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『THE FIRST SLAM DUNK』 湘北をハコで推してるつもりだけど、たぶん最推しがバレてるな


劇場版『THE FIRST SLAM DUNk』。
(以下『FIRST』)


2022年12月からのロングラン上映が終了して、1ヶ月以上経とうとしてるんだけど。
わかってるけど。

折しも『noteクリエイターフェスティバル2023』(10月1日~10月31日)が開催されるわけだし。

しかも、テーマは「好きなことをもっと楽しむ」だし?
『楽しみ強化』を始めた、今の私にシンデレラフィットのテーマだし?

「推しのよさをいつか語りたい」とか「下書きに眠っている記事を公開したい」とか……

noteさんがピンポイントで投稿内容の例を挙げて、「後回しになってることを実行してみよう!」と推してきているわけだし。


今さら感強いけど、いいよね?

テンション変だけど、いいよね?


いいよねっ?




開始1分くらいで感動!

毎日暑いが、カレンダー上ではそろそろ2023年の夏が終わるという頃。


「 『FIRST』まだやってる~。観に行こう! (のんき過ぎるこれが初見) 」


8月いっぱいで長い公開が終了するとはまったく知らず、月末の映画館に奇跡的なすべり込みをみせた私。(なんでもすべり込みなんだよ……あぶねー……)


この映画は、不思議な始まり方をします。
最初スクリーンはまっ白なんですが、ここからの演出がいいのです!

「なんだろう?」って思っているうちに動きが出て、「SYOHOKU」背番号7のユニフォームを着た宮城リョータの姿が!

ふいに彼が歩き出したときは、もう感動します。
まだ始まって1分くらいなのに!

オープニング主題歌、
The Birthday の "LOVE ROCKETS" が最高。
かっこよすぎる、あの疾走感。

(アニメ版主題歌の熱さはもちろんあるのですが、今回「劇場版」としての熱さも、オープニング・エンディングともに爆発的と思います。つまりは、「アニメも劇場版も、どっちもいいよね!」ということで!)

リョータが先陣を切ると、そこからスターティングメンバーが1人ずつそろっていって、5人が目指していた『目的の場所』で歩みを止める。


で。スタメンのバストアップとともに、この字面。


「湘北」神奈川代表


これだけで熱い。
同じように、白いスクリーンに対戦相手の足許が映り──


「山王工高」秋田代表


こうくるんだよ!

彼らが立っているのは、インターハイ(高校総体)のバスケットコートのど真ん中。今まさに、「湘北」と「山王工高」の試合が始まるところ!(熱かろ?)


「マジで漫画が動いている!」


この映画は、漫画『SLAM DUNK』の原作者である井上先生が脚本・監督もなさっているということで。冒頭の演出からも、ひしひしと強く感じたのはこれ。(前情報なしで行ってしまった)


映画館の巨大なスクリーンに、『SLAM DANK』という「漫画」を描いてる。


アニメーションはたくさんのイラストを重ねて重ねて、動きを表現する。漫画は1コマに込められた動きを、枠線のなかで表現する──


……なんだろ。
『FIRST』は、「アニメーションや映画を作る」という想いで制作されたのではないのかも。

映画館のスクリーンは、寸法が大きい真っ白な漫画用紙で。そこに枠線を取っ払って、たくさんの見えないコマを使った「フルカラーの漫画」を描いてる。

結果。それが動き出して「映画」になった感じ。

監督が漫画に描いてた動き、流れ、その場の空気、緊張感……。そのものを映画にした感じ。

つまり、ものすごい現実感。

「映画を制作」したのではなく、「漫画表現」を「映画という手法にした」ように思えるのです。漫画をそのまま映画にスライドさせた、という意味ではなく、「こだわり」という意味で。



存在感が「まんま」のキャラたち

『FIRST』についてのインタビューで、監督が仰っていたある言葉がとても印象に残っています。


「すでに人物がいる(キャラクターが存在している)」

(……なので、漫画で表現していたその瞬間の「声」が撮れるまで、何度もテイクを重ねたとのことですが【演者さんの証言にもある】)


