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Ronnie Wood & Bo Didley / Live At The Ritz


 ロン・ウッドとロニー・ウッドどっちが正しいんだ問題。昔はロンが正しくてロニーは愛称か?それともRONNIEと書いてロンと読むのか?など考えたこともあったが、いまだによくわからない。ウィキペディアによると両方使っているらしいが、どういう使い分けなのかは不明。このCDのジャケットも英語表記ではRONNIE WOOD、日本語表記はロン・ウッドになっている。諸々の情報から推察するに、少なくとも現在本人及び英語メディアは『Ronnie (ロニー)』を主に使っているが、日本のメディアやレコード会社は『ロン・ウッド』表記のまま更新されていない、といったところではないだろうか。

 さてそのロニー・ウッドがボ・ディドリーと共演したライヴ盤である。1987年ニューヨークでの録音で、翌88年に日本でライヴを行った際の来日記念盤的な作品。後に若干収録曲を変えて海外でも発売されたようだが、基本的に日本独自の企画らしい。そのせいか未だにサブスクには入っていない。

 ジャケットの肖像画はロニー直筆。

 ボ・ディドリーは有名な代表曲、ロニーはフェイセズ、ソロ、ストーンズそれぞれの曲をやるという構成。私はこのアルバムでボ・ディドリーを初めて聴いたのだが(当時19歳)、入門盤としても非常に良かったと思う。ボ・ディドリー・ビートとかジャングル・ビートといわれる強烈なビートに惹かれてレコードも買ったっけ。

 クレジットを確認すると、コーラスにテンプテーションズのエディ・ケンドリックス&デヴィッド・ラフィンが入っている。彼らもレジェンド。この2人は85年のホール&オーツ『Live at The Apollo』にも参加しているが、デヴィッドが91年、エディが92年に亡くなっている、2人ともまだ50代前半だったのが残念。

 88年当時はローリング・ストーンズにとって微妙な時期で、前年にミック・ジャガーの『Primitive Cool』が出て、ロニー&ボの来日と同時期にミックの東京ドーム公演、同年にキース・リチャーズのソロ『Talk Is Cheap』リリース。これはもうストーンズは解散かと思っていたし、公式に解散していないだけで実質的にはそうだったんだろう。ミックは『Primitive Cool』収録の“Party Doll”の中で「Party's Over」とか「Honky Tonkin's Over」と歌ってるし。そう考えると、89年にストーンズの『Steel Wheels』リリース、90年にストーンズとして初来日という流れが奇跡のように思えてくる。

 このアルバムも今考えれば、ミック来日の盛り上がりに便乗した企画だったのだろう。ベテランになったロニーがレジェンドのボ・ディドリーを迎えるライヴのはずが、日本のメディアやレコード会社は完全にストーンズ・ロニーの知名度に寄りかかっていた記憶がある(ロニー本人も意識的だったとは思うが)。後年リリースされた海外盤はボ・ディドリー楽曲が増強されていたが、これはレジェンドへのリスペクトやライヴの趣旨に沿ったというのもあるが、日本盤リリース当時はまだアナログ基準で作られていた時代だから、CDの収録時間が大きいのだろう。

 ボ・ディドリーがロニーを紹介する「Ronnie Wood! The Rolling Stone!」の声や、ロニーが「Keith, a just fine tuning!」と言って“Honky Tonk Women”のイントロに入っていくところが、当時も今もアガる。88年に「アガる」という言葉はなかったが(笑)

こちらは海外盤

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