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アイルランド、スペインを経て奈良暮らし。夫はぽよぽよスペイン人。ふだんは漫画翻訳の周辺…

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アイルランド、スペインを経て奈良暮らし。夫はぽよぽよスペイン人。ふだんは漫画翻訳の周辺をうろうろ。noteではエッセイと妄想の間のようなものを書いています。

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人差し指の長期休暇

クリックしすぎ?による右手人差し指の腱鞘炎発症からはや数週間。 書きたいこと、描きたいものいろいろあった気がしますが、日常で精いっぱいになっている内に霧散してしまいました。 テーピングしすぎで指が動かなくなりそうなのが怖くて、いまそろそろと書きはじめています。 まだぎこちなく、例えるなら人間の身体を乗っ取ったばかりの宇宙人が手をグーパーするときの感覚。 そんな心許ない状況ではありますが、転んでもただでは起きない、がモットーなので、これから霧散してしまったもの達を掻き集

    • 春の雨

      雨の日の本屋さんが好きで、仕事終わりにいそいそと向かった。 19時半の蔦屋書店。 まばらに埋まるスターバックスの座席を眺めて、ほっとする。 平日のこの時間にくるお客さんには、なんとなく親近感をおぼえる。 雨宿りをしていなくても、なんとなくみんなで雨宿りしているかのような、連帯感。同じ水槽に閉じ込められた魚の群れのようでもある。気づけばもう受験シーズンも過ぎて、思い思いに過ごしている大人の姿が多い。 突然、「子育てをしている人は、本当にすごい」と心の中で思う。 子どもが小さ

      • 作文の入り口

        先週の土曜日、ほんの入り口さんで開催された「作文の入り口スペシャル」に参加した。初参加なのに、いきなり3時間のスペシャルで大丈夫かという一抹の不安もあったものの、はじまってみればあっという間の、濃厚な時間だった。 参加にあたって、事前に宿題を出された。 お題はなく、A4用紙1枚程度という自由度の高さがかえって難しかったが、 しばらく考えていると最近心に留まった出来事が表面にぷかぷかと浮かんできた。 日頃から訓練している人間では無いので、自分の中にないものは書けない。 not

        • 深夜書店

          立春らしい。昨夜、久々に眠ることができなかった。 より正確には、うまく眠りの波に乗ることができず、取り残されてしまった。 不眠はつらい。隣に誰かが寝ていても、この世にひとりぼっちのような感覚に陥る。 夫は完全にあちら側の世界にいて、呑気にいびきをかいていた。 私はまんじりともせず2時間ほどベッドの中にいたが、一向に眠れる気がしない。 その状態が苦しく、嫌気が差してきて、仕方がないので諦めて起きた。 電子レンジであたためたミルクに蜂蜜を入れて、なぜかリビングではなく仕事部屋に

        人差し指の長期休暇

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          おまもり

          昨年、おまもりを買った。 正確には、ひいらぎさんのおまもりブレス。 SNSで美しい商品写真を目にして以来、頭の中が深い蒼色の石でいっぱいになってしまい、入荷と同時に「ブルータイガーアイxラブラドライト」のブレスレットを注文したのだ。 人生の節目節目で、主に心が弱ったタイミングでおまもりを必要としてきた。 それは物だったり、言葉だったりした。 どちらもそのときの自分にぴったり寄り添ってくれて、役割を終えると離れていった。 5年前、スペインにパートナーを残し日本へ引っ越すタイ

          おまもり

          振り返る間もなく

          2023年が終わってしまうらしい。 なんだかそれも悔しいので、振り返りきれないこの年を、振り返る努力をしてみようと思う。 1月、2月→誕生日は京都のちょっと良いホテルに泊まって魂の休息。ややこしかった確定申告を無事乗り越える。それ以外は記憶なしw 3月→3年以上遠距離状態だった夫がようやく日本へ。各種手続きでそわそわ。 4月→某大企業から仕事のオファー。オンライン面接など頑張っていた。あわよくば収入アップのチャンス!と血湧き肉躍っていたけれど、途中から「あれ、なんか求め

          振り返る間もなく

          ホームシックとアウェイシック

          先週夫が体調を崩し、めずらしく5日間ほど回復しなかった。 朝2時間半だけパートの仕事をしているので、なんとか仕事には行って、帰ってきてからぼんやり家事をこなし、昼寝をして、次の朝も体調が悪い…という状態がだらだら続いた。今年の風邪は喉にくるらしく、ずっとのど飴を舐めながらあまり声を発さずに過ごしていた。 声が特徴的な人なので、家の中で声がしないこと、そして小さくずっとスペイン語のラジオをかけているのがなんだか変な感じだった。心ここにあらず、というような。そういえば私も海外で

          ホームシックとアウェイシック

          光を求めて

          ロンドンのテート・モダンが大好きなこともあり、テート美術館 光展へ行ってきた。有名なターナーの絵画だけでなく、映像や写真、立体作品など、「光」を題材としたさまざまな作品に触れられておもしろかった。 国立美術館が無料のイギリスと比較するとお安くないチケット代かもしれないけれど、内容が実に多彩で「お得感」を感じられる展示内容だったように思う。 自然と足が止まったのはデンマークの作家ハマスホイの絵画。多くの人が一度は目にしたことがある、女性の後ろ姿が印象的な、室内の微細な光をと

