゼロスタートです。
一方、メディア戦略を通せば、求職者側からうちを指名してきてくれているわけです。この違いによる雇用ロイヤリティメリットは既にお気づきの通りです。
□具体的に弊社でこれまでに行ったメディア戦略による事務所ブランディングの媒体
具体的に弊社でこれまでに行ったメディア戦略による事務所ブランディングの媒体は、
■YouTubeチャンネル
→チャンネル登録数1万人超のチャンネルを運営しています。
https://www.youtube.com/channel/UCTPIe7w6MPUuZYgLdSerSnA
■ネット番組の出演
勝俣州和さんの番組へゲスト出演
堀江貴文さんのホリエモンチャンネルへの出演
■書籍の発売
①『これ1冊で大丈夫! 仮想通貨の確定申告がわかる本』〜堀江貴文氏推薦〜
Amazon「所得税」「ビジネスの法律」「税法」3冠達成
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4814920369/
②『資金調達X.0〜事業を軌道に乗せる新・資金調達 現代のスタートアップ法』
■DVDの発売
①『成功事例に基づく~ 公認会計士が教える3年で年商1億円の起業法』
■地上波テレビ出演
千葉テレビ「魚住りえのカイシャを伝えるテレビ」
になり、通常の会計事務所では考えられないほどのメディアに露出しています。
これによりクライアント獲得はもちろんなのですが、一緒に働きたい仲間への訴求にも絶大な効果を発揮しています。
このまま続ければ、今はまだ接触できていない“見込み仲間”との交流もどんどん広がってくると確信しています。
□最後に〜業界として考えるべきこと〜
最後に、私が本当に思うのは、これまでは個人の士業がそれぞれの利益のために仕事をしたり、法人化して採用をしたり、つまり、自分達や自分の会社のことばかりを考えてビジネスを行ってきたと思います。
当然、競争市場なので仕方のないことだとは思うのですが、私はこの資格や仕事をさせていただいている以上、もっと広い視野で、業界への貢献と発展、さらには日本や世界全体への発展をしていくべき時代が来ていると考えています。これまでそう言った視点で仕事をできていなかったからこそ、
・会計事務所の仕事の魅力の低下
・資格勉強人口の減少
・労働集約型の仕事が多く人手が必要
・大手事務所に人が集中しやすく中小には集まりにくい
が起こってしまったのは必然だったと考えています。
特に“会計事務所の仕事の魅力の低下“や” 資格勉強人口の減少“なんてものは、大変お恥ずかしい話だと思っていて、我々大人の士業がもっと魅力的な仕事を創造し、見える化をして、目指したくなるような仕事に育て上げられていないことによると思っています。
既に魅力のある仕事をしているのであれば、もっと発信して見える化をして、スポーツ選手、芸能人やYouTuberのように若い世代が夢見られる憧れる職業にしていかないと業界自体の発展はないと考えています。
私自身、この仕事をしている身としてこのことを強く反省し、もっともっと魅力的な業界にしないといけない、そして社会に必要とされないといけないと思い、メディア戦略を含めた人材戦略を行っているのです。
このように広い視野でビジネスを捉え、私が目指す未来は、
・会計事務所の仕事の魅力の低下
→魅力ある仕事の幅を広げる。仕事の魅力の発信を行う。
公認会計士=監査
税理士=税務申告
だなんて誰が決めた?
それは一種の特殊能力=スキル=”権利”なだけであって”義務”ではない。もっと柔軟に自由に価値を創造すべき。
・資格勉強人口の減少
→受験生への貢献を通じて受験人口を増加させる。目指したい仕事にする。
そのためにも士業にも目指したくなるかっこいい大人が必要。
他業種でいうキングカズ、本田圭佑選手、イチロー、弁護士でいう橋本先生など。
・労働集約の仕事が多く人手が必要
→業務効率化をはかり、IT化への開発にも積極参加する。単純労働から本来の士業の知的商売に戻す。
・大手事務所に人が集中しやすく中小には集まりにくい
→中小零細企業こそPR活動・メディア戦略が必要。閉鎖的な業界からの脱却。人を財産とし大事にする。
このように1つ1つ狙いと対策と持って私自身も取り組んでいます。
今はまだ道半ばですが、まずは私から示していきたいと思っています。
ぜひこれを読まれた会計人の方もそう言った視点で、雇用・外注による人材戦略や、そのためのメディア戦略などを組んでみることをオススメします。
それでは今回もありがとうございました。
以下は、私の署名だけです。出来るだけ本気の方に読んでいただきたいと思い、なんちゃって有料化にしています。※誤って僕に課金しないように(笑)
ここから先は
¥ 100
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?