見出し画像

計画を立てることと、守って実行すること

計画を立てることと、守って実行すること。
そのどちらが、難しいかと聞かれると、圧倒的に守って実行することだと答えるだろう。

日々の生活の計画から、旅行の計画、仕事の計画まで、私は比較的事前に計画を立てて動きたいと思うタイプの人間である。

しかし、計画を綿密に立てた時に限って、予想外の邪魔が入るものだ。
早く上がってジムに行こうと計画した週に限って、夜に緊急のミーティングが入る。こんな現象に名前をつけたくなるくらい、思い当たる。

そんな時のために、最近は”バッファー”の時間を設けておいて、予想外の邪魔が入ったときに対応できるようにしている。
そのためにも、まずは見える化して、どの程度計画からズレているのかを把握することが重要だ。


計画が”自分だけ”のものではなく、”周りを巻き込んだ”計画だったら守って実行することの難しさは、尚更である。

会社でも、「仕事のQCDを守ろう」といった計画立案は毎年のように行うが、中々一筋縄ではいかない。

更に、その”周り”が不特定多数になると、その難易度は大きく跳ね上がる。

急に壮大な話になってしまうが、先日ブロックチェーン(BitCoin等の仮想通貨に使われる技術)を日本に広めた方の話を伺う機会に恵まれた。

その方は、仮想通貨を導入することで、より幅広い・安心した支払いの手段を展開したかった。それが目的だったのだという。
それは、私のような仮想通貨=投機的な金儲けの手段と思っていた人間からすると衝撃的な話だった。

しかし、その方の目的は達成されたとは言い辛いのだという。
それは、その目的意識を持った人々以上に、”その他大勢”の投機的な金儲けとして参入してきた企業・個人投資家が非常に大きな規模になってしまったためである。


その話を聞いていて、ふと今のインターネットも同じようになったのだと感じた。
(軍事的な利用等の大本ではなく)元々は、パソコン通信と言われた時代から、個人が自分の周りの他愛もないことを含めて、(ほぼ)無償で提供し合う、そんな場だったインターネット。

それがWeb2.0などを経て、様々な大企業が当たり前のように、インターネットの世界でサービスを提供するようになることで、非常に便利で・楽しい・新しい広大な市場が構築され、未だに広がり続けている。

しかし、その一方で、違法な売買を行うサイトは言わずもがな、見ていてあまり心地が良いと言えないようなサイトも山程存在してしまっている。


この様に、一度広がってしまうと、元々計画を立てて推進していた人の手からも完全に離れてしまい、”不特定多数の人”という新たな生命体のようなものによって、動いていってしまう。

こういった話を考えていた時に、ふと私の興味が強い”格差・貧困”といった分野とのつながりを感じ、懸念を覚えた。


”格差・貧困”を是正するための政策として、減税などの直接的な手段と合わせて良く言われるようになっているのが、MMT(現代貨幣理論)である。

MMTの成否については、私が言える立場には無いので、そこは個々人でご判断いただきたい。
ただ少なくとも、上記の動画に出ている、京都大学大学院の藤井先生が、本当に危機感をもって、強い熱意で”格差・貧困”の是正をMMTによって解決したいと考えてらしゃるのはよくわかります。

しかし、MMTによる”格差・貧困”の是正という中で、「MMTはハイパーインフレを招くと言われるけど、実際は物価上昇率が一定行ったら止めればいいので、問題ない」という理論を展開される方。
これだけは、本当ですか?と聞きたくなってしまう。

これが、つまり、計画を立てることよりも、守って実行することが難しいという点と重なるのである。
MMT(または、イメージしやすい様にベーシックインカムでも可)を導入したとして、”格差・貧困”に苦しんでいる人々にお金を回したとする。
そうすると、その人たちは順番に”格差・貧困”から解放されていくことになる。そして、そんな政策を取った政府に対する支持率があがり、与党はウハウハになるだろう。
そんな状況下で、総選挙を実施したら与党の圧勝だ。

さて、そんな取り組みを数年やって、当初目標とした物価上昇率を達成した。その時に、政府は本当に、その政策を計画通り停止できるだろうか。
人々の支持率の元になるような政策を。


これが私が感じた懸念である。政治経済について明るくないので、全くの的外れであれば、ぜひご指摘いただきたい。

しかし、政治や経済の理論ではなく、不特定多数の集団による生命体としたときに、それが果たして計画通り実行できるものだろうか。


もし、その上で実行するとした場合、どうするべきか。
それは、もしかしたら個人が計画を予定通り実行するための手段と似ているのかもしれない。

つまり、しっかりと計画を見える化し、進捗・乖離を把握すること。
そして、計画通りいかないことを前提に、バッファーを設けておくこと。
最後に、一定期間で計画を練り直しすること。

安易かもしれないが、個人の計画では当たり前のように実施するのに、政策ではあまり、上記の手段が実施されていないように見えるのは、なぜだろうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?