確かに別人じゃなかった。

というのが、私の個人的な感想。(いろんなご意見はあるかと思いますが)

「漫画」「アニメ」「映画」──それぞれのキャラクターが、すべて同一人物。声の演者さんはアニメ版とは一新されていますが、キャラの存在感がまんま。

ちょっと面白いなあと思ったのが、コレなんだけど。アニメの花道は、より彼の「キャラクター性」を高める演技が「花道らしい」気がしますが、『FIRST』の印象は「リアルな高校生」の桜木花道。

『FIRST』の世界線というか……『FIRST』の「キャラクターたち」が集まったあの空気感のなかでは、そういうリアルっぽい演技によって、調和がとれていたんじゃないかな、と。

今回の主役はリョータだしね!

リョータの家族に関するエピソードが、描かれていた本作。

まだ小さい末っ子を思って伏せたりなんてことが(それ以上に、「受け入れられない」という心理もあったのかもしれない)、本人は大きくなるにつれてどの段階かで「真実」に気がついていて、それを唐突にあっけらかんと口に出したり。

このあたりのことには触れていなかったけど、家族の優しさ故に「事実の共有」ができないので、それこそ末っ子ちゃんは一人きりで受け止める瞬間があったのだと思う。それはそれで健気……。

末っ子ちゃんのあの発言で、表面的には宮城家で「なかったこと」になってたことが、ようやく「現実」の出来事としてシフトしていった気がする。末っ子ちゃんも家族の想いを理解しているから、自然な流れで「知ってるから、もうやめようよ」っていうきっかけにしたのかもね。

それぞれが互いを思いやったり、それぞれの苦しさがあったり(一人で泣いていたり、握り潰した手紙の書き出しとかね……)、抑えが効かなかったり……。

時間を越えて、言葉もなく「絵」だけで表すキャラクターの感情表現の数々に、ジンとくる……。


最後の最後に、家族が寄り添っていく様子が嬉しかった。


きっとあんな感じだよね。わかりやすく感動的にわだかまりが解けるなんてこと、ほぼナイよね。とぼけてるのかって思うほどぎこちなく、少しずつ新しい方向に動いていく。そんな感じなんだと思う。


しかも! その間に「三井寿 三段活用」(中学→グレ期→更生。よきー)を細部まで見せてくれて、ありがとうございました!



では、ここで(突然だな)!

山王戦での湘北メンバーのセリフから、私が胸熱だったものをチョイス!

いってみましょう♪


宮城リョータ (背番号7)

「天才か?」
「何すか、その頭」

桜木花道 (背番号10)

「ぬ?」
「オレは今だ」

流川楓 (背番号11)

「どあほう」
「入るなら、さっさとしろ」

三井寿 (背番号14)

「しかし、今日の三井はいいぜ」
そして、スリーポイント決めたあとの万能感な高笑い!(好きすぎる)

(「復活させる音」のとこも、よき)

赤木剛憲 (背番号4)

「何をしとるか!」
「この男は、バスケットボールを始めてまだ四ヶ月なもので」

(ここちょっと説明すると。「ゴリ」全開で後輩をがっつりシメた直後の、審判に対する礼節ある態度。それでいて、メンバーへのフォローも欠かさない湘北キャプテンシー)


「いや、そこッ!? もっとあるだろ!?」


と思われるかもしれませんが。確かにあります(!)

ただ「これぞ、このキャラ!」だったり、その状況下での絶妙な感情が入り交じった彼らの「言い方」や言葉の温度に、劇場で「うわあああ!」となった部分を採用しております。

特に終盤は「うわあああ!」ってなりっぱなしだったので、逆に切り抜きが難しかったという……。(追いつかんよ)



それから、特筆したい!
どの「三っちゃん!」にも、木暮の「頑張れ!」にも愛しかないよ!



