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#120 ギャラリーフェイク

『ギャラーリーフェイク』
という漫画をご存知ですか?

これは私のお気に入りの作品の一つで
アート業界に関するお話です。

作者は細野不二彦先生
ギャラリーフェイクが代表作の一つでもありますが、他に『GuGuガンモ』『さすがの猿飛』などがあります。

細野先生は2024年で65歳になりますが、まだ現役でビックコミックで連載を持っており、『ギャラリーフェイク』も不定期で連載がまだ続いています。

ただの美術作品の解説漫画や美大受験の漫画ならたくさんありますが、この漫画は芸術を社会問題や時事問題を絡めているのが面白いところです。

つらつらとした解説ではなく、細野先生の非常に豊富な芸術業界や芸術の歴史においてのエピソードをあらゆる視点から組み合わせており基本1〜2話完結のお話にしていて読みやすいです。

作品のあらすじですが

表向きは贋作・レプリカ専門のアートギャラリー『ギャラリーフェイク』を舞台に、オーナー藤田玲司が、様々な登場人物と様々な美術品を通じて、時に世界を駆け巡り、「美とは何か?」を追い求める。

主人公は単なる守銭奴・単なるビジネスとして表面上、描かれることが多いのですが、本心はそうではなくアートへの奉仕者、美の探求者として清濁併せ呑む人物として描かれている。

絵画・骨董・時計や靴などその背景となる歴史などの多分野にわたる薀蓄的描写があり、助手サラ・ハリファとのほのかな恋の行方も描かれる。

wikiより

と言った内容です。

主人公の藤田玲司(フジタレイジ)は有名美大を卒業後、
メトロポリタン美術館(MET)のキュレーターに採用され、上記の天才的な技術と豊富な知識、美術に対する情熱から「プロフェッサー・フジタ」と評される有名人となります

ところが同僚の不正(美術品の横流し)に気づいてしまい、
罠に嵌められて退職を余儀なくされ裏商売も行うアートギャラリー
『ギャラリーフェイク』のオーナーとなります

ただの守銭奴や闇堕ちした人間に思えるのですが実はそうではなく

表向きは贋作ばかり並べたアートギャラリーのオーナーをしているのですが中に常に真作・傑作をわずかに混ぜており、客を判断しています。

裏商売も、美を解さずただ大金を叩いて買うような手合に対しては贋作を真作と偽って法外な値段で売りつけるが、

逆に美を理解する者に対しては真作を二束三文で売ることも厭わない。

と中々興味深い人物です。


このフジタという主人公はもし今読んできた中で美術史がとっても大好きな人なら勘付くかもしれませんが、裏設定として

日本の有名な画家
『藤田嗣治』をモデルにしていると考えられます。

一巻のとある一コマに『あなたの祖父もこの国を追い出されたように』というようなニュアンスの言葉があるのですが、

藤田嗣治は第二次世界大戦時に戦争画アッツ島玉砕を書いたことにより戦後「戦争協力者」と批判されることになりフランスへ亡命しました。

そのことを示唆する言葉なのでしょう。


助手になり、藤田に惚れている『サラ』という女性もレオナルド・ダヴィンチの助手の話から取っているなど

非常に裏設定が深く作り込まれています。

それが表上のストーリーと結構繋がってくるからなお面白い。


絵画作品のお話だけでなく

ミステリークロックの腕時計についての話や

ナイキのスニーカーについての話などもあり

広い範囲で見た芸術
いわゆる文化・文明という括りでアート作品を取り巻く物語が楽しめます。

私は小学校の頃からこの漫画を読んでいたので、美大に通っていた頃は座学は勉強しなくてもSかA判定をもらっていました。笑

芸術は人間の文化・文明と切っても切り離せない関係です。

芸術に関してもっと知ってみたいけど苦手意識がある方は、難しいことを語っているアートの本よりも『ギャラリーフェイク』を読むことをおすすめします。

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