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OEDO[3-8] サイアクの戦争

それでも戦争になったら、日本は負けます。冒頭からすみません。しかし万が一日本が戦争に突入するようなことがあったら、負けます。非武装・非暴力の道を採れば侵攻も、占領もされません。しかし敢えて軍拡・交戦の道を辿るというなら、残念ですが負けてしまいます。ご説明しましょう。

指摘される通り、日本は周囲に不安要素を多く抱えています。同盟国の多いEU内の一国とは立場が違います。世界は東と西、北と南ではまだまだ文明の成熟度に差があります。亜細亜のこの地域は、民主度や自由度において一歩も二歩も遅れています。人道的な価値観もまだそれほど浸透していません。

中東やアフリカほど不安定という訳ではありませんが、日本の近隣諸国とされる国々には途上国であったり、専制国家であったり、いわゆるローグネイション(ならずもの国家)と呼ばれる国も含まれます。近年ますます軍拡に力を入れ始め、危険度が増しています。

迂遠な言い方はよしましょう。わざわざ名指ししなくてもお分かりだと思います。そんな危険な近隣国家とは「最悪な韓国」「極悪なロシア」「凶悪な中国」「劣悪な北朝鮮」の4つです。ちなみにこの時点で、いつものマンガネタのオチが予想ついた人は、相当なマンガ通である上に、かなりの慧眼の持ち主です。

彼らには非人道的な攻撃が可能です。原発を攻撃し、あなたの住む地域に放射能の雨を降らせることも出来ます。市街地も攻撃できますから、あなたの家も爆撃できます。民間人も殺傷、拷問できますから、あなたの爪を剥がしたり、目蓋をカミソリで切り裂いて目を閉じられなくすることだって可能です。

例えば、最悪な韓国。年間の防衛費は日本とほぼ肩を並べますが、向こうには徴兵制があります。ほとんどの国民が2年以上の軍事訓練を終えています。体育会系合宿を耐え抜いた以上の胆力で最後の一兵まで戦えるのに対し、日本の若者はアニメや課金ゲーム三昧の日々。「国の為に戦う」と答える若者は僅か5%(NHK調査)。自宅警備員にしかなれません。

次に極悪なロシア。年間の軍事費は日本より少し多いぐらいですが、民間の施設を爆撃したり、原発を占拠したりのやりたい放題なのは報道で見る通り。長期化しても兵士は畑で採れるので、第二次大戦時に1,400万人以上(日本は210万)が戦死したという、人を人とも思わぬ恐るべき核保有国家です。

そして凶悪な中国。経済成長とともに軍事費も急増。今や日本の5倍とも、6倍とも言われ、自衛官22万人に対し中国人民解放軍200万人。我が国を通り越してアメリカと覇権を争うほどの巨大軍事国家となりました。徴兵制も敷けないほどに人民の数が多い上に、一帯一路政策で子分の国も増加中。もちろん核も保有しています。

最後に劣悪な北朝鮮。軍事費は非公表とされていますが、自国民を飢餓に追いやりながら我が国の数十倍と言われる一方で、ずっと少ないという試算も。謎の部分が多いが故の、放っておくと何をするのか分からない恐ろしさは皆さんもお感じの通り。キレたら核をも撃ち込みかねません。

以上、日本が置かれている危機的な状況を整理してみました。奇しくも改憲派の方々の認識と変わらないかと思います。彼らは皆、口を揃えて「地政学的リスク」だの「国際的脅威」だのと連呼しますが、まったくおっしゃる通りです。リスクも脅威もすでに限界を超えています。諦めた方が良いでしょう。

翻って日本の防衛力はいかほどのものかというと、これも改憲派が分析する通りだと思います。この稿を起こすにあたって、それなりに彼らの書物に目を通してみましたが、何故か自衛隊の強さや優秀さ礼讃するものは見当たりません。どれを読んでも自衛隊の窮状を訴えるものばかりでした。

「予算がない」「兵器が足りない」「建物が老朽化している」「弾薬が足りない」「よって実弾訓練もできない」「救助活動のせいで訓練が疎かになる」「人員も足りない」「若者が不足している」「中高年の割合が高い」「組織構成がいびつ」「勤務の激化」「秩序の乱れ」──。

彼らの主張は自衛隊だけに留まりません。「アメリカは守ってくれない」「security commitmentと防衛義務は違う」「核の傘には期待できない」──などと日米安全保障にも疑問符を投げかけます。僕にはよく分かりませんが、まあ、専門家の人たちが言うのならそうなのでしょう。

でも、語るに落ちてますよね。日本の「軍事費拡大」に「核保有」、「9条改正」を実現したくて必死に主張しているのでしょうが、自衛隊は役に立たない、アメリカは当てにならないと、なかなかに失礼な物言いになってしまっています。本当にその通りなら、戦争はもう諦めた方が良いですね。

だって彼らの「鍵掛け論法」によれば、日本は防衛力を持たなくなった途端に敵に攻め込まれるんですよね。するとサイアクの国と一戦交えて最後の一兵まで失った場合、日本の国防はガラ空きになってしまう訳です。そこにゴクアク、キョウアク、レツアクな国々が付け入らないはずがありません。

残された3カ国の間で、おそらく次のような会話が取り交わされるでしょう。ゴクアーク「サイアークがやられたようだな……」キョウアーク「ククク……奴は四天王の中でも最弱……」レツアーク「人間ごときに負けるとは魔族の面汚しよ……」──とてもとても、日和ってる場合じゃなくなるのです。


※最後までお読み頂きありがとうございます。この「地球防衛隊」全体の構想は最初の投稿「OEDO[0-0]地球防衛隊法案──概論」にまとめています。それ以降の章は、この章も含めて、その詳細を小分けして説明する内容になっております。

第一部[1-1]〜[1-9]では「戦争観のアップデート」について。第二部[2-1]〜[2-9]では「地球防衛隊の活動と効用」について。第三部[3-1]〜[3-9]では「予想される反論への返答」について。第四部[4-1]〜[4-9]では「地球防衛隊に至る思想的背景」についてを綴って行く予定です。

敢えて辛辣に、挑発的に書いている箇所もありますが、真剣に日本の未来を危惧し、明るいものに変えたいとの願いで執筆に励んでいます。「スキ♡」「フォロー」や拡散のほど、お願いいたします。批判、反論のコメントも大歓迎です。

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