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そのKPIは適切か? 大手企業が陥りがちな、現場が疲弊するKPIとは?

本記事では、KPIについて語りたいと思います。
「KPI?ハイハイ。Key Performance Indicatorね。当たり前すぎて、、、」
そう思ったあなた。

意外と、ちゃんとKPI設計できてないところ多いですよ。
KPI設計で誤っているから、
いつまでも要因分析と改善活動に追われていたり、、、
スタートアップは大丈夫なケースが多いですが、
意外と大手企業様がこのようなケースに陥ることが多いです。

本記事では、意外と奥が深いKPIについて、
あるあるなミスと、あるべきKPIの立て方をお伝えしていきます。

本記事の対象者

・大手企業のリーダー/マネージャーなど戦略担当

よくありがちなKPI設定ミス

Case1
「KPI達成したのに、成果が出ずに怒られる」

あるあるです。
ここから、きっと要因分析のための調査にきっと1〜2週間。打ち手の創出に1〜2週間。またプロジェクトが1ヶ月遅れるわ、そもそもいつになったら、KGI達成できるんだって怒られるわ。もう絶望しかない。

KPI達成したのに、KGIいかないのは、なぜなのか。
たまたま何か影響があったんですかね。
そんな事を言おうものなら、お前は何をしているんだって大目玉です。

ボス、、、あなたが立てたKPI・・・。
私は達成したのに。。。

未達の要因って、、、KPIいかないからじゃないのかよ、、、
KPI達成しているのに、未達って。もう、KPI設計の見直しレベル。
こうなった時は、KPIを疑うか、別の影響がないか調査するか、
別の影響ですぐ出るならいいのですが、KPIを疑い始めると地獄です。

Case2
「KPIが達成しない時の、要因分析にめちゃくちゃ時間とられる」

達成している時はいいんです。今週も達成です。順調ですね!
でも、未達の時は、、、
なんで達成していないの?要因は?

要因調査のお時間です。
どこに問題があるんだ・・・。
そもそも、部長が出したKPIが高すぎるんだよ、、、

要因を見つけるまでは、次に進めません。
要因の要因を見つけにいくぞ。
要因未達の要因分析だ!
ここから探しにいくのは、地獄です。

Case3
「これも、あれも追えはさすがに無理があるでしょう。」

営業戦略企画のワンシーン。

「売上をあげるために、営業の質を高めていこう。」
「営業としては、やっぱり新規開拓できるといい。」
「じゃあ、新規受注数を高いKPIとして努力してみるか。」

そこで、新規受注数をKPIと設定して、
KPI達成のための打ち手を検討しようとした時、

「待て。受注単価も重要だろう。今より高い目標で単価をあげよう。」
「確かに、売上=受注数×受注単価だから、両方高い目標にして頑張るか」

そこで、新規受注数と新規受注単価を、KPIとして高い目標を設計し、
打ち手を設計。

しかし、いざ始まってみると、、、
打ち手は綺麗に実行されているのに、新規受注数が全然達成しない。。。

それもそのはず。
受注単価を高く設定しすぎたせいで、
営業が高めに提案してしまい、他社にバッティング負け。。。

「こんな単価で新規受注数を増やすのは、無理です!」
「無理と言っていては、成長できない!」

この部長、トレードオフという言葉を知らないのかしら・・・。
今日も気合と根性で、目標必達にあけくれるのでした。

KPI設計における、3つの観点

以下、3つの観点でチェックしましょう。
①妥当性   →そのKPIは、KGIと密接な関係を有しているか
②運用性   →分析は、簡単にできるようになっているか。
③シンプルさ →影響を与え合うような、複雑なKPIを設定していないか

妥当性とは

当たり前ですが、KPIが達成したら、KGIを達成できるような
設定をしないといけません。KPIはKGIと密接な数値を設定します。

また、KPIを高く設定するなら、
なぜその上昇ができるのか妥当な数字が必要です。
打ち手でどれだけ上げる予定なのか、なぜ上がるのか。
そのほかの影響はなるべく排除して、設定しましょう。

「気合と根性で上昇させるんだ。」
それは、戦略の放棄です。
「よくわかんないけど、夏はいつも達成する」
それも、戦略の放棄です。

ちゃんと、妥当性のある数字を提示しましょう。
それは、戦略立案する立場の責任です。

運用性とは

KPIが達成しなかった時、何をみて、どう判断するんですか?
この問いにすぐ答えられなかったら、KPI設計に甘さがあります。

もちろん、KPIの数字取得そのものに、時間がめちゃくちゃかかるとかは、
運用性を悪くするので、問題ない企業様が多いですが、
この判断軸を事前に設定していない企業様は多いです。

