加藤夕貴

カナダBC州認定心理療法士、表現アーツセラピスト。 インナーチャイルド/トラウマの癒し…

加藤夕貴

カナダBC州認定心理療法士、表現アーツセラピスト。 インナーチャイルド/トラウマの癒し。表現アーツと人の成長、カナダの教育・ダイバーシティ&インクルージョンや平和構築を考察。 以前のブログはこちらから:https://youkikato.blogspot.com/

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  • 海外セラピストの目

    • 19本

    海外で活動する日本人心理セラピスト達による、創作物のストーリーの裏に隠される心理現象を様々な視点から読み解いていくリレーブログです。

  • こころ・身体・思考をつなげる 〜個人と関係性、社会のこと〜

    社会問題と個人のメンタルヘルスの関係や、フェミニズムの視点と個人と社会全体の癒しの可能性を探ってゆく、心理カウンセラーのノート

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表現アーツセラピーってなに?

こんにちは、表現アーツセラピストのゆうきです。 今日は、私がどんな風に心の癒しを行なっているのか、表現アーツセラピーについてお話したいと思います。 私はもともとトークセラピーといって、ごくスタンダードな対面カウンセリングで行われる対話を通した心理療法を中心に学びました。対話中心にセラピーを行なってゆく中で、少し限界を感じたのと、私自身が表現すること、芸術を通して癒された経験があったので、クリエイティブセラピーと呼ばれる心理療法に興味が湧きました。数多くある心理療法の中でも

    • 障害者就労支援 in カナダ西海岸

      今回は、今年3月に見学をした、カナダBC州のバンクーバー国際空港にある、ペーパープレインカフェから見えること、思うことをシェアしたいと思います。このペーパープレインカフェの見学ツアーを企画された、「自閉症療育支援の~と」たんぽっぽのBlogも参考にしてくださいね。 (※参加した見学ツアーの様子もアップされています。こちらをどうぞ) (注意)私自身メンタルヘルスに関わる人間です。障害と言っても、すべての障害についてのエキスパートではありません(メンタルヘルスに関しても、まだま

      • 『 THIS IS US/ディス・イズ・アス 』の物語考察【#4】

        「世代間に紡がれる希望の光」〜ケイトの物語〜前回やすのさんの記事では、ランドル自身が、育ての親であるジャック・レベッカ、そしてランドルの産みの親であるウィリアムとローレルという4人の人生を知り、それぞれの人生を理解をしてゆく過程が描かれていました。その過程で、自分と親たちへの「許し」が起こり、それにより「不完全な存在であることこそが完全な人間性である」という自己受容という癒しをもたらしたことが書かれています。このドラマは、世代から世代へ様々なテーマが描かれているのですが、そこ

        • 『 THIS IS US/ディス・イズ・アス 』の物語考察【#2】

          『 THIS IS US/ディス・イズ・アス 』の考察がスタートしました。1回目の前回は、やすのさんが、ケヴィンの人生に焦点を当てながら、関係性を通しての成熟プロセスを考察してくれています。ケヴィンの迷っていた心が、様々な出会いとその関係性によって統合へ向かうプロセスがとてもよく理解することができました。 今回は、物語の始まりとも言えるカップル、ジャックとレベッカに焦点を当て、人間性とは何かについて考察してゆけたらと思います。特にAIがものすごいスピードで一般社会に溶け込み

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          ジェンダーとメンタルヘルスのこと~ハンドメイズテイルの考察~【#12】

          前回のやすのさんの記事で、ハンドメイズテイルで重要な役である、ギレアド国の高官の妻・セリーナに焦点に当て、喪失感と、その喪失の「哀しみ」に対しては、その現実を見ることへの恐れやアンビバレントな気持ちの間で揺れ動く姿も書かれ、そんな彼女に訪れる変化も書かれています。そしてセリーナのように、哀しむことがでいない状態が、個人の精神にどのように現れ、またそれが人間関係や社会にどのような影響を与えるのか、個人の内側と関係性や社会の「分断」についても書かれています。今回は、その「分断」か

