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【深夜の山歩き】南ウェールズBrecon国立公園



1年ぶりの再会は真っ暗闇の駐車場で

「夜の新鮮な山の空気、吸いに行く?」

先週、ロブ(『ごりまる母さんメラピークへ』に何度も登場してくるあのロブです)から連絡がありました。
年齢を重ねる毎に夜間の自動車運転が苦手になってきたこと、ここ数日ウェールズには強風が毎日のように吹いており、これが山となると...と躊躇しながらも「ありがとう!ちょうど夜の新鮮な山の空気、吸いたかった」と返信しました。
そしてアンディ(もしよろしければ、『ごりまる母さんメラピークへ➅』をご参照ください)もイングランドから片道3時間かけて来てくれることになりました。
彼とは去年のヒースロー空港に迎えに来てくれて以来の1年ぶりの再会となります。

こうして11月24日、夜10時。
トレーニングの山として、お世話になっている南ウェールズ最高峰 Pen y Fan (といっても868mですが)国立公園駐車場 Pont Ar Daf にて集合となりました。

いつもお世話になっている Brecon Beacon国立公園
車で高速を使って片道1時間のところにあります
いつものコースはCorn Du - Pen y Fan - Cribyn の約往復11㎞
今晩の荷物はこんな感じです

子供たちがまだ小さい頃は末っ子を背中に背負い、そして上の2人の手をひいて登っていたのを思い出します。
それぞれ成長し、それぞれが興味のあることをしだす年齢となった今では3人とも登山にはまったく興味がない様子。
それに少し寂しさも感じますが、子供たちには子供たちの道があるので無理強いはできません。
今では朝、子供たちのお弁当作りを済ませ、彼らが学校に行く前に私が1番に家を出発して、山に行くようになりました。

こうして何度となく登っている山ですが、夜に登るのは今回が初めて。

毎晩、子供たちより早く、家では1番に寝る母。
夜10時、時には9時過ぎにはすでに寝ている自分が、就寝時間に寝ずに歩くというのは貴重な体験です。
そして、久しぶりにアンディやロブ、今回初めてご一緒するロブの同僚であるポールに会えるということがなにより楽しみでした。

月の輝きと満点の星空

ここ何週間も続いていた曇り空。
天候を心配していたのですが、この日の夜空は透明で、光り輝く月や星がものすごく近くに感じられます。
そして、月光に浮かびあがり、照らされる山々の稜線は幻想的で、いつも見慣れた日中の山とはまったくの別世界いるようでした。

今ではすっかり数も減ってしまってしまった登山口にある電話ボックス
真っ暗闇に浮かび上がる、少し曇ったガラス戸が幻想的というか少し怖いです
(一人では絶対無理やな…と速足で通過)
あまり星座の知識がない私ですが、右のほうにあるのはオリオン座でしょうか?
石畳の登りが続きます
しっかり足元を見て、捻挫などしないように
Corn Du 頂上
夜でこそ見れる景色
Corn Du 山頂への登り

夜の登山での学び

夜の登山。

経験してみてわかったことは、どれだけ登り慣れていてコースが頭の中に地図として入っていても、夜の暗闇の中をヘッドランプの灯だけで歩くことはまったく別の山を登っているような感覚でした。
この昼夜の登山の違いを体験できたことは、私にとって大変貴重なことでした。
足を置く場所にも常に気を付けなくてはならない。
とにかく明るい時間帯の登山では使わない神経を総動員したような、そんな疲労感がありました。
7時間の登山でも昼と夜では疲れ方がまったく別次元でした。

そして、ふっと足元から目線を上げると月光に映し出される山々の稜線は美しく、昼間の登山ではまったく感じられない妖艶さのようなものが感じられました。

山を通して出会った友に感謝

なにかの読み物であったように記憶しているのですが、そこに
『どこに行ったのかは大切ではない。誰と行くのかが大切である』と
書かれていました。
その時はさほど記憶にも残らず、サーっと読み流したのですが、
最近特に40歳後半、そろそろ50歳になる歳になって、この言葉が自分のものとして理解できるようになりました。
若いころは逆で、『自分がどこに行ったか』に重きを置いていた...

今では『誰と行くか』の大切さ。を実感できるようになり、年齢とともにそう変化してきた自分を嬉しく思います。

遠くでなくても、お金をかけなくても、家から近くの丘や海でもいい。

一緒に行く人が、自分にとって心地よく、お互いを思いやれる人と行くところ。

それはどこであっても特別で、思い出に残る素敵な場所となるのだと思います。