プレイ人数オーバーしてるけど、6人目の選手としてコートにいた気がする自分

スポーツの試合は主に、横から観るか、ゴール側から観るか、どちらかの方面から観戦することになると思う。

『FIRST』は、コートのなかの視点。「選手と同じ視点」という感覚が強い。


だから、「決まる!」と思って打ったシュートが、後ろから伸びてきた手に止められると、選手と同じようにびっくりする。

コートにいる感じ。作品違うけど「6人目」的な。
(黒いどころか、思いっきり透明だけど)

リバウンドとったときの、体の俊敏さ。着地の衝撃。本当に肉体感を伴ってる。

選手がコートに倒れ込んだときの音や振動。筋骨しっかりした生身の体が、倒れる感じがする。

肉体がそこにある。
アニメーションなんだけど、鑑賞後はだんだん「……実写映画を観てきたんじゃないか」って気になってくる。


そして、いろいろなところでも話題な(!) 印象的すぎるハイタッチシーンは、その勢いと力強さ、何より重さがすごい。


「共有してる強固な『目標』と、そこにたどり着いた『達成感』がそろわなければ、こんなに重いハイタッチにはならないんだな」


──というのを、私自身とあるリアルなハイタッチを体験したことで実感できた。
しかし、そのとき私の脳内で何が起こっていたかというと。

現実の「感動経験」に身を置きながらも、肉体からはすっかり切り離されて、山王戦のあの名シーンに飛んでいた。(ヲタの脳みそは時空を越えやすい)


ホントあの瞬間に、彼らの爆発した感情が全部こもってる。
ほんの一瞬だけね。(ここ重要。映画をご覧になってたら、うなづいてもらえそう)


試合中は突然スローになったり、選手が高速で飛び込んできたり、スピード感は印象的だった。「ここぞ」というときの主題歌挿入(!)や、息を飲む瞬間での完全無音。

萌えるしかないだろ……という演出でした。

プレイ中に倒れていく選手のスローさと、バチバチにボールの奪い合いをしている選手間との、動きの対比が圧巻。今まさに球際に関わっている者と、そこから外れてしまった者を分ける、残酷で明確な「時間の流れ方の差」とでもいうのか……

その感覚は、選手同士だけでなくて、「外側から観戦してる者」と「当事者の選手」とでは、より差が開いてまったくの別物なんだな、というのを体感できる。


もうパスの描き方が、本当にかっこいい!
ジャンプの浮遊感。そこに目がいっちゃうと、狙ったように素早い動作がくる。

魅せ方の緩急が効いていて、山王の選手と同じようにボールを見失う。

鋭いパスが通ったことを知らせる、弾けるような高い音。
ボールが味方の手のひらに、しっかり収まっている。

(そこに、いんのォ!?) って、なるよね?

いるのもすごいし、いるとわかってるのもすごいし。シュートモーションに入った三井を視認した、山王メンバーの焦りみたいなものが画面外から伝わってくる。

「まずい! 決められる!」という、瞬間的な予感のような絶望。シュートを放ったその姿で、すでに入るとわかる。それが体のすくみになって感じられる。


ボールがきれいにリングを抜ける音。
で。得点板の湘北スコアが一気に3点増えたときの、高揚感!


──だけじゃない!




『FIRST』のお気に入り作画 & キャラの推せるシーン

これさ? こまかすぎて引かれるかもしれないの、わかってて書いちゃうけど、『FIRST』で感動的に秀逸だと思った作画のひとつは、頭の丸みを感じられるツーブロックの表現!!


刈り込みの毛流れ感だけじゃなくて、髪の隙間から透けてる皮膚が、首の動きに添って盛り上がってるのが感じられるほど。(あれはすごかった)


こまかいついでに。
『FIRST』で好きなシーン、キャラの推せるモーションなどを書き出してみた。



・これぞ湘北キャプテンな赤木の重すぎるアッパー & 自分の弱さを叩き潰す、苛立ちこもった瞬発力 (プレイの勇姿だけじゃない!)