KPIが達成しなかった時の、分析手法は先に設計しておきましょう。
これは、妥当性のある数値取得ができていないとできません。
打ち手をしっかり設計できている状態を目指しましょう。

打ち手が設計できていれば、モニタリング指標を設定できるはずです。
モニタリング指標とは、打ち手に直接影響する数値で、
KPIの結果が、打ち手の影響か証明するための数値です。

数値を簡単に取得できる事、またKPIが達成したかどうかを
簡単に分析できる状態が揃っているKPIを、運用性の高いKPIと言います。

シンプルさとは

トレードオフの関係になるような、KPIを設定していませんか?
この問いで問題がなければ、OKです。

事業運営をすると、基本様々な要素が絡み合って成果につながるので、
指標は多くおきたくなります。
しかし、KPIは2〜3つにすることをお勧めします。

なぜなら、KPIの意味は"重要経営指標"です。
戦略において、最も重要視している指標を置くのです。
あなたの組織は、複雑な戦略を理解し、実行できる組織でしょうか。

今年の戦略は、あれとこれと、それと、これで・・・と数多く出すより、
今年は、これとこれだ!
と、シンプルにわかりやすい戦略を出した方が、
現場は力を発揮します。

また、複雑にすればするほど、トレードオフの関係を持ってしまい、
お互いの指標が足をひっぱり、どっちつかずな打ち手しかうてない事も
多く見受けられます。

これは、組織が複雑化したり、意思決定者が多い大手企業によくみられる傾向です。中小・ベンチャー企業はランチェスター戦略にのっとり、戦略をシンプルに、局地戦で闘うので、自然とシンプルなKPIになっています。

具体例:いいKPIの立て方

それでは、実際にいいKPIの立て方の流れを簡単に説明します。

お題:売上を1年で2倍にする
戦略:新規受注に力を入れる


あるあるですね。

諸々分析した結果、戦略としては新規受注を増やさないと実現できない。
2倍は、新規受注で補うんだ!とした時、

①まずは、KGIの設定です。
売上を2倍がお題なので、
売上2倍がKGIです。

②次にKPIの数値設定です。妥当性を意識します。
売上の構成要素は、新規売上+既存売上。
では、その2つをKPIに設定します。

しかし、数値はどうするか。
戦略が新規受注に力を入れるとなったので、
新規売上だけ向上させる数値を設計します。
※逆に、打ち手から考えて妥当性のある数値を創ることもあります。

仮に、新規の売上を4倍にしなければいけないとします。
そうすると、新規売上×4と既存売上×1の数値がKPIです。

③次は、KPIのモニタリング指標設計です。運用性を意識します。
諸々現状の分析をした結果、以下になりました。

1.リードを増やす施策
2.訪問回数を増やす施策 

そうなると、モニタリング指標は打ち手から、以下の数値になります。
リード数 
 訪問数

ただし、それ以外の影響もあるので、
KPIを構成する数値は全て取得しにいきます。
受注率提案率受注単価ですね。

もちろん、リード数および、訪問数がどれだけになれば、いくら新規売上が上がるかは、過去データや、実数を入れて設計します。
妥当性のある数値にしましょう。
ここの数値設定をミスれば、台無しです。

また、取得方法と取得頻度も考えておきましょう。
負担ない範囲で設計します。

④最後は、KPIのシンプルさチェックです。
今までの流れを考えると、以下のようになります。

KGI:売上×2
KPI:新規売上×4、既存売上×1
モニタリング指標:リード数、訪問数、受注率、提案率、受注単価

KPIは二つなので、大きな問題はなさそうです。
ただ、新規売上を上げたら、既存売上が下がることはありえるか。
心配な点は1点です。

訪問数を上げるとありますが、新規の訪問数を上げた結果、
既存の訪問数を下げることの恐れがあります。
ここは、既存の訪問数もみながら、行動限界にならなければ
問題なしとできます。

こちらで、問題なければ取得した内容をどう管理していくのか、
どう判断するのか、定常業務設計にすれば、終わりです!

簡単に記載しましたが、実際はもっと複雑です。
1〜2ヶ月かけてKPI設計するケースもあるくらいです。
ただ、ポイントは簡単にまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。

Crown Catでは、戦略立案から支援していますので、
お気軽にご連絡ください。



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