          ジェンダーとメンタルヘルスのこと~ハンドメイズテイルの考察~【#12】

          広告から見える社会と個人のメンタルヘルス

          心理カウンセラーのゆうきです。 日本を離れ、北米に住み始めて気がつくことは沢山あるのですが、その中でカナダBC州の公共交通機関をよく使うようになってから気づいたことがあります。それは公共の場においての広告の違いです。 広告というのは、公共の場に掲載されるものであり、誰の目にも留まるもの。その社会における広告数やその内容を見るだけで、その社会にはどんなメッセージがあるのか、またその広告による個人のメンタルヘルスや社会的影響が見えてきます。 今回は、広告とメンタルヘルスについ

          広告から見える社会と個人のメンタルヘルス

          海外ドラマ「THIS IS US /36歳これから」にみる家族とメンタルヘルス 

          (※ドラマのネタバレも含まれる記事です) 3世代にわたる家族のヒューマンドラマ 近年、毒親や親ガチャ、機能不全家族という言葉で表されるように、アメリカのみならず、日本でも様々な家族の問題があります。小さくても「家族」というのは、一つのコミュニティ。そのコミュニティには家族メンバーがいて、一人一人を見れば、そこには様々な人生があります。 人の人生には、幸せな時もあれば、もちろん傷つきや悲しみという不幸せな時もあります。良くも悪くも、そのような様々な過去を抱えた個人と個人が

          海外ドラマ「THIS IS US /36歳これから」にみる家族とメンタルヘルス 

          ジェンダーとメンタルヘルスのこと~ハンドメイズテイルの考察〜【#10】

          人は何を持って救われるのか? (※ドラマのネタバレも含まれる記事です) 前回のやすのさんの記事では、「ハンドメイズテイル〜侍女の物語〜」に出てくる「召使」という役割を与えられたマーサに焦点をあて、性別役割分業や客体化が招く女性と女性の関係性、また共感から生まれる繋がりと団結について書いてくださいました。 Huluで放送されているハンドメイズテイルは、北米では2022年秋からシーズン5に入っていますが、このドラマのシーズン3までは、主人公ジューンを中心に、ギレアド共和国で

          ジェンダーとメンタルヘルスのこと~ハンドメイズテイルの考察〜【#10】

          11月11日カナダのリメンバランス・デーに考えてみたいこと

          今日はカナダのリメンバランス・デー(『戦没者追悼記念日 / 休戦記念日』)第一次大戦の1918 年 11 月 11 日に一次世界大戦の休戦条約が結ばれた事によって、毎年この日には戦争で亡くなった兵士に敬意を表し追悼するという日となり、毎年あちこちで追悼の式典が行われます。日本でいう終戦記念日のようなものなのかなと思います。 10月に入ると、街のあちこちで募金が行われ、募金をすると赤いポピーをもらえ、それを左の胸のあたりにつけるという習慣も。また学校では、朝の朝礼で追悼が行わ

          11月11日カナダのリメンバランス・デーに考えてみたいこと

          ジェンダーとメンタルヘルスのこと〜ハンドメイズテイルの考察〜【#8】 

          抑圧された社会構造と恋愛・セクシャリティ 前回のやすのさんのブログには、個人的にとても心が揺さぶられました。「ハンドメイズ・テイル〜侍女の物語〜」の登場人物としては欠かすことのできない、ギリアドという国を作った一人であるフレッド・ウォーターフォードを通して見える、家父長制、ジェンダー問題、また個人の強硬な行動の裏にある心の脆弱さなども見え、社会全体だけではなく、個人の内側で起こっている分離と抑圧が浮かび上がってきました。前々回で取り上げたリディア叔母にも、そして前回のフレッ

          ジェンダーとメンタルヘルスのこと〜ハンドメイズテイルの考察〜【#8】 

          ジェンダーとメンタルヘルスのこと〜ハンドメイズテイルの考察〜【#6】 

          リディア叔母から見えるジェンダーとメンタルヘルス 前回の記事でやすのさんは、ハンドメイズテイル(侍女の物語)に登場する、性的マイノリティであり、ハンドメイドでもあるエミリーに焦点を当てながら、ギリアドの目指す「家族」という枠組みの中で生まれる暴力と、その世界で生きる性的マイノリティについて書いてくださいました。 ハンドメイズテイルには、デストピアで生きる様々なキャラクターが、実に生き生きを描かれています。そんな物語の中のキャラクターに焦点を当てることで、ジェンダーとメンタ

