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サイババのビブーティー

これは1990年代の始め頃の話で、
その頃はブライダル雑誌の取材で社会人のサークルを訪問していました。
ちなみにその雑誌はリクルートのゼクシィです。

それは独身の男女が集まるサークルで、
目に見えない世界などについて語り合うものであった。
どちらもその頃にはなかった言葉だが、つまり、今で言うと、
「スピリチュアル」な事に興味を持っている人達の、
「婚活サークル」だったわけである。
僕はブライダル雑誌の取材でここに行ったのだ。

その参加者の一人が
「サイババ」の「ビブーティー」を持って来ていた。
これも今となってはどちらも解説が必要な言葉かもしれない。
「サイババ」というのは、インドに実在した、
「聖人」と呼ばれていた胡散臭い人物。
ちなみに少し前(2011年)に亡くなった。
「ビブーティー」というのはサイババが空中から取り出したという、
「聖なる灰」とか呼ばれていた、謎の粉のことである。
ちなみに麻薬ではない。

当時サイババは、テレビで特集番組が放送されたりしていたのだが、
サイババの元に信者が訪れると、
サイババが空中から突然何かを取り出すのである。
例えば指輪とか、ペンダントのようなものとか、
腕輪とか、腕時計のようなものとか・・・・
その中でも最もよく出てきていたのが、このビブーティーであった。
原価が安かったら頻繁に出していたのだろうか?

そのVTRを検証したマジシャンが、
サイババが指の間に、石灰のかたまりのようなものを挟んでいて、
それを潰して灰にしているのだと解説していたが、
腕輪やペンダントも同様にマジックで出していたのだろうか?
その腕輪やペンダントは、サイババの似顔絵などが描いてある、
観光地のみやげもののようなものであった。

同じような不思議な現象を起こす人に、
長崎の「あんでるせん」という喫茶店のマスターがいるが、
こちらもすべてマジックだと力説しているマジシャンの人がいる。

僕は「あんでるせん」には行ったことがあり、
実際にその「サイキックショー」を見た感想として、
それはマジックではなく、本当にそういう力を持っていて、
その超常現象が、
こんなに安い見世物のように使われているというストーリーの方が、
話として面白いので、そうだったらいいなと思っている。

とにかく当時、サイババのもとには、
何かを期待して世界中から人が集まっていたのである。
そのサイババのビブーティーを持っている人、
ということはこの人はインドまでサイババに会いに行ったんだなと思った。
最近ではネット通販でも手に入るようなのだが、
当時はインドに行ってサイババに会わなければ、
ビブーティーは手に入らないと言われていたのだ。
当然会場ではどよめきが起こり、みんながその灰に群がった。
僕もその灰を額の真ん中に塗ってもらったのだが、
何かの刻印を押されたような気がして、気恥ずかしく、額がむず痒かった。
東京に住んでいると、このようにして、当時最新流行の話題と、
ダイレクトにつながったような錯覚を起こすことがよくあった。

それから30年以上経ち、ネット社会が拡がって、
東京だけが情報の発信基地という感覚は薄れたが、
今でも九州の人は、東京の人ほどは、
情報に対して浮ついた反応はしていないように感じる。

ちなみにその集会は、
青山あたりのおしゃれな居酒屋というか、
バーのような場所で行われていた、
つまりは合コンのようなものだった。

当時僕は孤独だったので、
こういう人達でもいいから友達が欲しいなと思ってしまい、
次の集まりには、取材の人としてではなくて、
サークルのメンバーとして誘われていたのだが、
その、二回目の集会に向かう途中で、バイクの調子が悪くなってしまい、
元々あまり気が進まなかったので、家に引き返して、
結局そのサークルとはそれっきりになった。

その後福岡に戻って霊能師匠の山村さんと出会うことになるのだが、
山村さんからサイババは、シヴァ神の化身で「悪」よと言われた。
つまり僕には、マジな、
スピリチュアル系の「守護霊」のようなものがついていて、
やばい場所からは遠ざけてくれていたようなのである。

写真はネット通販にアップされていたサイババのビブーティー

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