          光を求めて

          言葉の贈りもの

          マネジメントというものをするようになってから、3年近くが経過した。 しかしここ最近はチームのメンバー数が10人を超え、気づけば数字の管理に追われ、常に業務過多な状況。ポジティブな気持ちで働くことが難しくなっていた。 メンバーの体調不良や休職も発生し、それでも変わらぬ数字を達成するよう求められる日々。人間というオーガニックな存在をまるで無視しているかのような、無機質なエクセルのグラフと数字たち。会社という名の利益追求集団。 誤魔化すのも限界にきて、もういいかな、ぜんぶ手放し

          言葉の贈りもの

          ふたりの言語

          スペイン人と結婚していると話すと、「お家では何語で話しているんですか」と質問を受けることがある。 出会いの地はアイルランドで、当時はお互い英語を話していたため、ベースの言語は英語である。しかし、英語は2人の母国語ではないため、「あれ何て言うんだっけ」という場面では母国語の単語をいったん伝え、Google翻訳などで英語、または相手の母国語に変換する。 このあいだあった例は”persiana” スペイン語でブラインドやシャッターという意味らしい。英語がバイリンガルレベルではな

          ふたりの言語

          奈良よ

          「奈良の大仏商法」という言葉は、たしか中学生ぐらいの頃にはじめて聞いた。 当時はあまり意味がわからなかったけれど、大人になり経済活動に参加するようになったり、超観光地のバルセロナに住んだり京都に通ったりするうちに、やはり「奈良はやる気がない」と感じるようになった。 自分の出身地だから、厳しく見てしまう面もあると思う。 そしてそのやる気のなさ、いろんなことがどうでもいいのかな?と思わせる寛容さが、奈良に人を惹きつけているのかもしれない、とも。 先日奈良の観光エリアを散歩して

          流れていく

          ぽつぽつと、ときどき言葉が「降りてくる」ような瞬間があるものの、やるべきことがあったり疲れていたり、なんだかんだで言葉をキャッチできないまま、過ごしているうちに、流れ星のようにあっという間に流れてしまった。 「ごめんね」と思う。なんとなく罪悪感。 降りてきた言葉を記すこと以上に重要なことなどなにもないと言えるまで振り切って、隠者のように暮らすことができたら、と空想する。 腹が減ったり睡眠が必要だったり、納税だったり色々ある中で、書き続けている人は本当にすごい。 この世

          流れていく

          東京でなにしてたの

          ふと東京に行こうと思い立って、3泊4日、東京に行ってきた。 田舎に住んでいると、東京でやりたいことが細々と溜まってきて、ふつふつとする瞬間がある。 「ああ、東京へ行かなければ」と思い、淡々とホテル、新幹線を予約し、勤務先に休暇申請し、リュックに荷物をまとめた。 友人と会う予定はミニマムにしていたけれど、会ってみたらやっぱり楽しかった。 コロナ渦で人となかなか会えない状況だったとき、久々に人に会うとやわらかい綿に触れたような、やさしいガーゼに包まれたようななんともいえない心地

          東京でなにしてたの

          引っ越しあれこれ

          いまの家から引っ越したいと思った理由が3つ。 ひとつは周辺の道が平坦でなく、坂が急すぎること。これが理由で特に炎天下の日など、友だちを呼びづらい。 もうひとつは冬が寒すぎること。 家には窓が多いので、明るいし風通しもいいのだけど、冬はその窓を通してひえひえの空気が伝わってきてつらい。寝室にしている部屋は2面が全面ガラス張りで、1面はシャッターを閉め切りにしているけれどそれでも寒い。 断熱シートなど工夫すればあたたかくなるかもと思ったけれど、結露やカビも不安だしそもそもDI

          引っ越しあれこれ

          今まで住んだ家②

          アイルランドから帰国後、仕事を探すため再び東京の祖母宅にお世話になることに。しかし一度自分のペースで暮らすことに慣れてしまってからの共同生活は困難で、伯父との衝突もあり早々に一人暮らしを決意。 勤務先で知り合った友人が吉祥寺に住んでいたこともあり、はじめての東京一人暮らしは吉祥寺だった。 ワンルームで狭かったけれど、大きな出窓から大家さんのお庭の木が見えるのが気に入っていた。 週末には近所からクラシック音楽やグランドピアノの音が聞こえてくるような、文化的なエリアだった。す

          今まで住んだ家②

          今まで住んだ家

          実は、あと数ヶ月で引っ越すことになった。 同じ県内での引っ越しで勤務先も変わらないけれど、ふと今まで住んできた家について振り返りたくなった。 以下、時系列で綴ってみます。 もうなくなってしまったけれど、実家は田舎の一軒家だった。 2階建てで、1階は台所の他に2部屋、2階は2部屋に分かれており、わたしは18歳までこの家で暮らした。 神社の森がすぐ横にあり、木々が屋根の上に半分覆い被さるように迫っていた。森の中にはさまざまな鳥がいて、夜にはフクロウが鳴いていた。 両親は自然豊か

          今まで住んだ家