          ジェンダーとメンタルヘルスのこと〜ハンドメイズテイルの考察〜【#6】 

          わたしの身体は誰のもの? 〜ジェンダー、セクシャリティとメンタルヘルス〜

          6月末、49年前に女性たちが勝ち取った中絶の権利が覆されたという、非常にショッキングなニュースが舞い込んできました。このニュースを知った私は、マーガレット・アウトウッドの原作「侍女の物語」で、2017年から始まったHuluドラマ「ハンドメイズテイル」のシーズン1のあるエピソードが思い浮かびました。 主人公のジューンが過去を振り返りながら、社会が徐々に変わってゆく様子、それでも人々は目覚めなかったというシーンです。ネットフリックス・オリジナルドキュメンタリー映画「彼女の権利、

          わたしの身体は誰のもの? 〜ジェンダー、セクシャリティとメンタルヘルス〜

          ジェンダーとメンタルヘルスのこと〜ハンドメイズテイルの考察〜【#4】

          前回のジェンダーとメンタルヘルスでは、やすのさんが「客体化」について、様々な角度から詳しく書いてくださいました。そして「客体化」と聞いて思い出すのは、2017年にアメリカで始まったデズトピア・ドラマ「ハンドメイズテイル」です。このドラマは、1985年のマーガレット・アウトウッドのフェミニズム文学の一つとも言われる小説「侍女の物語」を原作とするもので、現在はシーズン4まで見ることができます♪ このドラマを最初に見た時は、すごい世界だな・・・と思いました。しかし見続けるうちに、

          ジェンダーとメンタルヘルスのこと〜ハンドメイズテイルの考察〜【#4】

          【最近気になったこと】いのちの電話ボランティア相談員不足について〜東京とカナダBC州のホットラインボランティアを比較して見えてきたこと〜

          先日、日本にある、危機介入のホットラインとしては歴史もある「いのちの電話」の相談員不足という話を聞きました。なぜボランティアになり手がないのかな?と疑問に思ったのですが、話を聞くうちに、ボランティアを希望する人たちが少なくなってしまうのも、仕方ないのではないか?と思ってしまいました。 というのも、相談員は完全なるボランティアで成り立っているのですが、まず、その相談員になるのに1年半かかること、またその相談員になるための研修費用がかかること(地域によっては、援助が出る場合もあ

          【最近気になったこと】いのちの電話ボランティア相談員不足について〜東京とカナダBC州のホットラインボランティアを比較して見えてきたこと〜

          ジェンダーとメンタルヘルスのこと【#2】

          やすのさんからバトンを受け取って、引き続き、ジェンダーとメンタルヘルスについて書いていきたいと思います。 やすのさんが、『82年生まれ、キム・ジヨン』というジェンダーを扱った韓国のベストセラー小説を軸に、わたしたちに内在する社会構造の問題がいかに見えにくいのかという点をあげてくださいました。この小説は韓国のみならず、日本でもベストセラーになり話題を呼びました。ただ「キム・ジヨン」を通して描かれたことは、日本でも多くの方が共感したにも関わらず、韓国ほど日本国内においてはジェン

          ジェンダーとメンタルヘルスのこと【#2】

          映画『ミラベルと魔法だらけの家』を心理セラピストの目から考察してみた【#2】

          映画『ミラベルと魔法だらけの家』が描くのは、ミラベルを通して描かれる心の成長〜カオスを経て変容に向かう〜物語。 アメリカ・カリフォルニア在住の心理セラピスト・やすのさんが、 「移民家族の世代間トラウマと家族の再生の物語」として、この映画の紹介をしてくださいました。ここではリレーブログという形で、同じ映画の違う側面に焦点を当てて「ミラベルと魔法だらけの家」の楽しみ方を、バトンを受け取った私が、引き続きブログで紹介します♪ 注意:ネタバレありです。作品をご覧になってから読み進

          映画『ミラベルと魔法だらけの家』を心理セラピストの目から考察してみた【#2】