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The Jeff Healey Band / See The Light

 ジェフ・ヒーリー1988年のデビュー作。盲目で、座った膝の上にギターを置いて演奏する珍しい奏法のギタリスト。当時の私はブルースに入れ込んでいたので、その流れで買ったし、ブルースとして聴いていたのだが、久しぶりに聴いてみると思ったよりロック色が強いと感じた。数十年かけてディープなブルースにどっぷり浸かった私の耳の問題か。

 実際今聴いてみると、やはりどちらかと言えばブルース・ロック的で、例えば“Hideaway”もオリジナルのフレディ・キングではなく、ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズの(つまりクラプトンの)影響が大きい気がする。ロックとブルースの境界というのも曖昧なものだが、ギターのインプロヴィゼーションがひとつのポイントだと個人的には思う。

 このスタイルで何枚かリリースした後、ジャズの作品を手がけていた。そのことは全く知らなかったのだが、聴いて驚いた。モダン・ジャズのギタリストになったわけではなく、トランペットやクラリネットを吹いてスウィングやディキシーランドなどのトラディショナルをやっていたのだ。音楽的な幅の広さもだが、楽器の才能にも恐れ入る。

 余談だが、ジェフ・ヒーリーといえば日本製のSquierのギターを使っていたことも一部で有名。Squierというのは当時のFender Japanの廉価版ブランドである。Squierに限らず高温多湿な日本でも耐えうる音質&品質のギターは海外、特に北米や欧州の乾燥した地域で重宝されるという話は聞いたことがある。

 閑話休題

 ジェフが失明したのは幼少期のガンのためだそうだが、結局41歳の若さで2008年にガンで亡くなっている。もし存命なら、年を重ねて「枯れた」ブルースをやっていたのではないかと妄想したりもする。遺作となった『Mess Of Blues』にもその片鱗が感じられる。返す返すも残念。


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