・花道のリバウンド! 体を操る素早さと、巨体が着地するダイナミックさ! ただその一瞬にかけた、体を投げ出すようなプレイの数々。コートに身が落ちる迫力。あと高速タプタプ。


・それぞれの戦い方があると思わせる、リョータのドリブル (特に、エンディング主題歌でもある劇中歌とかぶるトコ!) & 試合終盤の乱れ髪 (今後、これが見たいファンもつくと思われ)


・ダンクする流川の滞空姿勢 & わちゃわちゃしてるときに、ふわっと広がる髪の質感 (湘北メンバーは、ほぼガッツリ短髪か固めてるかなので、こういう毛先の繊細な表現は貴重よな)


・無限に見てられる三井のシュートモーション & 見られ方を気にする質なのに、ベチャッとコケてくれるとこ!(コケた理由もまたイイ。「根の部分のミッチーは、こういうヤツなんだよ!」と宣伝しまくりたくなる、無用なお節介) 繰り返しになるけど、「三井寿 三段活用」の尊さ。


・現役まだいける(?)安西先生の渾身ガッツポーズ & それを真横で目撃したなんとも言えない木暮


・彩子さんが「桜木花道」ってフルネームで呼ぶたびに、劇場の暗闇にまぎれてニヤッとしてしまう謎現象 (あれ、なんなんだろ)


んで、ラスト! あの展開!
マジかぁぁぁー!

「劇中歌」としても試合を盛り上げまくってくれたから、あの流れからの10-FEETの "第ゼロ感" !
「エンドロール」というよりも「続行中」って気がしませんか!?

最高潮のラストでしたわー。(エンディング主題歌が『第ゼロ感』でよかった……!)


それから。
この場を借りて唐突に言っちゃうけど。

『桜木花道』って、ホントいい名前すぎん!?
これ以上の名が彼にあるだろうかってくらい、ぴったりすぎる名前だと思う。


さて、そろそろ推しがバレていると思う


『FIRST』は日本で、そしてアジアで、ものすごい話題になりました。
スペイン語圏の人たちにも、観てもらえたらいいな。(っていうのは語学勉強中なので)

もしバスケットが好きなら、本当に観て欲しい。(人気なスポーツは、国によって全然違ってくるけど……)

バスケットにあまり興味がなくても、観て欲しい。この映画をきっと好きになると思う。

映画が上映されるなら、ぜひ大きなスクリーンで観て欲しい。


きっと、「コートの中にいる」って感じると思う。




ふふ。ここまできたら、お気づきかもしれない。
「……せぇーのッ!」


私の推しは、湘北14番。
「あきらめの悪い、炎の男」三井寿である。

(同担に抵抗あったら、すみません)

「しかし、今日の三井はいいぜ」


劇場であのセリフは痺れた。
自分の為すことに、自分自身まっすぐな手応えを持って生きていたい。


我先に(!)グロッキーに陥って、今やってんのがオフェンスだかディフェンスだか怪しくなっても、自分のところにパスがくればきちんと仕事をする。最高じゃないか……。

たとえシュートを外しても、仲間が次を信じて、体張って何度でもパスを通してくれんの、最高じゃないか……。(しかも次はきっちり決めてくる!)

かつてチームに「混沌」をもたらしてからの、「知性と飛び道具」ポジ。最高じゃないか……。


そりゃ、いろいろあったけども。


「もう腕が上がんねー」

と試合中にこぼせば、

「わかりました。パス出します」

とか!

切り返しのなかに揺るぎない信頼が感じられて、それが「やらかし相手」本人からくるって。


最高じゃないか……


(休めると思うなよ。あんたがスリー打たないで、誰が打つんだよ)

続くこの言葉は、間違いなく私の脳内でのリョータのセリフなんだけど。(そんな気しない?)



ミッチーにあやかって、言っちゃうことにする。

しかし、今日の浮嶋はいいぜ。
最高だ。趣味に偏った角度からの「推しレビュー」を一本書き上げた。うむ。





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